1961年に公開された『Lover Come Back』(邦題:ラヴァー・カム・バック)は、当時のハリウッドを代表するスター、ドリス・デイとロック・ハドソンが共演した洗練されたロマンティック・コメディです。ユニバーサル・インターナショナル配給、デルバート・マン監督による本作は、広告業界という華やかな舞台を背景に、誤解と駆け引きが織りなすドタバタ劇を描いています。
本作は、大ヒット作『ピロートーク』に続き、ドリス・デイ、ロック・ハドソン、トニー・ランドールの黄金トリオが再集結した作品としても知られています。洗練された脚本は、アカデミー賞の脚本賞にノミネートされるなど、高い評価を受けました。
Key Facts
- 主演:ドリス・デイ、ロック・ハドソン、トニー・ランドール
- 監督:デルバート・マン
- 公開日:1961年12月20日(ロサンゼルス)
- 受賞歴:ローレル賞(作品賞および主演女優賞)を受賞
- 特徴:『ピロートーク』と同様に「正体の取り違え」を軸にした物語展開
物語のあらすじ:嘘から始まる恋の駆け引き
舞台はニューヨークのマディソン街。広告エグゼクティブのジェリー・ウェブスターは、知性や努力よりも、接待や美貌の女性を介したコネクションで成功を収める策士です。一方、ライバル社のキャロル・テンペルトンは、ジェリーの不道徳な手法を嫌い、彼を広告評議会に告発しようと画策します。
物語が加速するのは、ジェリーが実在しない架空の製品「VIP」のCMを強引に放送させてしまったときです。窮地に陥った彼は、ノーベル賞受賞化学者のライナス・タイラー博士に賄賂を渡し、急いで新製品を開発させます。この過程で、キャロルがジェリーをタイラー博士と勘違いしたため、ジェリーは正体を隠して彼女に近づき、デートを重ねるという大胆な嘘をつきます。
しかし、嘘はやがて露呈し、キャロルは激怒して彼を捨てます。それでも、タイラー博士が実際に開発した「VIP」というミント菓子が、実は強力なアルコールと同等の効果を持つという意外な展開に。酔いしれた二人は、予期せぬ一夜を過ごし、なんと結婚届まで提出してしまうことになります。
作品の構成と見どころ
豪華キャストと音楽
主演の二人に加え、トニー・ランドールが物語にコミカルな彩りを添えています。また、本作はミュージカルではありませんが、ドリス・デイが歌う「Lover Come Back」や「Should I Surrender」といった楽曲が、物語の情緒的なアクセントとなっています。
時代背景とメディア展開
当時の映画業界の慣習に従い、公開に先駆けてマーヴィン・H・アルバートによる小説版も出版されました。彼は当時のライトコメディ映画のノベライズにおける第一人者であり、本作の軽快なトーンを文字でも再現しました。
また、本作のプロデュースには主演のハドソンやデイ自身の制作会社が関わっており、スターたちが主導権を持って制作に携わった点も注目されます。
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 上映時間 | 107分 |
| 製作国 | アメリカ合衆国 |
| 興行収入 | 760万ドル(レンタル収入) |
| 主な受賞 | ローレル賞(トップ・コメディ賞) |
| リメイク | インド(2016年『Zoom』)、エジプト(1984年) |
批評と評価
公開当時、多くの批評家が本作を絶賛しました。ニューヨーク・タイムズ紙は「『ある夜の出来事』以来、最も明るく愉快な風刺コメディの一つ」と評し、ワシントン・ポスト紙はドリス・デイの魅力とロック・ハドソンの喜劇俳優としての熟練ぶりを高く評価しました。
一部では、物語後半のロマンスへの転換に懐疑的な意見もありましたが、全体としてはその軽快なテンポと洗練されたユーモアが支持されました。
Frequently Asked Questions
この映画は『ピロートーク』とどのような関係がありますか?
同じ主演キャスト(ドリス・デイ、ロック・ハドソン、トニー・ランドール)が揃っており、「正体の取り違え」という似たプロット構造を持つロマンティック・コメディであるという共通点があります。
物語に登場する「VIP」とは何ですか?
劇中でタイラー博士が開発したミント味のキャンディです。見た目は菓子ですが、1粒でトリプル・マティーニに相当する強い酔いをもたらすという特殊な設定になっています。
結末について、当初の予定から変更があったというのは本当ですか?
はい。元々の脚本では、主人公二人が酔ってホテルにチェックインするだけでしたが、主演のドリス・デイの要望により、「酔った状態で結婚する」という展開に書き換えられました。
この映画は海外でリメイクされていますか?
はい。1984年にエジプトでリメイクされたほか、2016年にはインドで『Zoom』というタイトルでリメイクされています。
アカデミー賞などの賞を受賞しましたか?
アカデミー賞の脚本賞にノミネートされたほか、ローレル賞では作品賞(トップ・コメディ)およびドリス・デイが主演女優賞を受賞しています。
References
- "This Week's Movie Openings". . December 17, 1961. p. Calendar, p. 6.
- Top 20 Films of 1961 by Domestic Revenue
- "The Daily Breeze from Torrance, California". Newspapers.com. April 12, 1961. Retrieved February 12, 2025.
- "Brooklyn Daily from Brooklyn, New York". Newspapers.com. December 15, 1961. Retrieved February 12, 2025.
- Crowther, Bosley (February 9, 1962). "Screen: 'Lover Come Back' Opens at Music Hall". : 21.
- "Lover Come Back". : 6. December 13, 1961.
- "'Lover Come Back' with Rock Hudson, Doris Day, Tony Randall". Harrison's Reports: 191. December 2, 1961.
- Scheuer, Philip K. (December 25, 1961). "Lover Come Back' Brisk, Gay Farce". : Part IV, p. 13.
- Gill, Brendan (February 24, 1962). "The Current Cinema". . p. 110.
- Coe, Richard L. (February 16, 1962). "A Lovely Spoof Of the Ad Man". . p. D10.