20世紀のアメリカ音楽シーンにおいて、華やかなビッグバンド・ジャズの時代を象徴する人物の一人がレス・ブラウン(Lester Raymond Brown)です。サックスとクラリネットを操る演奏家であり、卓越したバンドリーダーでもあった彼は、60年以上にわたり音楽界の第一線で活躍しました。特に彼が率いた「バンド・オブ・リナウン(Band of Renown)」は、その洗練されたサウンドで世界中のリスナーを魅了しました。
Key Facts
- 活動期間: 1936年から2000年まで、半世紀以上にわたり音楽活動を展開。
- 代表曲: ドリス・デイと共に歌った「Sentimental Journey」が戦後復興期の象徴的な楽曲となった。
- 多才な活動: ラジオ、映画、テレビ番組のハウスバンドとして、当時のあらゆるトップスターと共演。
- 軍への貢献: USOツアーに18回参加し、世界中の米軍兵士300万人以上に娯楽を提供した。
- 後継: 息子のレス・ブラウン・ジュニアが父の意志を継ぎ、バンドを率いた。
音楽的キャリアの歩み:学生時代からプロへの転身
ペンシルベニア州ライケンズで育ったレス・ブラウンは、若くして音楽の道を志しました。コンウェイ軍楽隊学校でパトリック・コンウェイに師事した後、ニューヨーク軍事アカデミーを卒業し、デューク大学へ進学します。大学時代には「レス・ブラウン&ヒズ・ブルー・デビルズ」を結成し、東海岸を中心に精力的に活動しました。
1936年の大規模なサマーツアーを機に、一部のメンバーと共にプロとしての道を歩み始め、1938年には正式に「レス・ブラウン・オーケストラ」が誕生しました。その後、軍向けラジオ番組『Spotlight Band』への定期出演を通じて絶大な人気を獲得し、1942年には現在の代名詞となる「レス・ブラウン&ヒズ・バンド・オブ・リナウン」という名称が定着しました。
黄金期のヒット曲と豪華な共演者たち
ブラウンのバンドは、数多くのチャート1位を獲得しました。1941年にはベティ・ボニーをリードボーカルに迎えた「Joltin' Joe DiMagio」が全米を席巻。そして1945年、新進気鋭のドリス・デイと共に録音した「Sentimental Journey」は、ヨーロッパでの第二次世界大戦終結と重なり、帰還兵たちの心を癒やす「非公式な帰郷のテーマ曲」として歴史に刻まれました。

また、コメディアンのボブ・ホープとは約50年にわたる深い信頼関係を築き、ラジオやテレビ、舞台で共演し続けました。この縁から、後に世界的スターとなるトニー・ベネットがブラウンのバンドで初の公のパフォーマンスを行ったという逸話も残っています。さらに、フランク・シナトラやエラ・フィッツジェラルド、ナット・キング・コールといったジャズ界の巨人たちとも共演し、時代の寵児として君臨しました。
メディア展開と後世への影響
彼らの活動は音楽のみに留まらず、映画やテレビ番組にも及びました。『The Steve Allen Show』や『The Dean Martin Show』のハウスバンド(番組専属楽団)を務めたほか、映画『The Nutty Professor(教授教授)』ではテーマ曲「Leap Frog」を披露するなど、多方面で才能を発揮しました。
レス・ブラウンが2001年に肺がんでこの世を去った後、息子のレス・ブラウン・ジュニアがリーダーを引き継ぎ、世界各地で公演を続けました。また、孫のジェフ・“スワンプ”・マーシュは、ディズニーチャンネルの人気アニメ『フィニアスとファーブ』の共同クリエイターとなるなど、その創造性は世代を超えて受け継がれています。
彼の故郷であるペンシルベニア州ライナートンでは、彼の功績を称えて通りが「レス・ブラウン・レーン」と改名され、町の公式スローガンに「The Town of Renown」が採用されるなど、今なお深く愛されています。
レス・ブラウンの主要ディスコグラフィー(抜粋)
| リリース年 | アルバムタイトル | US 200 最高位 |
|---|---|---|
| 1947年 | Sentimental Journey | 5位 |
| 1950年 | Dance Date With Les Brown | 4位 |
| 1951年 | Over the Rainbow | 10位 |
| 1953年 | Concert at the Palladium Vol. 1 & 2 | 15位 |
Frequently Asked Questions
「バンド・オブ・リナウン」という名前の由来は?
1942年に出演していた軍向けラジオ番組の中で、初めてこの名称で呼ばれたことがきっかけです。その後、1950年代から正式なバンド名として使用されるようになりました。
ドリス・デイとの関係はどのようなものでしたか?
1945年に「Sentimental Journey」を共に録音し、彼女をスターダムに押し上げました。また、1952年から53年にかけて放送されたCBSのラジオ番組『The Doris Day Show』では、ブラウンがオーケストラリーダーを務めていました。
ボブ・ホープとはどのような活動を共にしたのですか?
約50年間にわたり、ラジオ、舞台、テレビで共演しました。特に18回に及ぶUSOツアーを通じて世界中の米軍兵士を慰問し、合計300万人以上の観客を楽ませました。
レス・ブラウン・ジュニアはどのような人物でしたか?
2001年から父の跡を継いでバンドを率いただけでなく、1960年代には俳優として『Gilligan's Island』などに出演し、ロックミュージシャンやプロデューサーとしても活動した多才な人物でした。
レス・ブラウンはどのような楽器を演奏していましたか?
主にサックスとクラリネットを演奏していました。
References
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