Rhyolitic lava dome of Chaitén Volcano during its 2008–2010 eruption
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溶岩ドームのメカニズムと火山地形への影響

🗓 2026年8月8日

火山活動によって形成される溶岩ドームとは、粘り気の強い(高粘性の)溶岩がゆっくりと地表に押し出され、そのまま盛り上がってできた円錐形や盛り土状の地形を指します。地球上の噴火の約6%でこの形態が見られ、特にプレートの沈み込み帯にある火山で頻繁に発生します。

この独特な形状が生まれる最大の理由は、溶岩の「粘性」にあります。マグマに含まれるシリカ(二酸化ケイ素)の含有量が多い場合や、マグマからガスが抜けて凝固が進んだ場合に粘性が高まり、溶岩が遠くまで流れ広がらずに噴出口付近に蓄積するためです。そのため、多くの溶岩ドームはシリカに富む流紋岩やデイサイトで構成されています。

One of the Inyo Craters, an example of a rhyolite dome

Key Facts

  • 形成原因:粘性の溶岩が流動せず、噴出口に積み重なることで形成される。
  • 化学組成: 主にデイサイトや流紋岩などのシリカに富む組成が多いが、稀に玄武岩質のものも存在する。
  • 成長速度: 数ヶ月から数世紀にわたる緩やかな成長が見られる。
  • 主なリスク: ドームの崩落による火砕流の発生や、内部のガス圧による爆発的噴火。
  • 宇宙での存在: 火星や金星、月などの天体表面にも同様の構造が示唆されている。

溶岩ドームの成長とダイナミクス

溶岩ドームの進化は、マグマの結晶化や脱ガスといった複雑な非線形プロセスに左右されるため、予測が非常に困難です。成長の形態には大きく分けて2つのパターンがあります。一つは、ドームの内部にマグマが注入されて全体的に膨らむ「内因的成長」、もう一つは、表面に溶岩の塊(ローブ)が断続的に積み重なる「外因的成長」です。

Rhyolitic lava dome of Chaitén Volcano during its 2008–2010 eruption

成長過程では、鋭い針状の「溶岩スパイン(溶岩尖塔)」や、ゆっくりとした溶岩流が形成されることがあります。これらの構造物は高さ数百メートルに達することもあり、その側面は不安定な岩屑で構成されています。内部にガス圧が蓄積すると、突発的な爆発的噴火が起こりやすく、特にドームの一部が崩落して内部の加圧されたマグマが露出すると、極めて危険な火砕流(高温のガスと火山砕屑物の流れ)が発生します。

Soufrière Hills lava spine before the 1997 eruption

また、ドームの成長に伴う浅い場所での流体圧の変化は、特有の低周波地震やハイブリッド地震として観測されます。ただし、ドームの成長速度からマグマの供給量は推測できても、それがいつ爆発的な噴火に結びつくかを正確に特定することは困難です。

Lava domes in the crater of Mount St. Helens

関連する特殊な火山地形

クリプトドーム(隠れたドーム)

クリプトドームとは、粘性の高いマグマが地表に出ず、地下の浅い場所で溜まって盛り上がった構造です。これが原因で山体の一部が外側に膨らみ、耐えきれなくなった斜面が崩落(セクター崩壊)することで、地下の圧力が一気に解放され、大規模な爆発的噴火が誘発されます。1980年のセント Helens山や1956年のベジミアンヌイ山での噴火がその典型例です。

The bulging cryptodome of Mt. St. Helens on April 27, 1980

溶岩クーレ(流動ドーム)

溶岩ドームと溶岩流の中間的な性質を持つのがクーレです。これは形成後に元の位置からある程度流動したドームを指します。チリ北部のチャオ・デイサイト・ドーム複合体は世界最大級のクーレであり、全長14km以上に及び、圧力リッジなどの流動痕跡が顕著に見られます。

Chao dacite coulée flow-domes (left center), northern Chile, viewed from Landsat 8

溶岩スパイン

ドームの頂部に形成される柱状の突出物で、溶岩スパインと呼ばれます。これが成長するとドーム全体の不安定さが増し、崩落のリスクを高める要因となります。モンセラート島のスフリエール・ヒルズ火山などで観測されています。

Nea Kameni seen from Thera, Santorini

代表的な溶岩ドームの例

世界各地の火山で多様な組成のドームが確認されています。以下の表に主要な例をまとめます。

世界各地の主要な溶岩ドーム一覧
名称 主な組成 特徴・時期
チャイテン チリ 流紋岩 2009年まで活動
セント Helens山 アメリカ デイサイト 2008年まで活動
メラピ山 インドネシア 不明 2010年まで活動
ネア・カメニ ギリシャ デイサイト 1950年まで活動
タテイワ 日本 デイサイト 中新世の形成
スフリエール・ヒルズ モンセラート 安山岩 2009年まで活動

Frequently Asked Questions

なぜ溶岩ドームは爆発しやすいのですか?

溶岩ドームを構成するマグマは粘性が高く、内部にガスが閉じ込められやすいためです。内部でガス圧が高まった状態でドームが崩落したり、亀裂が入ったりすると、急激な減圧が起こり爆発的な噴火に至ります。

溶岩ドームと普通の溶岩流は何が違うのですか?

主な違いは「粘性」です。玄武岩のような低粘性の溶岩はさらさらと流れ広がり、広大な溶岩原を作りますが、高粘性の溶岩は流動性が低いため、噴出口付近で盛り上がり、ドーム状の地形を形成します。

クリプトドームが見つかった場合、どのような危険がありますか?

地下で山体が押し上げられている状態であるため、山体崩壊(セクター崩壊)が起こるリスクが高まります。崩壊が起きると、閉じ込められていたマグマが急激に噴出するため、大規模な爆発的噴火や火砕流が発生する危険があります。

溶岩ドームは地球以外にも存在しますか?

はい。火星のアルカディア平原西部やテラ・シレヌム、また金星や月などの天体表面においても、溶岩ドームに似た盛り上がり構造が存在することが示唆されています。

溶岩ドームが崩れると何が起こりますか?

重力による崩落が起きると、大量の岩屑が流れ下る「ブロックと灰の流れ(block and ash flow)」や、内部の圧力が解放されることによる火砕流が発生し、周辺地域に甚大な被害をもたらす可能性があります。

References

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📸 フォトギャラリー

Rhyolitic lava dome of Chaitén Volcano during its 2008–2010 eruption
One of the Inyo Craters, an example of a rhyolite dome
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Lava domes in the crater of Mount St. Helens
The bulging cryptodome of Mt. St. Helens on April 27, 1980
Soufrière Hills lava spine before the 1997 eruption
Chao dacite coulée flow-domes (left center), northern Chile, viewed from Landsat 8