チリのサンティアゴに本拠を置くLATAM航空(LATAM Airlines Group)は、中南米地域で最大規模を誇る航空ホールディングカンパニーです。ブラジル、コロンビア、エクアドル、パラグアイ、ペルーに子会社を展開し、南米大陸を網羅する広大なネットワークを構築しています。単なる航空会社ではなく、地域全体の空のインフラを支える多国籍企業として、世界的な航空市場で重要な役割を担っています。
Key Facts
- 拠点:チリ共和国サンティアゴに本社を置く多国籍航空グループ。
- 規模:368機の機体を保有し、166の目的地へ就航。
- 財務:2024年度の収益は130.34億米ドルに達する。
- 体制:チリ、ブラジル、コロンビア、エクアドル、パラグアイ、ペルーに子会社を保有。
- 上場:サンティアゴ証券取引所およびニューヨーク証券取引所(NYSE: LTM)に上場。
誕生の背景:LANとTAMの戦略的合併
LATAM航空の歴史は、2010年に始まったチリのLAN航空(LAN-Chile)とブラジルのTAM航空(TAM Linhas Aéreas)による大規模な統合計画から始まります。2012年6月22日に正式に合併が完了し、「ラテンアメリカ(Latin America)」を組み合わせた造語である「LATAM」というブランドが誕生しました。
この合併にあたり、チリとブラジルの当局からは競争維持のための厳しい条件が課されました。具体的には、サンパウロ・グアルーリョス国際空港における離着陸枠(スロット)の譲渡や、航空アライアンスへの加入制限などが含まれていました。その後、2013年に同社はグローバルアライアンスとしてOneworldへの加盟を決定し、2014年にはTAMがStar Allianceを脱退して合流しました。

ブランドの統一とリブランディング
合併後、グループ内の各航空会社は個別のブランドを維持していましたが、2015年8月に全社的なリブランディング計画が発表されました。これにより、機体塗装(リバリー)やスタッフの制服、空港のチェックイン施設に至るまで、すべてが統一された「LATAM」ブランドへと刷新され、2018年までに完了しました。

経営の転換点と危機の克服
2019年、米国のデルタ航空が19億米ドルを投じてLATAMの株式20%を取得し、中南米市場へのアクセスを拡大させました。この提携に伴い、LATAMはOneworldを脱退し、デルタ航空との戦略的関係を深める方向へと舵を切りました。

しかし、その直後に世界を襲ったCOVID-19パンデミックが航空業界に甚大な打撃を与えました。深刻な経済的困難に直面した同社は、2020年5月26日に米国でチャプター11(連邦破産法第11章)を申請し、法的整理による事業再建を図りました。この期間中も運航は継続され、ペルーでは子会社を通じてワクチンの無料配送を支援するなど、社会的な役割も果たしました。
2022年には再建計画を経て破産手続きから脱却し、経営の正常化を実現。2024年7月24日には、ニューヨーク証券取引所への再上場を果たし、完全な復活を遂げました。
運航体制とサービスインフラ
LATAMは、サンティアゴ(チリ)、リマ(ペルー)、サンパウロ(ブラジル)、ボゴタ(コロンビア)の4つの主要ハブ空港を中心に展開しています。特にボゴタはカリブ海地域への玄関口として機能しており、さらにブラジル北東部への新ハブ構築による欧州路線の拡充も検討されています。
機材構成(フリート)
同社はエアバス社とボーイング社の機材をバランスよく導入しています。短・中距離路線にはAirbus A320ファミリーを、長距離路線にはBoeing 787や777を投入しています。また、貨物輸送を担うLATAM Cargoも強力なネットワークを持っており、専用の貨物機を運用しています。

今後の機材更新計画として、最新鋭のAirbus A321neoやA321XLRの導入に加え、ブラジル国内線などの地域路線向けにEmbraer 195-E2の導入を予定しており、効率的な運航体制の構築を目指しています。
顧客ロイヤリティプログラムとラウンジ
400万人以上の会員を抱える「LATAM Pass」は、飛行距離に応じたマイル積算や提携企業のサービス利用が可能なプログラムです。会員ランクはGoldからBlack Signatureまでの5段階に分かれており、上位会員には特別な特典が提供されます。
また、主要空港にはチリの建築家マティアス・クロッツとオリビア・プットマンが設計したモダンなラウンジを設置。プレミアムビジネスやビジネス、プレミアムエコノミーの乗客、およびLATAM Passのプラチナ・ブラック会員が利用可能です。
企業概要まとめ
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 設立日 | 2012年6月22日 |
| 本社所在地 | チリ、サンティアゴ |
| 主要株主 | Sixth Street Partners, Strategic Value Partners, Delta Air Lines, Qatar Airways 等 |
| 就航都市数 | 166都市 |
| 保有機数 | 368機(2026年2月時点) |
| 従業員数 | 35,568名(2023年) |
Frequently Asked Questions
LATAM航空はどのようにして誕生しましたか?
2012年にチリのLAN航空とブラジルのTAM航空が合併して誕生しました。中南米の2大航空会社が統合することで、地域最大の航空ネットワークを構築することを目的としています。
パンデミック時の経営危機はどう乗り越えましたか?
2020年に米国のチャプター11(連邦破産法)を申請し、法的整理による債務再編と事業構造の改革を行いました。2022年に手続きを完了し、2024年にはニューヨーク証券取引所への再上場を果たしました。
デルタ航空とはどのような関係にありますか?
デルタ航空はLATAMの株式を保有する主要株主の一つであり、戦略的なパートナーシップを組んでいます。この提携により、北米と中南米を結ぶネットワークの連携が強化されています。
LATAM Passにはどのようなメリットがありますか?
飛行距離に応じてマイルを貯めることができ、特典航空券への交換や、会員ランク(GoldからBlack Signatureまで)に応じた空港ラウンジの利用、優先搭乗などの特典を受けることができます。
どのような機材を運用していますか?
エアバスA319/A320/A321シリーズや、ボーイング767/777/787などの大型機を運用しています。また、今後はEmbraer 195-E2などの新型機を導入し、路線の最適化を図る計画です。
References
- passenger operations
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