SF文学の金字塔とも言える作家、アンドレ・ノートン。彼女が手掛けた壮大なサーガ「タイム・トレーダーズ(The Time Traders)」シリーズの第4作目にあたるのが、『Key Out of Time』です。1963年に発表された本作は、熱帯の楽園のような惑星ハワイカを舞台に、時間旅行と異星人との対立、そして種族を超えた共闘を描いた物語です。
本作はノートンの「フォーランナー(Forerunner)」ユニバースの一部であり、地球の歴史を操作しようとする謎の異星種族「バルディーズ(Baldies)」との戦いが軸となっています。前作『The Defiant Agents』からの流れを汲みつつ、さらに深化させた世界観が展開されます。
Key Facts
- 著者:アンドレ・ノートン(Andre Norton)
- 初版刊行年:1963年
- ジャンル:サイエンスフィクション(SF)
- 舞台:水に覆われた熱帯惑星「ハワイカ」
- シリーズ:タイム・トレーダーズ(第4作)
- 主要な敵:時間旅行を用いて地球を改変しようとする異星人「バルディーズ」
物語のあらすじ:楽園に潜む危機と未知なる絆
物語は、タイム・エージェントであるロス・マードックとゴードン・アッシュが、入植者と共に惑星ハワイカへ降り立つところから始まります。彼らの目的は、遥か過去に存在したバルディーズの遺構を探索することでした。この任務において、彼らは知能を持つイルカたちと意思疎通を図り、重要な協力を得ます。
しかし、不測の事態が彼らを襲います。タイムゲート(時間移動装置)が激しい嵐によって破壊され、マードックとアッシュは互いに離れ離れの状態で、ハワイカの未知なる過去へと取り残されてしまったのです。
孤独な状況に置かれたマードックは、現地住民のロケスから、相棒のアッシュが城に囚われていることを知らされます。その後、マードックとロケスは海を旅する「ローバーズ」に捕らえられますが、次第に彼らと信頼関係を築き、バルディーズに占領されていた島を奪還することに成功します。マードックは、バルディーズが先住民同士を争わせることで支配を強めているという陰謀を暴き、住民たちの団結を促しました。
ついにアッシュと再会したマードックが見たのは、高度な能力を持つ神秘的な存在「フォアンナ」の姿でした。フォアンナは絶滅に瀕しており、世界にわずか3人しか残っていませんでした。彼らは自らの城を囮にしてバルディーズを誘い出す罠を仕掛けますが、数的に不利な状況に追い込まれます。
絶体絶命の危機の中、マードックとアッシュはフォアンナと精神的に融合するという未知のプロセスを受け入れます。この精神的な結合によって得た力により、彼らはバルディーズの攻撃を退け、勝利を収めました。
クライマックスにおいて、マードックはバルディーズの宇宙船へと転送されます。彼は船のコースをランダムな目的地へと設定し、同時に行われた地上施設への攻撃と合わせて、バルディーズを惑星ハワイカから完全に駆逐することに成功しました。
作品の評価と出版の歩み
本作は、特に若年層向けのSFにおける巨匠として知られるアンドレ・ノートンの想像力の豊かさと、緻密なプロット構成が高く評価されました。著名な書評誌『カーカス・レビュー(Kirkus Reviews)』は、彼女の細部へのこだわりと物語のコントロール力を称賛し、SFファンを十分に満足させる作品であると評しています。
1963年の初版以来、2012年までにカバーデザインを変更しながら17回もの再版が行われました。また、『The Defiant Agents』との合本版としても出版されるなど、長年にわたり読者に愛され続けています。
シリーズ構成とまとめ
「タイム・トレーダーズ」シリーズは、初期の作品から後年の共著まで、長い年月をかけて展開されました。以下にその刊行順をまとめます。
| 刊行年 | タイトル | 備考 |
|---|---|---|
| 1958年 | The Time Traders | シリーズ第1作 |
| 1959年 | Galactic Derelict | 第2作 |
| 1962年 | The Defiant Agents | 第3作 |
| 1963年 | Key Out of Time | 第4作(本作) |
| 1994年 | Firehand | ポールリン・M・グリフィンとの共著 |
| 1999年 | Echoes in Time | シャーウッド・スミスとの共著 |
| 2002年 | Atlantis Endgame | シャーウッド・スミスとの共著 |
Frequently Asked Questions
『Key Out of Time』は単独で読むことができますか?
物語の背景となる「バルディーズ」の設定やタイム・エージェントの役割は、シリーズの前作(特に『The Time Traders』や『The Defiant Agents』)で説明されています。単独でも楽しめますが、シリーズ順に読むことで、世界観やキャラクターの背景をより深く理解できます。
物語の舞台となる「ハワイカ」とはどのような場所ですか?
水に覆われた熱帯の惑星で、一見すると楽園のような美しい環境です。しかし、その裏では異星人バルディーズによる支配や、先住民同士の対立といった緊張感のある状況が描かれています。
「バルディーズ」とはどのような存在ですか?
時間旅行の技術を操る謎の異星種族です。彼らは地球の歴史や他惑星の状況を自分たちに都合よく改変しようと企んでおり、物語における主要な敵対勢力として登場します。
フォアンナとは何者ですか?
ハワイカにわずか3人だけ生き残った、高度な能力を持つ神秘的な種族です。彼らは主人公たちと精神的に融合することで、バルディーズに対抗するための強力な力を発揮しました。
アンドレ・ノートンの他の代表作にはどのようなものがありますか?
「タイム・トレーダーズ」以外にも、「ウィッチ・ワールド(Witch World)」シリーズや「ソーラー・クイーン(Solar Queen)」シリーズなど、多くの著名なSF・ファンタジー作品を執筆しています。