← ホームへ戻る

Jisc英国の高等教育・研究を支えるデジタルインフラの先駆者

🗓 2026年8月13日

現代の学術研究や教育において、高速なネットワーク接続と高度なデジタルリソースは欠かせません。英国においてこの基盤を担っているのがJiscです。Jiscは、大学やカレッジ、研究機関、そして公共セクターに対し、最先端のITサービスとデジタルコンテンツを提供することで、英国の教育・研究レベルを世界最高水準に保つ役割を果たしています。

現在はブリストルに本部を置き、ロンドン、マンチェスター、オックスフォードにも拠点を展開。非営利団体として、デジタル技術によるエンパワーメントを通じて、教育現場の可能性を最大限に引き出すことを目的として活動しています。

Key Facts

  • 設立: 1993年4月1日(旧称:Joint Information Systems Committee)
  • 組織形態: 非営利団体(チャリティ)
  • 主な役割: 英国の高等教育・継続教育および研究機関へのITインフラ提供
  • 主要サービス: JANETネットワーク、eduroam UK、JiscMailなど
  • 現CEO: Heidi Fraser-Krauss(2021年9月就任)

Jiscの歩みと組織の変遷

Jiscの歴史は、1993年に「Joint Information Systems Committee (JISC)」として始まったことに遡ります。もともとはイングランド、スコットランド、ウェールズの高等教育資金提供評議会の主導により、ネットワークや専門的な情報サービスの国家的なビジョンとリーダーシップを提供するために設立されました。

設立当初は大学中心の体制でしたが、1995年には北アイルランドが、1999年には継続教育(Further Education)の資金提供団体がパートナーに加わり、支援対象を大幅に拡大しました。この拡大に伴い、認証・セキュリティや電子情報などの専門的なサブ委員会が設置され、組織構造の最適化が進められました。

2000年代に入ると、ガバナンスの改革や情報公開法(Freedom of Information Act 2000)への対応など、公共機関としての透明性を高める取り組みを推進。また、オランダのSURF FoundationやドイツのDeutsche Forschungsgemeinschaftなど、国際的なパートナーシップを構築し、ITシステムの統合や知識交換を促進しました。

2012年には独立した非営利チャリティ法人となり、名称を現在の「Jisc」に変更。その後、Eduserv(2019年)、HECSU(2020年)、HESA(2022年)といったIT支援やデータ収集を行う団体を次々と統合し、英国の教育データとインフラを統合的に管理する巨大な組織へと成長しました。

提供される主要なデジタルサービス

Jiscは、単なるネットワーク提供者に留まらず、学術コミュニティ全体の効率を高めるための多様なツールを運用しています。

ネットワークとインフラストラクチャ

英国の大学やカレッジが共有するデジタル基盤であるJANETネットワークの提供が中核となっています。また、異なる機関の間でシームレスに無線LANを利用できるeduroam UKや、認証システム(Open Athens、UK Federation)の運用を通じて、研究者が場所を問わずリソースにアクセスできる環境を整備しています。

デジタルリソースとコンテンツ管理

学術雑誌のライセンス交渉をセクター全体で一括して行う「Jisc Collections」などの共同調達を実施し、コスト削減とアクセス権の確保を実現しています。また、学術機関のコレクションをカタログ化したArchives HubやLibrary Hubなどの共有サービスも提供しています。

コミュニケーションとセキュリティ

英国最大級の教育・研究用メールディスカッションコミュニティであるJiscMailを運営し、専門家同士の知見共有を支援しています。さらに、サイバーセキュリティ製品の提供や、デジタル技術の導入に関する専門的なアドバイスも行っています。

Jiscの主要サービス一覧
カテゴリー サービス名・内容 主な目的
ネットワーク JANET / eduroam UK 高速通信基盤と相互利用可能なWi-Fiの提供
認証・アクセス Open Athens / UK Federation デジタルリソースへの安全なアクセス管理
コンテンツ Jisc Collections / Archives Hub 学術雑誌の共同ライセンス契約とアーカイブ管理
コミュニティ JiscMail 研究者・教育者間のメールベースの議論と交流
コンサルティング デジタル技術アドバイザリー 教育・研究におけるIT導入の最適化支援

最近の動向と方針

Jiscは時代の変化に柔軟に対応しています。2018年には教育省の予算削減に伴い、一部の継続教育カレッジに対してサブスクリプション制を導入するなど、持続可能な財務モデルへの移行を図りました。

また、組織の価値観を重視した運営を行っており、2024年8月には、組織の価値観と相容れない状況にあるとして、X(旧Twitter)での一切の活動を停止することを発表しました。アカウントはなりすまし防止のために維持されますが、新たなコンテンツの投稿は停止しています。

Frequently Asked Questions

Jiscとはどのような組織ですか?

英国の高等教育、継続教育、および研究機関に特化したITサービスとデジタルリソースを提供する非営利団体です。ネットワークインフラの整備からコンテンツの共同調達まで、幅広く支援しています。

JANETネットワークとは何ですか?

Jiscが提供する、英国の大学や研究機関を繋ぐ共有デジタルインフラストラクチャのことです。これにより、学術コミュニティ全体で高速かつ安定した通信環境を共有しています。

JiscMailで何ができますか?

教育や研究に関する専門的なメールディスカッションリストを利用できます。数千のリストが存在し、世界中の研究者や教育者が特定のテーマについて議論し、情報を交換する場となっています。

eduroam UKを利用するメリットは何ですか?

一度自分の所属機関で設定を行えば、eduroamを導入している他の大学や研究機関に訪れた際、改めて設定することなく安全にWi-Fiを利用できる点にあります。

Jiscはどのようにして運営されていますか?

主に政府や大学からの資金提供を受けて運営されている独立したチャリティ団体です。一部のサービスについては、利用機関からのサブスクリプション料金を徴収して運営しています。

References

  1. "Heidi Fraser-Krauss takes over as CEO at Jisc, the UK's digital body for tertiary education and research". FE News. 16 September 2021. Retrieved 22 September 2021.
  2. "In From The Cold". Archived from the original on 17 June 2014. Retrieved 11 June 2022.{{}}: CS1 maint: bot: original URL status unknown ()
  3. HEFCE. Feb 2011. Review of the Joint Information Systems Committee Accessed: 31 March 2012
  4. "Jisc, registered charity no. 1149740". .
  5. Burke, Jude (6 March 2018). "Jisc cuts leave colleges paying a high price for essential IT services". FE Week. Retrieved 3 September 2020.
  6. Trendall, Sam (12 December 2018). "Eduserv to merge with Jisc". PublicTechnology.net. Retrieved 18 April 2020.
  7. "Jisc and HECSU Prospects announce merger". Jisc. 1 May 2020. Retrieved 27 May 2020.
  8. "Jisc and HESA confirm merger". HESA. 4 October 2020. Retrieved 4 October 2022.
  9. "University IT groups agree closer collaboration". ResearchProfessionalNews.com. 28 September 2022. Archived from the original on 7 April 2024. Retrieved 20 April 2024.
  10. Hogan, Sophie (22 August 2024). "Jisc to 'cease all activity' on Elon Musk's X". Research Professional News. Retrieved 4 September 2024.