現代の学術研究において、膨大な知識をいかにして次世代へ継承し、効率的に活用するかは極めて重要な課題です。この使命を担うのが、アメリカの非営利団体Ithaka Harbors(以下、Ithaka)です。同団体は、デジタル技術を駆使して学術的な記録を保存し、持続可能な形で研究や教育を促進することを目的として活動しています。
Ithakaは、世界的に有名な学術データベースであるJSTORや、デジタル保存サービスPorticoなどを傘下に持つ親組織として、大学や図書館、出版社などの学術コミュニティを包括的にサポートしています。
Key Facts
- 組織形態: 501(c)(3)認定の非営利団体
- 主要サービス: JSTOR、Portico、Ithaka S+R
- 設立背景: Andrew W. Mellon Foundationの助成により始動
- 主な目的: 学術記録のデジタル保存と研究・教育の発展
- 拠点: アメリカ合衆国ニューヨーク州ニューヨーク市
Ithakaの歩みと組織の成り立ち
Ithakaのルーツは、1995年に設立されたデジタルライブラリーのJSTORにあります。その後、2003年にはケビン・M・ガスリー(Kevin M. Guthrie)によってIthakaが設立されました。両組織とも、当初はウィリアム・G・ボーウェンが率いていたAndrew W. Mellon Foundationからの助成金によって運営されていました。
長年にわたり密接に連携してきたJSTORとIthakaは、2009年に合併しました。この統合は、デジタル技術を用いて学術機関の研究・教育レベルを向上させると同時に、共同行動を通じてシステム全体のコストを削減するという戦略的な方向性に基づいた「自然な流れ」であったとされています。
提供する主要サービスとその役割
Ithakaは、学術エコシステムの異なる側面をサポートするために、3つの主要なサービスを展開しています。
JSTOR:学術リソースの巨大データベース
JSTORは、学術雑誌、書籍、一次資料などを網羅した世界最大級のデジタルライブラリーです。研究者が効率的に資料にアクセスできる環境を提供しており、Ithakaの収益の大部分を支える中核事業となっています。
Portico:デジタルコンテンツの「最後の砦」
2002年に「電子アーカイブ・イニシアチブ」として始まり、2004年にIthakaへ移管されたPorticoは、電子ジャーナルの保存を専門とするアーカイブサービスです。最大の特徴は、出版社が廃業したり刊行を停止したりした際に、保存していたコンテンツを公開してアクセスを維持する「バックアップ」としての機能にあります。
Ithaka S+R:研究とコンサルティング
Ithaka S+Rは、図書館や出版社、大学などの非営利組織向けにリサーチ報告書の作成やコンサルティングを提供しています。特に、米国の大学教員や図書館長を対象とした3年ごとの大規模調査を実施しており、学術界の動向を分析する重要な役割を担っています。
外部評価と公的支援の実績
Ithakaの取り組みは、政府機関や財団からも高く評価されています。2004年には、電子ジャーナルの長期的なアクセスを確保する「Porticoプロジェクト」に対し、米国議会図書館から300万ドルのNDIIPP助成金を受け取りました。
また、2008年にはデジタル書籍の保存モデルを構築するプロジェクトが認められ、国立人文科学基金(NEH)および博物館・図書館サービス局(IMLS)からデジタル・パートナーシップ助成金の受領者に選出されています。さらに、米国労働省や米国陸軍からも、アーカイブコレクションの拡充に向けて連邦契約による資金提供を受けてきた実績があります。
組織概要まとめ
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 設立年(JSTOR) | 1995年 |
| 創設支援 | Andrew W. Mellon Foundation |
| 主要製品 | JSTOR, Portico, Ithaka S+R |
| 2019年総収益 | 1億500万ドル |
| 本社所在地 | ニューヨーク州ニューヨーク市 |
Frequently Asked Questions
Ithaka Harborsとはどのような組織ですか?
学術的な記録をデジタル技術で保存し、研究や教育を支援することを目的としたアメリカの非営利団体です。JSTORなどの著名なデジタルライブラリーサービスを運営しています。
Porticoの「dim archive(暗いアーカイブ)」とはどういう意味ですか?
通常はバックグラウンドでデータを保存し、出版社がコンテンツを提供できなくなった場合にのみ、そのデータを「点灯(lit up)」させて一般公開し、アクセスを維持する仕組みを指します。
Ithakaの主な収益源は何ですか?
主にJSTORのサービス利用料による収益で運営されています。例えば2019年には、総収益1億500万ドルのうち、7,900万ドルがJSTORから得られています。
Ithaka S+Rはどのような活動をしていますか?
大学や図書館などの組織に対し、調査研究やコンサルティングを提供しています。特に米国の教員や図書館長を対象とした定期的な意識調査などで知られています。
どのような人物が運営に関わっていますか?
ケビン・M・ガスリー氏が代表を務めているほか、ノースウェスタン大学元学長のヘンリー・ビーネン氏や、プリンストン大学元学長のウィリアム・G・ボーウェン氏など、学術界の権威ある人物が理事を務めています。
References
- "Kevin M. Guthrie". Ithaka Harbors. Archived from the original on February 19, 2015. Retrieved January 13, 2015.
- "President Emeritus Honored". . September 14, 2012. Archived from the original on September 21, 2014. Retrieved January 19, 2013. (subscription required)
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