ISRC code example
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ISRC(国際標準レコーディングコード)の仕組みと重要性

🗓 2026年8月13日

音楽業界において、膨大な数の音源を正確に管理し、識別することは不可欠です。そこで活用されているのがISRC(International Standard Recording Code)です。これは、サウンドレコーディング(音源)やミュージックビデオに個別のIDを割り当てるための国際規格であり、世界中で共通のルールに基づいて運用されています。

重要な点として、ISRCが識別するのは「楽曲(作曲や作詞などの作品)」ではなく、「特定の録音物(レコーディング)」であるということです。そのため、同じ曲であっても、異なるテイク、リミックス、あるいは再編集されたバージョンには、それぞれ別のISRCを割り当てる必要があります。なお、楽曲そのものを識別するためのコードにはISWCが用いられます。

Key Facts

  • 目的:個々の音源やミュージックビデオを世界的に一意に識別する。
  • 規格:ISO 3901として標準化されており、12文字の英数字で構成される。
  • 対象:録音された音源のみ。リマスター版やリミックス版は原則として新しいコードが必要。
  • 管理:IFPI(国際レコード産業連盟)が登録権限を持ち、各国の国内機関が運用している。

ISRCの歴史と展開

ISRCの基礎となるISO 3901は1986年に策定されました。その後、1988年にIFPIがミュージックビデオへの導入を推奨し、1989年にはIFPIが正式な登録機関として指定されました。これにより、世界各国の国内機関を通じて、レコード会社や個人アーティストへコードが配布される体制が整いました。

日本国内では、1989年11月からオーディオCDへのISRC書き込みが開始されました。その後、IFPIと米国レコード業界協会(RIAA)による詳細な運用ガイドラインが策定され、1992年1月からはIFPI加盟社に向けて正式な運用ルールが適用されることとなりました。

コードの構成とフォーマット

ISRCは常に12文字の形式で構成されており、一般的に「CC-XXX-YY-NNNNN」という形式で表記されます(ハイフンは視認性を高めるためのもので、コード自体には含まれません)。

  • 国コード(CC):ISO 3166-1 Alpha-2に基づいた2文字の国識別コードです。米国のように需要が非常に高い国では、コードが不足したため「QM」「QZ」「QT」などの代替コードや、国際機関が割り当てる「ZZ」などが使用されています。
  • 登録者コード(XXX):発行者を識別する3文字の英数字です。国コードと組み合わせて初めて一意の識別子となります。
  • 参照年(YY):コードが割り当てられた年の下2桁です。必ずしも録音された年とは一致しません。
  • 指定番号(NNNNN):その年の中で個別の録音物を識別するための5桁の固有番号です。

例えば、ケビン・マクラウド氏の楽曲「Monkeys Spinning Monkeys」に割り当てられた「USUAN1400011」というコードは、「US(米国)」「UAN(Incompetech社)」「14(2014年)」「00011(固有番号)」という構成になっています。

ISRC code example

ファイルのメタデータへの埋め込み

ISRCは、デジタルファイルのメタデータとして直接埋め込むことが可能です。これにより、ファイル形式が変わっても識別情報を保持しやすくなります。

対応している主なフォーマットは以下の通りです。

  • オーディオ:MP3, M4A, AAC, FLAC, OGG, WAV
  • ビデオ:MP4, M4V, MKV

具体的には、MP3で利用されるID3v2.2タグの「TSRC」フレームや、2012年に欧州放送連合(EBU)が仕様を公開したBroadcast Wave Format(BWF)などが活用されています。また、レッドブック規格のオーディオCDでは、CD-Textの一部としてISRCを保持させることができます。ただし、フォーマット変換時にデータが失われる可能性があるため、各形式ごとに個別に埋め込み作業を行うことが推奨されています。

ISRCの取得方法

ISRCの発行は、各国に任命された国内機関が管轄しています。例えば米国ではRIAAがその役割を担っています。取得方法は、国内機関から直接まとめて申請する方法のほか、認定されたISRCマネージャー(ISRC.comなど)を通じて少量のコードを購入する方法があります。

国内機関が存在しない地域では、IFPIやISRC.com、Quansic、Sound Creditなどの認定サービスから直接取得することが可能です。

主要な識別コードの比較まとめ

音楽・出版業界における主要識別コード一覧
コード名 識別対象 主な用途
ISRC 特定の録音物(音源・ビデオ) 音源の個体識別、権利管理
ISWC 音楽作品(楽曲・歌詞) 作曲・作詞の著作権管理
UPC / EAN 製品(アルバム・シングル) 小売店での商品管理・バーコード
ISBN 書籍 出版物の個体識別
LC レコードレーベル レーベル自体の識別

Frequently Asked Questions

リマスター盤をリリースする場合、元のISRCを使い回せますか?

いいえ。リマスターや改訂が行われた録音物には、通常、新しいISRCを割り当てる必要があります。

ISRCとISWCの違いは何ですか?

ISWCは「楽曲(メロディや歌詞)」という作品自体を識別するのに対し、ISRCは「その曲を誰がいつ録音したか」という具体的な録音物を識別します。

個人アーティストでもISRCを取得することは可能ですか?

はい。国内機関や認定されたISRCマネージャーを通じて、個人でもコードを取得することが可能です。

ISRCをファイルに埋め込むメリットは何ですか?

メタデータとして埋め込むことで、配信プラットフォームや管理システムが自動的に音源を識別でき、権利処理や統計管理が正確に行われるようになります。

国コードが不足している場合はどうなりますか?

米国などの需要が高い国では、ISO 3166-1以外の代替コード(QM, QZ, QTなど)や、国際ISRC機関が割り当てる「ZZ」などの予備コードが使用されます。

References

  1. "International Standard Recording Code (ISRC) Handbook – 4th Edition, 2021, International ISRC Registration Authority A.10.1 A re-mastered version of a recording is created". Retrieved 2022-10-01.
  2. "Resources – ISRC – Handbook (incorporating the ISRC Practical Guide) s321" (PDF).
  3. ISRC Bulletin 2015/01 – Validating an ISRC
  4. "Archived copy" (PDF). Archived from the original (PDF) on 2012-08-10. Retrieved 2012-07-10.{{}}: CS1 maint: archived copy as title ()
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