デジタルデータの機密性を保持するために不可欠なのがブロック暗号です。しかし、暗号アルゴリズム単体では固定長のデータしか処理できず、実際の長いメッセージを安全に暗号化するには、それをどのように適用するかという「運用モード」の定義が必要になります。この運用方法を国際的に標準化したのがISO/IEC 10116です。

本規格は、nビットという任意の長さを扱うブロック暗号において、どのような手順でデータを処理すべきかを規定しています。これにより、異なるシステム間でも一貫したセキュリティ手法を適用することが可能になります。

Key Facts

  • 規格の目的:任意のビット長を持つブロック暗号のための運用モードを定義すること。
  • 定義されているモード:ECB、CBC、CFB、OFB、CTRの5種類。
  • 適用範囲外:パディング(データの長さを調整する処理)の具体的な手法については本規格の範囲に含まれていない。

定義されている5つの運用モード

ISO/IEC 10116では、用途やセキュリティ要件に応じて選択できるよう、以下の5つの主要なモードが規定されています。

1. 電子コードブックモード (ECB)

最も単純な形式で、データを固定長のブロックに分割し、それぞれを独立して暗号化します。

2. 暗号ブロック連鎖モード (CBC)

前のブロックの暗号化結果を次のブロックの入力に組み込むことで、同じ平文であっても異なる暗号文を生成させます。

3. 暗号フィードバックモード (CFB)

暗号化された出力を次の入力としてフィードバックさせることで、ストリーム暗号のように動作させます。

4. 出力フィードバックモード (OFB)

内部的に生成した鍵ストリームを平文と排他的論理和(XOR)で結合させる方式です。

5. カウンタモード (CTR)

カウンタ値を暗号化して鍵ストリームを生成し、それを平文に適用します。並列処理に適しているのが特徴です。

規格の概要まとめ

ISO/IEC 10116で定義されている内容を以下の表にまとめます。

ISO/IEC 10116 規格概要
項目 詳細内容
規格名称 ISO/IEC 10116 Information technology — Security techniques — Modes of operation for an n-bit block cipher
対象 nビットのブロック暗号
規定モード ECB, CBC, CFB, OFB, CTR
除外事項 パディング手法の具体策

Frequently Asked Questions

ISO/IEC 10116とはどのような規格ですか?

任意のビット長を持つブロック暗号を、実際のデータ処理にどのように適用するかという「運用モード」を定めた国際標準規格です。

この規格で定義されている運用モードには何がありますか?

ECB(電子コードブック)、CBC(暗号ブロック連鎖)、CFB(暗号フィードバック)、OFB(出力フィードバック)、CTR(カウンタ)の5つのモードが定義されています。

パディング(Padding)についても規定されていますか?

いいえ。一部のモードではパディングが必要になりますが、その具体的な手法については本規格の範囲外とされています。

どのような暗号アルゴリズムに適用できますか?

特定のアルゴリズムに限定されず、nビットのブロック暗号であればどのような長さの暗号にも適用可能な汎用的な規格となっています。