繊維製品やコード類を製造する際、糸をどの方向にねじるかという「撚り(より)」の方向は、製品の品質や特性を決定づける重要な要素です。この方向性を世界共通で正確に伝えるために策定されたのが、国際標準規格であるISO 2です。
本規格は、単なる糸だけでなく、複合糸、スライバー(粗練糸)、スラブ、ロービング、さらには各種コード類に至るまで、幅広く適用されています。これにより、製造現場や取引先の間で、言葉の壁を越えて撚り方向を明確に指定することが可能になります。
Key Facts
- ISO 2は、糸やコード類の撚り方向を定義する国際規格である。
- 撚りの方向は、アルファベットの「S」と「Z」を用いて表記される。
- Z撚りは「右撚り(Right-handed)」、S撚りは「左撚り(Left-handed)」と定義される。
- この表記法は、1957年までにコード業界ですでに一般的に利用されていた。
撚り方向を決定する「S」と「Z」の仕組み
ISO 2では、視覚的に直感的に理解できるよう、アルファベットの形状を基準に撚り方向を区別しています。具体的には、文字の中央部分にある斜線の傾きが、糸の撚り方向と一致するように設計されています。
観察者が糸を見たとき、撚りが奥に向かって進む方向(ハンドネス)によって、以下のように分類されます。
Z撚り(右撚り)
アルファベットの「Z」の中央線が右下がりに傾いているように、撚りの方向が右側に進むものをZ撚りと呼びます。これは一般的に「右撚り」として知られています。
S撚り(左撚り)
一方で、アルファベットの「S」の中央部分の傾きに沿って、撚りの方向が左側に進むものはS撚りと定義されます。こちらは「左撚り」に該当します。

ISO 2規格の適用範囲と歴史
この規格が適用される対象は多岐にわたります。一般的な紡績糸はもちろんのこと、製造工程における中間製品であるスライバーやロービング、さらには強度を必要とする複雑な構造の複合糸や、産業用のコード類までが含まれます。
興味深いことに、この「S」と「Z」を用いた表記法は、ISOとして標準化される前から実用されていました。少なくとも1957年の時点ですでにコード業界では標準的な慣習として定着しており、その実用性の高さから国際規格へと発展した経緯があります。
| 表記 | 方向の定義 | 別称 | 視覚的基準 |
|---|---|---|---|
| Z | 右方向へ進む | 右撚り | 文字「Z」の中央の傾き |
| S | 左方向へ進む | 左撚り | 文字「S」の中央の傾き |
Frequently Asked Questions
ISO 2とはどのような規格ですか?
糸、複合糸、スライバー、コード類などの撚り方向を、世界共通の記号で指定するための国際標準規格です。
S撚りとZ撚りの見分け方は?
糸の撚りの傾きが、アルファベットの「S」の中央部分の傾きに似ていればS撚り、「Z」の中央部分の傾きに似ていればZ撚りと判断します。
「右撚り」と「左撚り」はどちらがどの記号に対応しますか?
Z撚りが「右撚り(Right-handed)」、S撚りが「左撚り(Left-handed)」に対応しています。
この表記法は最近作られたものですか?
いいえ。ISO規格になる前から利用されており、1957年までにはすでにコード業界で一般的に使用されていました。
どのような製品にこの規格が適用されますか?
一般的な糸のほか、スライバー、スラブ、ロービング、複合糸、および各種コード類などの関連製品に適用されます。