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ISO 19600 コンプライアンスマネジメントシステムの概要と変遷

🗓 2026年8月13日

現代の組織運営において、法令遵守や倫理的行動を管理する「コンプライアンス」の重要性は増すばかりです。その指針となるのが、国際標準化機構(ISO)が2014年4月に導入したISO 19600です。この規格は、組織がコンプライアンスマネジメントシステムCMS)を構築し、運用するためのガイドラインを提供することを目的としています。

ISO 19600は、あくまで助言的な性質を持つ「ガイドライン」であり、認証や認定を目的とした規格ではありません。組織が自社の状況に合わせて柔軟にコンプライアンス体制を整えるための道標としての役割を担っています。

Key Facts

  • 規格の性質: 認証目的ではなく、運用のための推奨事項を示すガイドラインである。
  • 基本理念: 優れたガバナンス、比例性、透明性、および持続可能性の原則に基づいている。
  • 運用手法: 計画・実行・評価・改善を繰り返す「PDCAサイクル」を採用している。
  • 後継規格: より厳格な要求事項を定め、第三者認証を可能にする「ISO 37301」への移行が進んでいる。

ISO 19600の成り立ちと背景

この国際規格のベースとなったのは、オーストラリアの規格である「AS 3806(コンプライアンス・プログラム)」です。1998年に発行され、2006年に更新されたこの規格は、特に金融業界で広く活用されており、オーストラリア証券投資委員会(ASIC)やオーストラリア健全性規制庁(APRA)からも支持されていました。

Standards Australiaの提案により、このAS 3806の概念が世界標準へと発展し、Martin Tolar氏が議長を務めたプロジェクト委員会(ISO/PC 271)によって策定されました。その後、2014年12月5日に最終版が公開されるに至りました。

規格の構造と運用の仕組み

ISO 19600は、他の多くのISO規格と共通する「ハイレベルストラクチャー(HSL)」を採用しており、以下の10個の条項で構成されています。

  1. 適用範囲
  2. 引用規格
  3. 用語および定義
  4. 組織の状況
  5. リーダーシップ
  6. 計画
  7. 支援
  8. 運用
  9. パフォーマンス評価
  10. 改善

この構造により、組織は個別の規制や特定のトピックごとにバラバラな管理体制を構築するのではなく、単一の統合されたフレームワークの中でコンプライアンスを管理することが可能になります。また、リスクマネジメントの国際規格であるISO 31000と密接に連携しており、リスク管理とコンプライアンス管理を統合的に運用できる点が特徴です。

ISO 19600の基本特性まとめ
項目 内容
目的 コンプライアンスマネジメントシステムの構築・維持・評価
形式 ガイドライン(推奨事項)
アプローチ PDCAサイクルおよびリスクベースアプローチ
関連規格 ISO 31000(リスクマネジメント)

次世代規格 ISO 37301への進化

現在、ISO/TC 309(組織のガバナンスに関する技術委員会)は、ISO 19600を置き換える新しい規格ISO 37301の開発を進めています。この移行における最大の変更点は、「推奨(ガイドライン)」から「要求事項(要件)」への転換です。

ISO 19600では「このように行うことが望ましい」という助言に留まっていましたが、ISO 37301では「システムを構築するためにこれらを満たす必要がある」という明確な基準が設けられます。これにより、組織は独立した第三者機関による審査を受け、自社のコンプライアンス体制が国際基準に適合していることを客観的に証明(認証取得)できるようになります。

Frequently Asked Questions

ISO 19600で認証を取得することはできますか?

いいえ、ISO 19600はガイドラインであるため、この規格に基づいた認定や認証は行われません。認証取得を希望する場合は、後継のISO 37301への対応を検討してください。

ISO 31000とはどのような関係がありますか?

ISO 31000はリスクマネジメントの規格であり、ISO 19600のプロセスはこれと非常に密接に整合しています。コンプライアンス管理は本質的にリスク管理の一環であるため、両者を組み合わせて運用することが推奨されます。

この規格を導入するメリットは何ですか?

個別の規制ごとに異なる管理手法を導入するのではなく、統一されたフレームワークで管理できるため、効率的な組織運営が可能になります。また、透明性と持続可能性の高いガバナンス体制を構築できます。

ISO 19600はどのような原則に基づいていますか?

主に「優れたガバナンス」「比例性(組織の規模や状況に応じた適切さ)」「透明性」「持続可能性」という4つの原則に基づいています。

References

  1. "Austria: ISO 19600: compliance management systems — guidelines". TheLawyer.com. Retrieved 3 May 2015.
  2. Hortensius, Dick. "What Is The General Idea Behind The Proposed ISO 19600?". Ethic Intelligence. Archived from the original on 24 October 2016. Retrieved 3 May 2015.
  3. "ISO 19600: Your questions, our answers". digital spirit. 2015. Archived from the original on 13 January 2017. Retrieved 3 May 2015.
  4. "ISO 19600:2014: Compliance management systems -- Guidelines". ISO. 19 December 2014. Retrieved 3 May 2015.