現代の高速ネットワークが普及する以前、データ通信の標準化は非常に重要な課題でした。その初期の取り組みの一つがISO 1745:1975です。この規格は、主にテレックス(Telex)などの通信システムを想定した、データ通信における基本モード制御手順を定義したものです。

Key Facts

  • テレックス向けに設計された初期の通信プロトコル規格である。
  • SOHやSTXなどの非印字ASCII制御文字を用いて通信を制御する。
  • 7ビットASCIIベースのシリアルデータ形式を規定している。
  • 現在はほとんど利用されていないが、ECMA版として内容を確認できる。

通信制御を司るASCII制御文字

ISO 1745:1975では、データの開始や終了、応答などを管理するために、ASCIIコードに含まれる非印字制御文字(画面に表示されない特殊な文字)を活用しています。これにより、送信側と受信側が互いの状態を同期させることが可能になります。

具体的に使用される制御文字には、ヘッダーの開始を示すSOH(Start of Heading)や、本文の開始・終了を告げるSTX(Start of Text)およびETX(End of Text)が含まれます。また、通信全体の終了を意味するEOT(End of Transmission)や、問い合わせを行うENQ(Enquiry)なども定義されています。

さらに、通信の信頼性を確保するために、正の応答を返すACK(Acknowledge)や、エラーを通知するNAK(Negative Acknowledge)といった応答信号、データリンクのエスケープ処理を行うDLE(Data Link Escape)、同期を維持するためのSYN(Synchronous Idle)、そしてデータブロックの区切りを示すETB(End of Transmission Block)が組み込まれています。

シリアルデータ形式の技術的仕様

この規格では、物理的なデータの伝送形式についても詳細に規定しています。採用されているのは、1文字ごとに特定のビット構成を持つシリアル形式です。

データは、まず通信の開始を知らせる「スタートビット」から始まり、続いて7ビットのASCIIコード(最下位ビットから順に送信)が送られます。その後、データの誤りを検出するための「パリティビット」が付加され、最後に「ストップビット」で1文字分が完結します。

なお、パリティビットの設定はネットワークの種類によって異なります。非同期ネットワークでは「偶数パリティ」、同期ネットワークでは「奇数パリティ」が使用される仕組みとなっていました。

ISO 1745:1975 データ構成まとめ
項目 仕様・内容
文字コード 7ビットASCII(LSB優先)
フレーム構成 スタートビット + データ(7bit) + パリティビット + ストップビット
非同期ネットワーク 偶数パリティを採用
同期ネットワーク 奇数パリティを採用
主な用途 テレックス指向の通信制御

現在の状況と入手方法

技術の進歩に伴い、ISO 1745:1975で定義されたプロトコルが実務で利用される機会は現在ほとんどありません。また、ISOによる原本のテキストは現在、一般に無料で公開されていません。

しかし、この規格に対応するECMAのドキュメントは公開されており、当時の通信仕様を研究・確認することが可能です。

Frequently Asked Questions

ISO 1745:1975とはどのような規格ですか?

テレックスなどのデータ通信システムにおいて、通信の制御手順(モード制御)を定めた初期の国際標準規格です。

どのような制御文字が使われていますか?

SOH, STX, ETX, EOT, ENQ, ACK, DLE, NAK, SYN, ETBといった、ASCIIの非印字制御文字が使用されています。

データの送信順序はどうなっていますか?

7ビットのASCIIコードを用いており、最下位ビット(LSB)から先に送信される形式となっています。

パリティビットのルールはどうなっていますか?

ネットワークの方式によって異なり、非同期ネットワークでは偶数パリティ、同期ネットワークでは奇数パリティが適用されます。

現在でもこの規格を利用できますか?

実用的な利用例はほぼなくなっていますが、ECMAが提供する対応バージョンを通じて仕様を確認することができます。