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ISO 15118が実現するEV充電の未来Plug & ChargeとV2Gの仕組み

🗓 2026年8月13日

電気自動車(EV)の利便性を飛躍的に高める鍵となるのが、車両と充電インフラ間の通信規格です。その中心にあるISO 15118は、単なる電力供給のルールではなく、車両とグリッド(電力網)が高度に連携するための国際標準規格です。この規格により、ユーザーは煩わしい認証手続きから解放され、エネルギーの効率的な管理が可能になります。

Key Facts

  • V2G(Vehicle-to-Grid)を実現し、EVの双方向充電・放電を可能にする通信インターフェース規格。
  • Plug & Charge機能により、ケーブルを接続するだけで認証と決済が自動的に完了する。
  • TLS(Transport Layer Security)を用いた高度なセキュリティ通信と、公開鍵基盤(PKI)を採用。
  • 乗用車だけでなく、バスやトラックなどの大型商用車への適用も想定されている。
  • 有線(AC/DC)およびワイヤレス充電の両方に対応。

ISO 15118の概要と役割

ISO 15118は、国際標準化機構(ISO)と国際電気標準会議(IEC)が共同で策定した規格です。2010年に開発が始まり、2014年に初版が公開されました。この規格の最大の目的は、EVと充電設備(EVSE)の間で双方向の通信を確立し、V2G(Vehicle-to-Grid)、つまり車両から電力網へ電力を戻す仕組みや、電力需要に応じたスマート充電を実現することにあります。

この規格は、単一の文書ではなく、物理層からアプリケーション層までをカバーする複数のパートで構成されており、技術的な詳細を定義しています。

革新的なユーザー体験「Plug & Charge」

ISO 15118が提供する最も利便性の高い機能がPlug & Chargeです。これは、ドライバーが充電ケーブルを車両に差し込むだけで、車両が自動的に充電ステーションへ身元を証明し、課金承認を得る仕組みです。従来の充電のように、RFIDカードをかざしたり、スマートフォンアプリで操作したりする必要はありません。

この自動認証は、車両とステーションが「公開鍵証明書」を交換することで安全に行われます。これにより、ユーザーは「プラグを差し込むだけ」という極めてシンプルな操作で充電を開始できます。

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対応車種の広がり

多くの主要メーカーがこの規格の導入を進めています。2021年モデルではAudi e-tron GTやPorsche Taycan、Mercedes-Benz EQS、Ford Mustang Mach-Eなどが対応し、2024年モデルではBMWのi4/i5/i7/iXや、HyundaiのIoniq 5/6などがラインナップに加わっています。また、VolkswagenのIDシリーズ(ID.4/ID.5など)もアップデートを通じて対応しています。

独自規格と代替手段との違い

一方で、Teslaは2012年以降、独自のPlug & Charge的な仕組みを導入しています。また、「Autocharge」と呼ばれるDIN Spec 70121ベースの手法も存在します。Autochargeは車両の固定MACアドレスを利用して認証を行いますが、証明書チェーンを持たないため、ISO 15118ベースのPlug & Chargeよりもセキュリティ面で劣るとされています。一部のメーカーでは、より安全なISO 15118への移行に伴い、Autocharge機能を制限する動きも見られます。

セキュリティ基盤と通信プロトコル

安全な決済と認証を実現するため、ISO 15118ではTLS(Transport Layer Security)による暗号化通信が必須となっています。これを支えるのがV2G-PKI(Vehicle-to-grid Public Key Infrastructure)という公開鍵基盤です。このインフラにより、信頼された証明書を用いて車両と充電器が互いを認証します。

欧州や米国ではHubjectなどの企業がこのPKIエコシステムの構築を主導しており、メーカーや充電事業者が共通の基盤で相互運用できるように取り組んでいます。

規格の構成と適用範囲

ISO 15118は多岐にわたる技術要件を定義しており、以下のような構成になっています。

ISO 15118 規格構成まとめ
パート 主な内容
ISO 15118-1 一般情報およびユースケースの定義
ISO 15118-2 / -20 ネットワークおよびアプリケーション層の要件(-20は第2世代)
ISO 15118-3 / -8 / -10 物理層およびデータリンク層(有線、ワイヤレス、シングルペアEthernet)
ISO 15118-4 / -5 / -9 / -21 各層の適合性試験(コンフォーマンステスト)
ISO 15118-12 バッテリー情報の価値付加サービスに関するメッセージ交換(開発中)

商用車への展開

この規格は乗用車だけでなく、バスやトラック、港湾で使用される自動搬送車(AGV)などの大型車両にも適用されます。ただし、商用利用でWLAN(ISO 15118-8)を用いる場合は、稼働率の保証が困難なため、信頼性の高い有線プロトコル(ISO 15118-2)の採用が推奨されています。

Frequently Asked Questions

Plug & Chargeと通常の充電は何が違うのですか?

通常の充電では、アプリやカードを使ってユーザー認証と支払い設定を行う必要がありますが、Plug & Chargeでは車両自体が認証情報を保持しているため、ケーブルを接続するだけで自動的に認証と決済が完了します。

V2Gとは具体的にどのような機能ですか?

Vehicle-to-Gridの略で、EVのバッテリーに蓄えた電力を充電ステーション経由で電力網(グリッド)に戻す仕組みです。これにより、電力需要のピークカットや再生可能エネルギーの有効活用が可能になります。

ISO 15118はワイヤレス充電にも対応していますか?

はい、対応しています。有線(AC/DC)だけでなく、ワイヤレス充電における通信インターフェースについても規格内で定義されています。

AutochargeとPlug & Chargeのどちらが安全ですか?

Plug & Chargeの方が安全です。AutochargeはMACアドレスという識別子を利用しますが、Plug & ChargeはPKI(公開鍵基盤)による証明書チェーンを用いた暗号化通信を行うため、なりすましなどのリスクを大幅に低減できます。

どのような車種でこの機能が使えますか?

Audi、Porsche、Mercedes-Benz、BMW、Hyundai、Fordなどの最新モデルの多くが対応しています。ただし、車種や年式によってはハードウェアのアップデートが必要な場合があります。

References

  1. "ISO 15118-1:2019 Road vehicles — Vehicle to grid communication interface — Part 1: General information and use-case definition". ISO. April 2019. Archived from the original on 26 August 2019.
  2. "Electric Vehicle Charging Open Payment Framework with ISO 15118" (PDF). . February 2021. Archived (PDF) from the original on 2 June 2021.
  3. IEC Technical Committee 69
  4. ISO technical committee 22 subcommittee 31
  5. ISO technical committee 22
  6. Mültin, Marc (6 July 2021). "What is ISO 15118? | Switch". www.switch-ev.com. Archived from the original on 23 October 2021.
  7. Berman, Bradley (11 August 2020). "ISO EV Plug and Charge standard faces security concerns". www.sae.org. . Archived from the original on 13 August 2020.
  8. "Plug&Charge: The missing link to a breakthrough". electrive.com. 15 December 2020. Archived from the original on 26 October 2021.
  9. "Hubject launces Plug&Charge testing system". electrive.com. 17 November 2021.
  10. Mültin, Marc (6 July 2021). "The basics of Plug & Charge | Switch". www.switch-ev.com. Archived from the original on 3 September 2021.