From left: György Ligeti, his son Lukas, his wife Vera Spitz, Conlon Nancarrow and Michael Daugherty at ISCM World Music Days in Graz, Austria, 1982
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ISCM(国際現代音楽協会)が切り拓く現代音楽の地平

🗓 2026年8月14日

音楽の歴史において、常に「新しい響き」を追求し、国境を越えて前衛的な表現を支援してきた組織があります。それがISCM(International Society for Contemporary Music:国際現代音楽協会です。1922年に設立されて以来、この協会は世界中の作曲家や演奏家にとって、革新的な作品を披露し、批評的な対話を深めるための不可欠なプラットフォームとして機能してきました。

ISCMの活動の核心にあるのは、特定の様式に縛られず、多様な現代音楽を世界に発信するという精神です。その影響力は、20世紀から21世紀にかけての音楽史における重要な転換点に常に寄り添ってきました。

Key Facts

  • 設立年:1922年
  • 創設者:エゴン・ヴェレス(Egon Wellesz)
  • 発祥地:ドイツ、ザルツブルク
  • 主要活動:「World Music Days(世界音楽祭)」の開催
  • 組織構造:Internationale Gesellschaft für Neue Musik (IGNM) を親組織に持つ
  • 現会長:フランク・J・オテリ(Frank J. Oteri)

世界音楽祭(World Music Days)の軌跡

ISCMの最も象徴的な活動が、毎年異なる都市で開催されるWorld Music Daysです。1923年のザルツブルクでの第1回開催以来、この音楽祭はヨーロッパのみならず、北米、アジア、アフリカ、オセアニアへとその舞台を広げてきました。

この祭典は単なるコンサートシリーズではなく、当時の最前線にいた作曲家たちが互いの作品を検証し合う「実験場」としての役割を果たしてきました。例えば、1982年にはオーストリアのグラーツで盛大に開催され、多くの重要な作品が披露されました。

From left: György Ligeti, his son Lukas, his wife Vera Spitz, Conlon Nancarrow and Michael Daugherty at ISCM World Music Days in Graz, Austria, 1982

歴史的な変遷の中で、第二次世界大戦による中断や、近年のパンデミックによる延期(2020年のニュージーランド公演など)もありましたが、2024年のフェロー諸島、2025年のポルトガル、そして2026年に予定されているルーマニアのブカレストへと、その歩みは止まることなく続いています。

音楽史を彩る巨匠たちと初演作品

ISCMは、音楽史に名を刻む数多くの作曲家を名誉会員として迎えています。アーノルド・シェーンベルク、イゴール・ストラヴィンスキー、モーリス・ラヴェル、そして日本の武満徹や黛敏郎といった巨匠たちがその名を連ねており、彼らの前衛的な試みがISCMという枠組みの中で支持されてきました。

また、World Music Daysでは、後に古典となる重要な作品の初演が数多く行われました。1924年のシェーンベルク『期待』や、1955年のブーレー『持ち主のない金槌』、1960年のシュトックハウゼン『コンタクト』など、音楽の概念を塗り替えた作品がこの地で産声を上げています。

ISCMにおける主要な演奏と初演の例

以下に、ISCMの歴史において特に重要な意味を持つ作品の一部をまとめます。

ISCMにおける歴史的マイルストーン
開催年 開催地 作曲家 作品名(初演または重要演奏)
1923 ザルツブルク パウル・ヒンデミット 弦楽四重奏とクラリネットのための五重奏作30(初演)
1924 プラハ アーノルド・シェーンベルク 期待 作17(初演)
1936 バルセロナ アルバン・ベルク ヴァイオリン協奏曲(初演)
1955 バーデンバーデン ピエール・ブーレー 持ち主のない金槌(初演)
1960 ケルン カールハインツ・シュトックハウゼン コンタクト(初演)
1982 グラーツ コンロン・ナンカロウ プレイヤーピアノのための作品群(初演)

厳格な審査と運営体制

World Music Daysで演奏される作品は、非常に厳格な審査を経て選出されます。審査員には、ナディア・ブーランジェやピエール・ブーレー、エリオット・カーターといった、時代を代表する音楽家たちが名を連ねてきました。これにより、芸術的な質が担保され、世界的に価値のある作品が発掘される仕組みとなっています。

現在の運営は、会長のフランク・J・オテリ氏を中心とする執行委員会(ExCom)が担っており、ベルギー、スウェーデン、台湾、ウェールズ、カナダ、スロバキアなど、多国籍なメンバーによってグローバルな視点での運営が行われています。

Frequently Asked Questions

ISCMとはどのような組織ですか?

1922年にエゴン・ヴェレスによって設立された、現代音楽の普及と振興を目的とする国際的な協会です。世界中の新しい音楽を支援し、作曲家や演奏家のネットワークを構築しています。

「World Music Days」とは何ですか?

ISCMが主催する世界的な現代音楽祭です。毎年異なる都市で開催され、厳選された現代作品の初演や演奏が行われる、現代音楽の最前線を示すイベントです。

どのような作曲家が関わっていますか?

シェーンベルクやストラヴィンスキー、武満徹など、20世紀以降の音楽史に影響を与えた多くの作曲家が名誉会員となっており、また数多くの若手・中堅作曲家が作品の選出を通じて参加しています。

日本での開催実績はありますか?

はい。例えば2001年には横浜で開催されており、アジア圏における現代音楽の交流拠点としての役割も果たしています。

今後の開催予定はどうなっていますか?

2025年にはポルトガルのリスボンとポルト、2026年にはルーマニアのブカレストでの開催が予定されています。

References

  1. "archives.nypl.org – League of Composers/ISCM records". Archives.nypl.org. Retrieved 24 May 2018.
  2. Fauser, AnneGret. 'The Scholar behind the Medal: Edward J. Dent (1876–1957) and the Politics of Music History', in Journal of the Royal Musical Association Vol. 139, No. 2 (2014), pp. 235–260
  3. Haas, Michael. 'Egon Wellesz: The Forgotten Modernist', in Forbidden Music, 4 June 2014
  4. Fanning, David; Levi, Erik (6 December 2019). The Routledge Handbook to Music under German Occupation, 1938–1945: Propaganda, Myth and Reality. Routledge.  . Retrieved 22 December 2021 – via Google Books.
  5. Bedford, Herbert. Letter to The Musical Times, February 1936, p 159
  6. "2021 Shanghai, Nanning". www.iscm.org. Retrieved 5 November 2021.
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  10. Executive Committee, iscm.org, 2025.