Hematite, the main iron ore found in Brazilian mines
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鉄鉱石の基礎知識種類から世界市場、製鋼プロセスまで

🗓 2026年8月13日

現代社会のインフラを支える鋼鉄の主原料となるのが鉄鉱石です。鉄鉱石とは、経済的に採算が合う形で金属鉄を抽出できる岩石や鉱物の総称であり、その多くは酸化鉄を豊富に含んでいます。外観は暗灰色や鮮やかな黄色、深い紫色から錆びたような赤色まで多岐にわたります。

採掘された鉄鉱石の約98%は、鋼鉄の基礎となる「銑鉄」の製造に使用されます。その経済的重要性は極めて高く、ある分析では石油に匹敵するほど世界経済に不可欠なコモディティであると評されています。

Key Facts

  • 主要成分:マグネタイト、ヘマタイト、ゲータイト、リモナイト、シデライトなどの酸化鉄。
  • 用途:採掘量のほとんどが鋼鉄製造に利用される。
  • 主要生産国:オーストラリアとブラジルが世界市場を牽引している。
  • 最大消費国:中国が世界最大の鉄鉱石輸入国および鋼鉄生産国である。
  • 価格指標:伝統的に鉄分62%が基準だったが、2026年からは61%への移行が予定されている。

鉄鉱石の種類と特性

鉄鉱石は含まれる鉱物組成によって分類されます。代表的なものに、鉄分含有率が高いマグネタイト(約72.4% Fe)やヘマタイト(約69.9% Fe)があります。また、ゲータイト(約62.9% Fe)、リモナイト(約55% Fe)、シデライト(約48.2% Fe)なども存在します。

特に鉄分含有率が60%を超える高品質な鉱石は「天然鉱」または「直接出荷鉱(Direct Shipping Ore)」と呼ばれ、選鉱工程を経ずにそのまま高炉へ投入することが可能です。

Hematite, the main iron ore found in Brazilian mines

マグネタイトとヘマタイト

マグネタイトを含む縞状鉄鉱層(BIF)の場合、鉄分が約25%あれば経済的な採掘が可能とされ、濃縮工程を経て64%以上の鉄分を含む精鉱が作られます。一方、ヘマタイト主体の鉱石は直接出荷に適しており、効率的な生産が可能です。

Banded iron rock, estimated at being 2.1 billion years old

鉄の抽出と製錬プロセス

鉄鉱石から純粋な鉄を取り出すには、化学的な還元反応が必要です。一般的な製錬では、コークス(炭素)を用いて酸化鉄から酸素を取り除きます。このプロセスは、ヘマタイトからマグネタイト、そして酸化第一鉄(FeO)を経て、最終的に金属鉄(Fe)へと段階的に還元されます。

また、石灰石を加えて石灰(CaO)を生成させ、鉱石に含まれる不純物であるシリカ(SiO₂)をスラグとして除去する工程が不可欠です。

Stockpiles of iron ore pellets like this one are used in steel production.

不純物が鉄の性質に与える影響

鉱石に含まれる微量元素は、完成した鉄の特性を変化させます。

  • シリコン(ケイ素):高温度の炉で還元されると合金となり、鋳鉄に含まれます。
  • リン:含有量が増えると硬度と強度が向上しますが、過剰になると脆くなる場合があります。また、溶融鉄の流動性を高めるため、複雑な鋳造に適しています。
  • 硫黄:「ホワイトアイアン」の形成を促進し、硬くなりますが脆くなるため、一般的に低く抑えられます。
Processed taconite pellets with reddish surface oxidation used in steelmaking with a US quarter (24 mm [0.94 in] diameter) shown for scale

鉱山尾鉱(テイルズ)の再利用

鉄鉱石の精鉱1トンを生産する際、約2.5〜3.0トンの「鉱山尾鉱(テイルズ)」と呼ばれる廃棄物が発生します。世界では年間1億3,000万トンもの尾鉱が排出されており、ここには依然として鉄分や銅、ニッケル、コバルトなどの有用金属が含まれています。

これらの廃棄物を再利用する方法として、700〜900℃で処理して磁性を高める「磁化焙焼」や、1,000℃以上の高温で処理して直接鉄を取り出す「直接還元法」があります。また、道路の舗装材やセメントなどの建設資材としても活用されています。

世界的な生産と消費の動向

鉄鉱石の生産は、オーストラリアとブラジルの2か国が圧倒的なシェアを誇り、海上貿易の約72%を支配しています。特にオーストラリアのピルバラ地域は世界有数の生産拠点です。

Evolution of the extracted iron ore grade in Canada, China, Australia, Brazil, United States, Sweden, the Soviet Union and Russia, and the world. The recent drop in world ore grade is due to significant consumption of low-grade Chinese ores. American ore, on the other hand, is typically upgraded between 61% and 64% before being sold.[23]

消費面では、中国が世界最大の消費国であり、海上貿易量の半分以上を輸入しています。日本や韓国も重要な消費国として知られています。

An illustration of iron ore being unloaded at docks in Toledo, Ohio

主要生産国の状況

主要国別 鉄鉱石生産量(参考値)
国名 生産量(トン)
オーストラリア 817,000,000
ブラジル 397,000,000
中国 375,000,000
インド 156,000,000
ロシア 101,000,000
世界合計 2,280,000,000

市場価格の決定メカニズム

長年、鉄鉱石の価格は少数の大手鉱山会社と製鋼メーカーによる密室での交渉で決定されてきました。かつては日本の輸入業者が交渉の主導権を握っていましたが、2000年代後半からは中国がその役割を担うようになっています。

Iron ore prices (monthly) China import/inbound iron ore spot price[29] Global iron ore price[30]

価格の基準となる「ベンチマーク」は、従来、鉄分含有量62%の鉱石に基づいて設定されてきました。しかし、採掘される鉱石の平均品位が低下しているため、実態に合わせて2026年からは61%を基準とする新体制への移行が進められています。

Iron ore prices (daily) 25 October 2010 - 4 August 2022

Frequently Asked Questions

鉄鉱石の「品位」とは何を指しますか?

一般的に、鉱石の中に含まれる金属鉄の重量比率(%)を指します。品位が高いほど、少ない鉱石量から多くの鉄を抽出できるため、経済的価値が高くなります。

なぜ中国がこれほど多くの鉄鉱石を輸入しているのですか?

中国は世界最大の鋼鉄生産国であり、都市開発やインフラ整備に伴う鋼材需要が極めて高いため、自国生産だけでは賄えず、大量の輸入に頼っているためです。

鉄鉱石は将来的に枯渇する可能性がありますか?

鉄は地球上で非常に豊富な元素ですが、経済的に採掘可能な「埋蔵量」には限りがあります。一部の専門家は需要の増加に基づき、数十年以内に枯渇する可能性を指摘していますが、採掘技術の向上や低品位鉱の利用によって寿命は延びると考えられています。

直接出荷鉱(DSO)のメリットは何ですか?

選鉱(不純物を取り除く工程)を行う必要がなく、そのまま高炉に投入できるため、処理コストと時間を大幅に削減できる点が最大のメリットです。

References

  1. The mine production estimates for China are estimated from the National Bureau of Statistics China's crude ore statistics, rather than usable ore as reported for the other countries.

📸 フォトギャラリー

Hematite, the main iron ore found in Brazilian mines
Stockpiles of iron ore pellets like this one are used in steel production.
An illustration of iron ore being unloaded at docks in Toledo, Ohio
Banded iron rock, estimated at being 2.1 billion years old
Processed taconite pellets with reddish surface oxidation used in steelmaking with a US quarter (24 mm [0.94 in] diameter) shown for scale
Evolution of the extracted iron ore grade in Canada, China, Australia, Brazil, United States, Sweden, the Soviet Union and Russia, and the world. The recent drop in world ore grade is due to significant consumption of low-grade Chinese ores. American ore, on the other hand, is typically upgraded between 61% and 64% before being sold.[23]
Iron ore prices (monthly) China import/inbound iron ore spot price[29] Global iron ore price[30]
Iron ore prices (daily) 25 October 2010 - 4 August 2022