英国海軍の誇るタイプ42駆逐艦(Type 42 destroyer)の一隻であるHMSリバプールは、冷戦末期から21世紀初頭にかけて、防空および多目的任務で重要な役割を果たしました。バーケンヘッドのカメル・レアード造船所で建造された本艦は、その運用期間を通じて、地政学的な緊張への対応から人道支援、そして激しい実戦に至るまで、多様な任務に従事しました。
本艦は1980年に進水し、1982年に就役しました。タイプ42バッチ2の最終艦として、当時の最新鋭の防空能力を備えていたことが特徴です。

主要スペックと特徴
HMSリバプールは、主に航空機やミサイルからの攻撃を防ぐ「防空」に特化した設計となっていました。特に、長距離対空ミサイルであるシーダート(Sea Dart)の運用能力が中核となっていました。
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 排水量 | 4,820トン |
| 全長 / 全幅 | 125m / 14.3m |
| 推進方式 | COGOG(複合ガスタービン)2軸 |
| 最大速力 | 30ノット(約56km/h) |
| 乗員数 | 287名 |
| 主要武装 | シーダート誘導弾、4.5インチ単装砲、ファランクスCIWS |
| 搭載機 | リンクス HMA8 ヘリコプター 1機 |
また、近接防御兵器システム(CIWS)であるファランクスを搭載しており、ミサイルなどの高速目標に対する最終的な防御網を構築していました。

運用履歴:冷戦から人道支援まで
1982年の就役直後、フォークランド紛争への派遣準備が進められましたが、出航前に終戦を迎えたため、直接的な戦闘には参加しませんでした。その後は、紛争で得られた教訓を反映した改良試験艦としての役割を担いました。
1980年代後半には、ロシア北岸でソ連海軍のミサイル発射などの監視・データ収集任務に従事し、冷戦期の緊張感の中で活動しました。また、1989年からはペルシャ湾での「オペレーション・アルミラ」に複数回派遣され、地域の安定化に寄与しました。
軍事任務以外では、1995年のモンセラート島におけるスフレリエール・ヒルズ火山の噴火の際、重要な人道支援活動を展開しました。空港が破壊され航空輸送が不可能な状況下で、約7,000人の住民を近隣の島々へ避難させる輸送任務を完遂しました。
実戦と晩年の活動
2000年代に入ると、2003年のイラク戦争への参加や、カリブ海での麻薬密輸取り締まりパトロールなど、任務の幅を広げました。2010年には、空母アーク・ロイヤルを旗艦とするタスクグループの護衛として、北米への展開(演習オーリガ)にも参加しています。

本艦の運用における最大のハイライトは、2011年のリビア内戦における「オペレーション・ユニファイド・プロテクター」への参加です。NATOによる海上封鎖に従事したリバプールは、カダフィ政権軍の沿岸砲台から攻撃を受けた初の英国海軍艦艇となりました。これに対し、4.5インチ主砲を用いて反撃し、砲台を沈黙させました。
特に8月16日の作戦では、激しい艦砲射撃を行い、武器や弾薬を運んでいた政権軍の車両車列を壊滅させるなど、決定的な打撃を与えました。リビアでの作戦期間中、主砲から200発以上の砲弾を発射したと記録されています。

2012年には、ロシア海軍の航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフを護衛し、北欧でのNATO演習「コールド・レスポンス」にも参加しました。その後、2012年3月30日に正式に退役し、2014年10月に解体されました。
Key Facts
- タイプ42駆逐艦の最終艦: バッチ2として運用された最後の個体であった。
- リビアでの実戦: フォークランド紛争以来、英国海軍艦艇として初めて意図的な攻撃を受け、主砲で応戦した。
- 人道支援の功績: 火山噴火に見舞われたモンセラート島から数千人を避難させた。
- 武装の象徴: 搭載されていた4.5インチ砲は、現在ゴスポートの博物館に展示されている。
Frequently Asked Questions
HMSリバプールはフォークランド紛争に参加しましたか?
いいえ、派遣準備は進めていましたが、出航前に紛争が終結したため、直接的な戦闘には参加しませんでした。その後は実戦経験に基づいた改良の試験艦として活用されました。
リビア内戦でどのような役割を果たしましたか?
NATOの海上封鎖任務に従事し、カダフィ政権軍の船舶の阻止や、沿岸砲台および車両車列に対する艦砲射撃を行い、反体制派を支援しました。
「タイプ42駆逐艦」とはどのような船ですか?
主に防空任務を目的とした誘導ミサイル駆逐艦です。シーダートミサイルを主兵装とし、艦隊を航空攻撃から守る役割を担っていました。
退役後の本艦はどうなりましたか?
2012年3月に退役し、2014年10月に解体されました。ただし、搭載されていたMk 8 4.5インチ砲は、ハンプシャー州ゴスポートの「Explosion Museum of Naval Firepower」に保存・展示されています。
References
- "Liverpool's show of force drives back Gaddafis gunboats". Navy News. Retrieved 31 January 2015.[]
- "Homecoming for Gulf ship". Navy News page 12. January 1994.
- Gray, Sadie (28 August 2008). "HMS Liverpool sailors caught using cocaine". The Guardian. Retrieved 31 January 2015.
- "Royal Navy warships return home from major US exercise". . 16 August 2010. Retrieved 31 January 2015.
- Powell, Michael (29 March 2011). "Libya mission for Portsmouth based HMS Liverpool". Portsmouth News. Retrieved 31 January 2015.
- "Liverpool intercepts suspect ship bound for Libya". Navy News. 2011. Archived from the original on 29 April 2011. Retrieved 31 January 2015.
- "Liverpool home in triumph from Libyan mission". Navy News. 7 November 2011. Archived from the original on 16 October 2017. Retrieved 31 January 2015.
- "Cameron invites Libya rebels to open office in UK". BBC News. 12 May 2011. Retrieved 31 January 2015.
- "Warship fires on Gaddafi forces". . 28 June 2011. Retrieved 31 January 2015.
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