地質学や土木工学において、堆積物を構成する個々の粒子の大きさを測定し、その分布を分析することは非常に重要です。これを粒度学(Granulometry)と呼びます。粒子サイズ(粒径)とは、堆積物の個々の粒や砕屑岩に含まれる粒子の直径を指します。これは、一つの粒子内部にある単一の結晶の大きさを指す「結晶サイズ」とは異なる概念であり、一つの粒子が複数の結晶で構成されている場合もあります。
粒子の大きさは、極めて微細なコロイド粒子から、粘土、シルト、砂、礫(れき)、そして巨大な巨礫に至るまで、非常に幅広い範囲にわたります。
Key Facts
- 粒径の定義:堆積物や砕屑岩を構成する個々の粒子の直径のこと。
- 主要な尺度:米国で広く使われるWentworthスケールや、対数を用いたKrumbein phiスケールがある。
- 国際規格:土木工学的な土壌分類にはISO 14688-1:2017が適用される。
- 分級(Sorting):河川や風などの作用により、特定の粒径範囲が選別される現象。
粒径の分類体系と尺度
WentworthスケールとKrumbein phiスケール
米国で一般的に用いられるのが、チェスター・K・ウェントワースとヨハン・A・ウッデンによって確立されたWentworthスケールです。また、1934年にW.C.クラムベインが導入したKrumbein phi (φ) スケールは、粒径を対数的に表現することで、広範囲なサイズを扱いやすくしたものです。
phiスケールの計算式は $\varphi = -\log_{2} (D / D_{0})$ で表されます。ここで $D$ は粒子の直径(mm)、$D_{0}$ は基準となる直径(1mm)です。この数式を用いることで、粒径 $D$ を $\varphi$ から逆算することも可能です。

国際標準(ISO 14688-1)による分類
工学的な目的で土壌を識別・分類する場合、ISO 14688-1:2017という国際規格が利用されます。これは自然土壌だけでなく、人工的な材料や再堆積した土壌にも適用され、より実務的な基準に基づいた分類が行われます。

粒径分布と分級の評価
堆積物の集積状態を把握するには、単一のサイズではなく、どのような粒径がどの程度の割合で含まれているかという「粒径分布」を分析する必要があります。風や水流などの運搬媒体によって特定のサイズの粒子が取り除かれるプロセスを分級(Sorting)と呼びます。
分級の度合いは、「Inclusive Graphic Standard Deviation(包括的グラフィック標準偏差)」という指標 $\sigma_{I}$ で定量化されます。これは粒径分布の84パーセンタイル、16パーセンタイル、95パーセンタイル、5パーセンタイルのphi値を用いて算出されます。この値が小さいほど、粒子の大きさが揃っている(分級が良い)ことを意味します。
粒径分類のまとめ
| 分類名(Wentworth) | 粒径範囲 (mm) | phiスケール (φ) | 主な特徴・別名 |
|---|---|---|---|
| 巨礫 (Boulder) | > 256 | < -8 | 非常に大きな岩塊 |
| 礫 (Cobble) | 64 – 256 | -8 ~ -6 | 中規模の岩石 |
| 砂礫 (Gravel) | 2 – 64 | -6 ~ -1 | 小礫(Pebble)や粒状礫を含む |
| 砂 (Sand) | 0.0625 – 2 | -1 ~ 4 | 粗砂から極細砂まで |
| シルト (Silt) | 0.0039 – 0.0625 | 4 ~ 8 | 泥(Mud)の一部 |
| 粘土 (Clay) | < 0.0039 | > 8 | 極微細な粒子、コロイドを含む |
Frequently Asked Questions
粒子サイズと結晶サイズの違いは何ですか?
粒子サイズ(粒径)は、堆積物としての個々の粒の直径を指します。一方、結晶サイズは、その粒子内部を構成している単一の結晶の大きさを指します。一つの粒子が複数の小さな結晶の集合体である場合があるため、両者は区別されます。
Krumbein phiスケールを使うメリットは何ですか?
粒径は数ナノメートルから数百ミリメートルまで非常に幅広いため、そのままの数値では扱いづらいことがあります。対数スケールであるphiスケールを用いることで、広範囲なサイズ分布を線形的に扱い、統計的な解析を行いやすくすることができます。
「分級が良い」とはどのような状態を指しますか?
堆積物を構成する粒子の大きさがほぼ均一である状態を指します。例えば、風によって運ばれた砂丘の砂などは、特定のサイズ以外の粒子が取り除かれているため、分級が非常に良い傾向にあります。
ISO 14688-1はどのような場面で利用されますか?
主に地盤工学や土木工事などのエンジニアリング分野で利用されます。自然の土壌だけでなく、人間が配置した盛り土などの人工的な土壌を、物理的な特性に基づいて客観的に分類するために用いられます。
References
- Krumbein, W. C. (1934). "Size frequency distributions of sediments". Journal of Sedimentary Petrology. 2 (4). :10.1306/D4268EB9-2B26-11D7-8648000102C1865D.
- PetroWiki: Estimating permeability based on grain size
- "ISO 14688-1:2017 – Geotechnical investigation and testing – Identification and classification of soil – Part 1: Identification and description". International Organization for Standardization (ISO).
- Folk, Robert L.; Ward, William C. (1957). "Brazos River bar: a study in the significance of grain-size parameters" (PDF). Journal of Sedimentary Petrology. 27 (1): 3–26. :1957JSedR..27....3F. :10.1306/74d70646-2b21-11d7-8648000102c1865d. Archived from the original (PDF) on 12 May 2014. Retrieved 11 May 2014.
- Folk, Robert L. (1980). Petrology of sedimentary rocks. Austin, Tex: Hemphill Pub. Co. .
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