ベルギー生まれ、オーストラリアを拠点に活動するアーティスト、Gotyeゴティエことウォリー・デ・バッカーは、サンプルベースの独創的なアプローチと内省的な歌詞で世界的な成功を収めました。手作りのCDをラジオ局に送りつけるという地道な活動から始まり、ついには世界的なチャートを席巻するまでになった彼のキャリアは、音楽への飽くなき探究心に満ちています。

Key Facts

  • 世界的ヒット曲:Somebody That I Used to Know」は米ビルボードHot 100で1位を獲得し、2012年の年間ベストセラーとなった。
  • 音楽的ルーツ:初期はサンプルを多用した制作スタイルを確立し、後に電子楽器オンディオリンの保存活動に尽力。
  • 並行プロジェクト:シンガーソングライターのクリス・シュローダーと共にバンド「The Basics」として活動。
  • 芸術的アプローチ:アルバムのアートワークに父親の絵画を再利用するなど、家族や内省的なテーマを重視している。

キャリアの黎明期:DIY精神と「Boardface」

2001年、デ・バッカーはサンプルを主軸とした楽曲制作を開始しました。彼は自らトラックリストを書き込み、カバーを色付けした手作りのCDを制作し、電話帳に載っているあらゆるラジオ局や業界関係者に送付するという情熱的なプロモーションを展開しました。この活動がメルボルンのストリートプレスや若者向けラジオ局「Triple J」の目に留まり、彼の音楽的な自信へと繋がりました。

この時期にクリス・シュローダーと出会い、ライブパフォーマンスへの情熱を注ぐバンド「The Basics」を結成。その後、初期の作品を集めたアルバム『Boardface』を2003年にリリースしました。このアルバムのジャケットには、自宅の庭から回収された父親の絵画が使用されています。

Gotye at the Golden Plains Festival 2007

評価の確立と『Like Drawing Blood』の成功

2004年以降、デ・バッカーは転居を繰り返しながらホームスタジオでの制作を続けました。環境の変化に伴う録音の困難さをタイトルに冠した2作目のアルバム『Like Drawing Blood』は、彼に大きな評価をもたらします。この作品はTriple Jのリスナー投票で2006年のベストアルバム1位に選ばれ、オーストラリア国内でプラチナディスク認定を受けるヒットとなりました。

2007年にはARIAアワードで最優秀男性アーティスト賞を受賞。この受賞を機に、過去作が再びチャートにランクインするなど、インディーシーンでの地位を不動のものにしました。また、ベルギーやオランダなどの欧州市場でも注目を集め始めます。

Gotye in Montreal on 30 March 2012

世界的なブレイクスルー:『Making Mirrors

2010年、実家の農場にある納屋にスタジオを構えた彼は、3枚目のアルバム『Making Mirrors』の制作に取り組みました。タイトルとアートワークは、再び父親が1980年代に描いた作品からインスピレーションを得たもので、自己省察というアルバムのテーマを象徴しています。

2011年にリリースされたシングル「Somebody That I Used to Know」(キンブラ客演)は、商業ラジオでの放送が少ない状況ながら、SNSでの拡散により爆発的な人気を博しました。結果として、世界18カ国でチャート1位を記録し、米ビルボードHot 100でも頂点に立つという快挙を成し遂げました。ミュージックビデオは2025年4月時点で24億回以上再生されており、視覚的な芸術性も高く評価されています。

Gotye in front of Fractured Heart (2013)

アルバム『Making Mirrors』自体も、オーストラリアで1位を記録したほか、世界17カ国でトップ10入りしました。彼はシングルとアルバムの両方で同時に1位を獲得した、2007年のSilverchair以来のオーストラリア人アーティストとなりました。

活動の休止と音楽的遺産の継承

2014年、デ・バッカーは「Gotyeとしての新曲は出さない」と表明し、活動を一時休止しました。その後は「The Basics」のメンバーとしての活動や、独立系レーベル「Spirit Level」の設立に注力しました。また、自身のミュージックビデオに広告を掲載せず、多額の収益を放棄したことも知られています。

近年、彼は先駆的な電子音楽家ジャン=ジャック・ペレイの遺産を保存することに情熱を注いでいます。1940年代の電子楽器オンディオリン(独特のメカニズムを持つ鍵盤楽器)の表現力に魅了され、「Ondioline Orchestra」を結成して彼に捧げるトリビュート公演を行いました。また、レーベル「Forgotten Futures」を通じてペレイの未発表音源をリリースしています。

Perrey playing a Ondioline and Countryman playing a Roland synthesizer

2020年にはライブアルバム『Live at The Songroom』をリリースしており、将来的な4枚目のスタジオアルバムの制作についても言及しています。

Gotyeの主要作品と実績まとめ

Gotyeの主要キャリアハイライト
項目 詳細 主な成果
代表曲 Somebody That I Used to Know 世界18カ国で1位、米ビルボード1位
主要アルバム Making Mirrors 豪ARIAチャート1位、世界的なヒット
受賞歴 ARIAアワード 最優秀男性アーティスト賞など複数回受賞
音楽的貢献 オンディオリンの普及 ジャン=ジャック・ペレイの作品アーカイブ化

Frequently Asked Questions

Gotyeは現在も活動していますか?

ソロプロジェクトとしての新曲制作は2014年以降休止状態にありますが、バンド「The Basics」としての活動や、電子音楽のアーカイブ活動、他アーティストへの客演などを通じて音楽シーンに関わり続けています。

「Somebody That I Used to Know」の驚異的な記録は何ですか?

米ビルボードHot 100で1位を獲得し、2012年の年間ベストセラーとなったほか、オランダでは47年ぶりの記録を塗り替える歴史的なヒットとなりました。また、YouTubeでの再生回数は24億回を超えています。

オンディオリンとはどのような楽器ですか?

1940年代に登場した初期の電子楽器で、Gotyeが絶賛する非常に繊細で音楽的な表現が可能なメカニズムを備えています。彼はこの楽器の継承のため、専用のオーケストラを結成しました。

アルバムのアートワークに父親の絵が使われているのはなぜですか?

デ・バッカーは家族の絆や内省的なテーマを大切にしており、『Boardface』や『Making Mirrors』において、父親が描いた作品を再利用・編集することで、自身の音楽的メッセージを視覚的に表現しています。

4枚目のアルバムはリリースされますか?

本人は4枚目のスタジオアルバムをリリースする意向を述べており、そこにはジャン=ジャック・ペレイへのトリビュートが含まれる可能性についても言及しています。