Mercalli's photograph of Vesuvius, taken immediately after its eruption in 1906
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ジュゼッペ・メルカリ:地震強度尺度と火山学の先駆者

🗓 2026年8月10日

現代の地震学や火山学の基礎を築いた人物の一人に、イタリアのジュゼッペ・メルカリ(Giuseppe Mercalli)がいます。彼はカトリックの司祭という顔を持ちながら、地質学や火山学の分野で多大な貢献を果たした科学者でした。特に、地震が人や建物に与えた影響を数値化する「メルカリ震度階級」は、今なお世界中で参照される重要な指標となっています。

Key Facts

  • 正体: イタリアの火山学者であり、カトリック司祭でもあった。
  • 最大の功績: 地震の被害状況に基づいた「メルカリ震度階級」を考案。
  • 火山学への寄与: ストロンボリ式およびブルカノ式噴火の定義の基礎を築いた。
  • 経歴: ミラノの神学校教授を経て、ナポリ大学教授およびヴェスヴィオ火山観測所所長を歴任。
  • 最期: 1914年に不審な火災事故で急逝。

科学者としての歩みと火山研究

ミラノに生まれたメルカリは、司祭として叙階された後、ミラノの神学校で自然科学の教授を務めました。その後、イタリア政府の任命によりドモドッソラやレッジョ・ディ・カラブリアで教鞭を執り、1880年代後半にはカターニア大学の地質学教授に就任。最終的にはナポリ大学の教授となり、没するまでヴェスヴィオ火山観測所の所長として研究に没頭しました。

彼の研究対象はヴェスヴィオ火山に留まらず、エオリエ諸島のストロンボリ島やブルカノ島での噴火観測も行いました。これらの詳細な観察記録は、後に火山爆発指数(VEI)における「ストロンボリ式噴火(レベル1)」および「ブルカノ式噴火(レベル2)」という分類の根拠となりました。

また、彼は写真記録の重要性も理解しており、1906年のヴェスヴィオ火山噴火直後の様子を写真に収めています。

Mercalli's photograph of Vesuvius, taken immediately after its eruption in 1906

地震強度を測る「メルカリ震度階級」の誕生

メルカリが開発した地震強度尺度は、既存のロッシ・フォレル尺度を改良したものです。彼はまず6段階の尺度を考案しましたが、その後、より詳細な記述を加えた10段階の尺度を策定しました。これが現在知られるメルカリ震度階級の原型です。

この尺度の最大の特徴は、マグニチュード(リヒター尺度)のように地震そのものが放出したエネルギーを測るのではなく、「人間がどのように感じたか」や「建物にどのような被害が出たか」という実測的な影響を評価する点にあります。そのため、人口の少ない地域での測定には不向きですが、歴史的な地震の被害比較や、地震工学における耐震設計の検討には極めて有用です。

その後、この尺度は物理学者のアドルフォ・カンカーニによって最高強度に2段階(XIとXII)が追加され、さらにドイツのオーグスト・ハインリヒ・ジーベルクによる修正を経て「MCS尺度」となりました。1931年にはウッドとノイマンによって英語圏に導入され、最終的にチャールズ・リヒターによって改良され、現在の「修正メルカリ震度階級(MMI)」へと発展しました。

メルカリ震度階級の概要と特徴
項目 詳細
測定対象 構造物や人間への影響(強度)
階級範囲 I(ほとんど感知されない)〜 XII(壊滅的な被害)
主な用途 歴史的地震の分析、地震工学、被害状況の比較
リヒター尺度との違い エネルギー量ではなく、地表での「揺れの強さ」を評価する

謎に包まれた最期

1914年3月19日、メルカリは自室で焼死しているのが発見されました。当初は、夜通し仕事をしていた彼が不注意でパラフィンランプを倒したことによる事故とされました。彼は極度の仕事人間で、午前11時になっても「まだ夜明け前のはずだ」と答えるほど没頭していたという逸話が残っています。

しかし、当局のその後の調査で、部屋から一定額の現金が消えていたことが判明しました。このことから、実際には絞殺された後にガソリンをかけられて焼かれたという、口封じのための殺人事件であった可能性が浮上し、彼の死は今なお不可解な点が多く残されています。

Frequently Asked Questions

メルカリ震度階級とリヒター尺度の違いは何ですか?

リヒター尺度は地震が発生した際に放出された絶対的なエネルギー量(マグニチュード)を測定します。対してメルカリ震度階級は、特定の地点で人間がどう感じ、建物がどう壊れたかという「影響」を測定するものです。

メルカリは火山学にどのような影響を与えましたか?

彼はストロンボリ火山とブルカノ火山の噴火様式を詳細に記述しました。これが現在の火山爆発指数(VEI)における「ストロンボリ式」および「ブルカノ式」という噴火タイプの定義の基礎となっています。

メルカリ震度階級は現在も使われていますか?

はい。リヒターらによって改良された「修正メルカリ震度階級(MMI)」として、世界中の地震学や地震工学の分野で広く利用されています。

ジュゼッペ・メルカリはどのような人物でしたか?

彼はイタリアの火山学者であると同時に、カトリックの司祭でもありました。ナポリ大学教授やヴェスヴィオ火山観測所所長を務めるなど、学術界で高い地位にありましたが、非常に勤勉で仕事に没頭する性格だったと言われています。

References

  1. "Prof. G. Mercalli Burned To Death; Famous Director of Vesuvian Observatory Upsets Oil Lamp Upon Himself". The New York Times. March 20, 1914.
  2. Mercalli, Giuseppe (1883). Vulcani e Fenomeni Vulcanici in Italia. Geologia d’Italia. Vol. 3. Milan: Francesco Vallardi. pp. 217–218.
  3. Davison, C (1921). "On scales of seismic intensity and on the construction of isoseismal lines". Bull. Seismol. Soc. Am. (11): 95–129. :10.1785/BSSA0110020095.
  4. Mercalli, Giuseppe (1902). "Sulle modificazioni proposte alla scala sismica De Rossi-Forel". Boll Soc Sismol Ital (8): 184–191.
  5. Howell, Jr., B. F. (2003), "Biographies of interest to earthquake and engineering seismologists", International Handbook of Earthquake & Engineering Seismology, Part B, Volume 81B (First ed.), , p. 1761,  
  6. Cancani, Adolfo (1904). "Sur l'emploi d'une double echelle sismique des intensitès, empirique et absolue". Gerlands Beitr Geophys (2): 281–283.
  7. Charles F. Richter; 1958. Elementary Seismology. W. H. Freeman & Company, San Francisco & London, 768 p
  8. Eiby G. A., 1966. The Modified Mercalli Scale of Earthquake Intensity and Its Use in New Zealand. N.Z. Journal of Geology and Geophysics, 9, pp. 122-129.