モータースポーツの世界には、車両の性能や目的を明確に分けるための厳格な分類ルールが存在します。その中心となるのが、国際自動車連盟(FIA)が定める国際スポーツコードです。本記事では、かつて国際的なフォーミュラレース車両の分類として定義されていた「グループD」について、その歴史的背景と定義の詳細を解説します。
グループDの基本定義と位置づけ
グループDは、FIAの国際スポーツコードの「付録J」において、国際的なフォーミュラレース専用車として定義されていた区分です。1982年に導入された際、グループN、A、B、C、Eといった他のカテゴリーと同時に策定されました。
このグループは、カテゴリーII(競技車両)に属していました。カテゴリーIIとは、市販車をベースにするのではなく、最初からレース参戦のみを目的として設計・製造された「シングルビルド(専用設計)」の車両を指します。
運用期間と規定の特異性
グループDの定義は、付録Jの第251条「分類と定義」に基づき、通常は毎年更新される形で2019年まで維持されてきました。しかし、この分類には興味深い点があります。それは、国際スポーツコード内において、グループDへの言及がこの第251条以外にほとんど見られないという点です。
また、一般的に「国際フォーミュラ」とされるフォーミュラ2(F2)やフォーミュラ3(F3)についても、付録Jではそのように定義されていますが、それぞれの個別の技術規定の中で「グループDに属する」と明記されていたわけではありませんでした。
主要ファクト(Key Facts)
- 定義主体:FIA(国際自動車連盟)の国際スポーツコード付録J。
- 導入時期:1982年にグループN、A、B、C、Eと共に導入。
- 車両特性:レース専用に設計されたシングルビルドの競技車両(カテゴリーII)。
- 運用期間:1982年から2019年まで定義が存在。
- 適用範囲:国際的なフォーミュラレース車両を対象としていた。
FIA車両分類の変遷まとめ
FIAの車両分類は時代とともに変化しており、グループDもその歴史の一部です。以下に、かつて存在した主要なカテゴリーとグループの構成をまとめます。
| カテゴリー | 代表的なグループ | 特徴・期間 |
|---|---|---|
| カテゴリーI | グループB, SP, ST, CL1 | 量産ベースや特殊仕様車(期間変動あり) |
| カテゴリーII | グループC, グループD, GT1, GT2 | レース専用設計車(グループDは1982-2019) |
| カテゴリーA | グループ1 〜 4 | 1966年〜1981年の旧規定 |
| カテゴリーB | グループ5 〜 6 | 1966年〜1981年の旧規定 |
| カテゴリーC | グループ7 〜 9 | 1966年〜1981年の旧規定(F1, F2, F3を含む) |
Frequently Asked Questions
グループDとは具体的にどのような車を指しますか?
FIAの規定により、市販車ベースではなく、レース参戦のみを目的として製造された国際的なフォーミュラカーを指します。
グループDは現在も使用されていますか?
いいえ。付録JにおけるグループDの定義は2019年までとなっており、現在は旧カテゴリーとして扱われています。
フォーミュラ2やフォーミュラ3はグループDに含まれていたのですか?
付録Jではこれらを「国際フォーミュラ」と定義していますが、F2やF3の個別の技術規定の中で、明示的にグループDであると定義されていたことはありません。
グループDが属していた「カテゴリーII」とは何ですか?
レース専用に設計・製作された車両(シングルビルド)を分類するためのカテゴリーです。
グループDの規定はどこに記載されていましたか?
FIA国際スポーツコードの付録J、特に第251条「分類と定義」に記載されていました。
References
- "Appendix J to the International Sporting Code 1982" (PDF).
- Appendix J Article 251 to the International Sporting Code 2019. Fédération Internationale de l'Automobile. 6 December 2018. p. 1.