1933年の創刊以来、Esquire(エスクァイア)は単なるファッション誌の枠を超え、知性とスタイルを兼ね備えた男性像を提示し続けてきました。世界恐慌や第二次世界大戦という激動の時代に誕生し、文学、政治、そしてライフスタイルに至るまで、時代の精神を鋭く切り取ってきたこの雑誌は、今なお世界的な影響力を保持しています。
Key Facts
- 創刊:1933年10月(米国ニューヨーク)
- 運営会社:Hearst Communications
- 主要な功績:1960年代に「ニュー・ジャーナリズム」の潮流を牽引
- グローバル展開:世界23カ国でエディションを展開
- 編集方針:ファッションから高度な文学、政治的議論まで幅広くカバー
創刊から黄金期へ:知性と美学の融合
Esquireは、業界誌『Apparel Arts』(後のGQ)から派生する形で誕生しました。創設者のアーノルド・ギングリッチ、デヴィッド・A・スマート、ヘンリー・L・ジャクソンは、それぞれ出版、ビジネス、ファッションという異なる専門性を持ち寄り、多角的な視点を持つ雑誌へと育て上げました。特にジャクソンとスマートの政治的対立(共和党対民主党)は、誌面での建設的な議論というユニークな形式を生み出しました。
当初は四半期刊の小規模な計画でしたが、読者の熱狂的な支持により、すぐに洗練された定期刊行物へと進化。アーネスト・ヘミングウェイやF・スコット・フィッツジェラルドといった、20世紀を代表する文豪たちが寄稿し、男性向け雑誌に高い文学的価値をもたらしました。

ピンナップ文化と表現の自由
1940年代には、ジョージ・ペティやアルベルト・バルガスによる「ピンナップ・ガール」のイラストが絶大な人気を博しました。しかし、この官能的な表現は当時の政府から「わいせつ」であるとして訴追される事態を招きます。結果として、1946年に米国最高裁判所が憲法修正第1条(表現の自由)に基づきEsquireの正当性を認めたことは、メディア史における重要な転換点となりました。
革新の時代:ニュー・ジャーナリズムの旗手
1961年から1973年にかけて編集長を務めたハロルド・ヘイズの時代、Esquireはさらなる進化を遂げます。トム・ウルフやゲイ・タリーズといった作家を起用し、客観的な報道に主観的な物語性を融合させたニュー・ジャーナリズムという新しい手法を確立しました。また、ベトナム戦争における米軍の暴挙を報じるなど、社会的な告発機能も果たしました。
誌面の象徴として、25年以上にわたり表紙を飾ったキャラクター「Esky」は、読者の洗練されたイメージを体現し、ロゴの一部として組み込まれるなど、ブランドのアイコンとなりました。
苦境からの再生と現代的なアプローチ
1990年代、ライフスタイル誌の競争激化により一時的な衰退を経験しますが、1997年に就任したデヴィッド・M・グレンジャーによって劇的な復活を遂げます。彼は「メトロセクシャル」という概念を意識した現代的なライフスタイルを提案し、数多くのナショナル・マガジン・アワードを受賞。その後、ジェイ・フィールデンやマイケル・セバスチャンといった編集長を経て、クラシックな高級感と現代的な政治的視点を融合させたスタイルへと回帰しています。
文学へのこだわりと風刺精神
Esquireは常にフィクション(小説)を重視してきました。特にゴードン・リッシュがフィクション編集者を務めた時代には、レイモンド・カーヴァーなどのミニマリズム文学を世に送り出しました。また、毎年恒例の「Dubious Achievement Awards(疑わしい業績賞)」では、政治家や社会出来事を痛烈に風刺し、知的なユーモアを提供し続けています。
Esquireの基本データまとめ
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 現在の編集長 | マイケル・セバスチャン |
| 発行頻度 | 年6回(冬季、3月、4/5月、夏季、9月、10/11月) |
| 発行部数 | 629,949部(2020年12月時点) |
| 拠点 | アメリカ合衆国 ニューヨーク市 |
| 公式サイト | www.esquire.com |
Frequently Asked Questions
EsquireとGQの関係は何ですか?
両誌はもともと業界誌『Apparel Arts』という共通のルーツを持っており、約45年間にわたって同じ所有者の傘下にありました。Esquireがより文学的・文化的なアプローチを重視したのに対し、GQはファッションに特化した伝統を持っていました。
「ニュー・ジャーナリズム」とは具体的にどのようなものですか?
従来の客観的な事実報道に、小説のような描写手法や作家自身の視点を盛り込んだジャーナリズムの手法です。Esquireは1960年代にこのスタイルを積極的に採用し、報道のあり方に革命をもたらしました。
「Sexiest Woman Alive」とはどのような企画でしたか?
2003年から2015年まで行われていた年次企画で、その年で最も魅力的な女性を選出し、写真とプロフィールを掲載するものでした。アンジェリーナ・ジョリーやスカーレット・ヨハンソンなどが選出され、大きな話題となりました。
日本でも発行されていますか?
はい。日本版Esquireは1987年に創刊され、一度休刊した後に2015年から再始動しています。世界23カ国で展開されるグローバルブランドの一翼を担っています。
どのような作家がEsquireに寄稿しましたか?
ヘミングウェイやフィッツジェラルドといった古典的な文豪から、現代のスティーヴン・キングに至るまで、時代を代表する作家たちが数多く寄稿しています。また、短編小説の分野でも新進気鋭の作家を育成する役割を果たしてきました。
References
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