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Ellery Queen's Mystery Magazine80年以上愛されるミステリ小説の金字塔

🗓 2026年8月16日

世界中のミステリ愛好家にとって、聖典とも呼べる雑誌が存在します。それがEllery Queen's Mystery Magazine(EQMM)です。1941年の創刊以来、この雑誌は単なる娯楽誌の枠を超え、犯罪小説というジャンルを「文学」の域へと押し上げる重要な役割を果たしてきました。

本誌は、架空の名探偵エラリー・クイーンを生み出した共著者の名に冠しており、質の高い短編ミステリを世に送り出し続けることで、現代のクライム・フィクションの基準を確立したと言われています。

Key Facts

  • 創刊:1941年秋(Mercury Pressによる)
  • 専門分野:探偵小説、ミステリ、犯罪小説の短編
  • 発行頻度:隔月刊(現在はデジタル版も展開)
  • 最大の特徴:「質」を唯一の基準とし、新人からノーベル賞作家まで幅広く掲載
  • 歴史的功績:110以上の賞を受賞し、世界的なミステリ文化の普及に貢献

ミステリの質を追求した創刊の歩み

EQMMの誕生には、フレデリック・ダネイとマンフレッド・B・リーという二人の人物が深く関わっています。彼らは「エラリー・クイーン」という共同ペンネームで活動しており、当時の安価で質の低いパルプ・マガジンとは一線を画す、高水準なミステリ誌を創りたいという強い願いを持っていました。

その前身となったのが1933年に創刊された『Mystery League』です。この誌面では、当時一般的だった長編の分割掲載ではなく、完結した短編小説のみを掲載するという贅沢な手法を取りました。しかし、世界恐慌の影響で価格設定が高すぎたため、わずか4号で廃刊となります。この失敗こそが、後のEQMMにおける「質の追求」と「適切な市場提供」という基本理念の礎となりました。

1941年秋、ついにEQMMが産声を上げます。創刊号にはダシール・ハメットやエラリー・クイーン自身の作品など、7つの完結した物語が収録されました。予想を遥かに上回る9万部以上の初版を売り上げ、瞬く間にジャンルのリーダーとしての地位を確立しました。

伝説的編集者フレデリック・ダネイの時代(1941–1982)

創刊から40年以上にわたり編集長を務めたフレデリック・ダネイは、ミステリを「真の文学形式」へと昇華させることを目標に掲げました。彼は、単に謎解きを楽しむだけでなく、文章としての美しさや深みを重視しました。

ダネイの編集方針は極めて開放的かつ野心的でした。ウィリアム・フォークナーやアーネスト・ヘミングウェイといったノーベル賞・ピューリッツァー賞受賞者を40人以上巻き込み、ミステリの境界線を広げました。また、アガサ・クリスティのような英国作家から、アルゼンチンのホルヘ・ルイス・ボルヘスの英訳初掲載まで、世界中の才能を収集しました。さらに1948年には、黒人探偵による初の物語を掲載するなど、多様性の先駆けともなりました。

また、1949年に設立された「Department of First Stories(新人部門)」は、無名の才能を発掘する登竜門となり、後に名声を馳せる多くの作家を輩出しました。1953年にはハードボイルドの聖地である『Black Mask』誌を吸収し、よりエッジの効いたノワール作品の提供にも注力しました。

継承と進化:サリバンからハッチングス、そして現在へ

1982年にダネイが没した後、編集の舵取りはエレノア・サリバンに引き継がれました。彼女の時代には、読者が最高の物語を選ぶ「EQMM読者賞」が創設され、ジャンルにおける権威ある賞へと成長しました。

1991年に就任したジャネット・ハッチングスは、ダネイの「質」へのこだわりを継承しつつ、デジタル時代の波に対応させました。2003年には、海外作品を積極的に翻訳して紹介する「Passport to Crime」部門を設立し、グローバルな視点をさらに強化しました。また、ポッドキャストの開始や公式ブログの運営、ウェブ限定コラムの導入など、読者と作家が直接交流できるコミュニティ形成に尽力しました。

ハッチングスは2025年1月/2月合併号(通巻1000号)をもって退任し、後任としてジャッキー・シャーボウが編集長に就任しました。同時に、運営母体は1 Paragraph社の傘下であるMust Read Magazinesへと移行し、新たな体制で歴史を刻み始めています。

EQMMを定義づける4つの柱

EQMMの主要な特徴まとめ
特徴 詳細内容 もたらした影響
圧倒的な質 文学的価値を基準とした厳格な選考 エドガー賞など110以上の賞を受賞
多様な作風 本格、ハードボイルド、コージー、ノワールを網羅 「高尚な文学」と「大衆小説」の壁を打破
新人の育成 未発表作品の積極的な公募と掲載 数多くのプロ作家を輩出する登竜門に
世界的な視点 多言語からの翻訳と国際的なコンテスト 世界中のミステリ作品を英語圏に紹介

頻繁に寄せられる質問(FAQ)

EQMMはどのような種類の物語を掲載していますか?

特定のスタイルに限定せず、古典的な本格ミステリからハードボイルド、サスペンス、コージーミステリ、さらには純文学的なアプローチの犯罪小説まで、あらゆる形態のミステリを幅広く掲載しています。

誰でも作品を投稿することはできますか?

はい。多くの大手出版物がエージェント経由の投稿しか受け付けない中、EQMMは伝統的に郵送による未請求の投稿(unsolicited submissions)を受け入れており、オンラインの投稿管理システムも提供しています。

「エラリー・クイーン」とは実在の人物ですか?

いいえ。エラリー・クイーンは、フレデリック・ダネイとマンフレッド・B・リーという二人の共著者が使用していたペンネームです。彼らはこの名前で小説を執筆し、同時に同名の架空の探偵キャラクターを創造しました。

雑誌の名称に変化はありましたか?

1993年に表紙のタイトルが「Ellery Queen's Mystery Magazine」から「Ellery Queen Mystery Magazine」('sを削除)に変更されました。ただし、目次などの内部表記では現在もフルネームが保持されています。

どのような著名な作家が寄稿しましたか?

エドワード・D・ホックのようなミステリ専門作家はもちろん、スティーヴン・キング、A.A.ミルン、サマセット・モーム、ジョイス・キャロル・オーツなど、ミステリ作家ではない世界的な文豪たちも多く寄稿しています。

References

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