エル・ビエホ・クラシコ:アスレティック・ビルバオ対レアル・マドリードの歴史と宿命

スペインサッカー界には、バルセロナ対レアル・マドリードの「エル・クラシコ」以外に、非常に深い歴史を持つ伝統の一戦が存在します。それが、アスレティック・ビルバオとレアル・マドリードによる対戦「エル・ビエホ・クラシコ(古き良きクラシコ)」です。かつてはスペインで最も対戦回数の多いカードであり、今なおコパ・デル・レイ(国王杯)においては最多対戦記録を保持し続けています。

主要ファクト

  • 通称:エル・ビエホ・クラシコ(El Viejo Clásico)、またはエル・オトロ・クラシコ。
  • 初対戦:1903年4月8日のコパ・デル・レイ(ビルバオが3-2で勝利)。
  • 最多勝利チーム:レアル・マドリード(通算126勝)。
  • 最多得点者:テルモ・サラ(通算24得点)。
  • 最多出場選手:アグスティン・ガインザ(42試合)。

伝統の対立と歴史的変遷

両チームの歴史は古く、1929年のラ・リーガ開幕当初から激しく火花を散らしてきました。初期の時代には、ビルバオがスペイン国内で強い影響力を持っており、1956年までの最初の25回のリーグ優勝のうち、ビルバオが6回、マドリードが4回と、両クラブでタイトルを分け合う展開が続いていました。

特筆すべきエピソードとして、1929年のコパ・デル・レイ準決勝で起きた「カエルの試合」があります。ビルバオ側が相手を撹乱するためにカエルの鳴き声を出す玩具を配布しましたが、結果的にレアル・マドリードが4-1で勝利し、この策は失敗に終わりました。

しかし、1956年以降、レアル・マドリードが圧倒的な黄金時代に突入します。欧州チャンピオンズカップ(現UEFAチャンピオンズリーグ)で6連覇を達成するなど、世界的な強豪へと成長し、国内リーグでも支配的な地位を確立しました。

Real Madrid's Cristiano Ronaldo (left) and Athletic Bilbao's Ander Iturraspe during a match at Santiago Bernabéu Stadium, 2010

現代における力関係と戦術的対比

21世紀に入ると、レアル・マドリードは「ガラクティコス」政策に象徴される世界的なスター選手の獲得を推進し、世界で最も価値のあるクラブの一つとなりました。対してアスレティック・ビルバオは、バスク地方出身者のみでチームを構成するという独自の哲学を貫いています。

近年の対戦成績ではレアル・マドリードが大きく勝ち越しています。特にサンティアゴ・ベルナベウでの試合では、ビルバオが勝ち点を得られない期間が長く続きました。一方で、ビルバオはホームのサン・マメスで意地を見せており、2020-21シーズンのスペイン・スーパーコパでは準決勝でレアル・マドリードを撃破し、そのまま優勝を飾る快挙を成し遂げています。

Kaká scoring a penalty at the old San Mamés in 2011

得点面では、レアル・マドリードのクリスティアーノ・ロナウドがリーグ戦で17得点を挙げ、クラブ史上最多記録を更新しました。しかし、全大会を通じた通算得点では、ビルバオの伝説的ストライカーであるテルモ・サラの24得点が今なお頂点に君臨しています。

対戦成績まとめ

アスレティック・ビルバオ vs レアル・マドリード 公式戦成績(2026年5月23日時点)
大会名 試合数 ビルバオ勝利 引き分け マドリード勝利 ビルバオ得点 マドリード得点
ラ・リーガ 190 52 37 101 247 376
コパ・デル・レイ 56 24 8 24 83 89
スペイン・スーパーコパ 2 1 0 1 2 3
合計 248 77 45 126 332 468

両クラブを渡り歩いた人物

激しいライバル関係にありながら、両チームでプレーした選手や指導者も存在します。選手では、アイトル・カランカやケパ・アリサバラーガなどがその代表例です。

Aitor Karanka played for both clubs

また、監督としても5名が両クラブの指揮を執っています。中でもユップ・ハインケスは、両チームのベンチに座った数少ない名将の一人として知られています。

Jupp Heynckes managed both clubs

Frequently Asked Questions

なぜ「エル・ビエホ・クラシコ」と呼ばれるのですか?

「ビエホ(Viejo)」はスペイン語で「古い」を意味します。バルセロナ対レアル・マドリードの対戦よりも前から行われていた、スペインサッカー界で最も歴史ある伝統的な対戦であるため、このように呼ばれています。

過去最大の点差がついた試合はどれですか?

1960年6月19日のコパ・デル・ヘネラリシモ(現コパ・デル・レイ)準決勝で、レアル・マドリードが8-1で勝利した試合が、7点差という最大得点差を記録しています。

両チームの選手採用方針にどのような違いがありますか?

レアル・マドリードは世界中からトッププレイヤーを集めるグローバルな戦略をとっていますが、アスレティック・ビルバオはバスク地方にゆかりのある選手のみを起用するという非常に厳格な方針を維持しています。

コパ・デル・レイにおける対戦記録はどうなっていますか?

リーグ戦ではレアル・マドリードが圧倒していますが、コパ・デル・レイにおいては、勝利数が24勝ずつと互角であり、スペインのカップ戦において最も多く対戦しているカードとなっています。