アインシュタイニウム(III)酸化物(化学式:Es2O3)は、人工的に合成されるアクチノイド元素であるアインシュタイニウムの酸化物です。この物質は、希少な合成元素の化学的挙動を理解する上で重要な化合物であり、主に研究目的で扱われています。
外観としては無色の固体であり、その物理的・化学的性質はアクチノイド系列の他の酸化物と共通点を持つ一方で、特有の構造的特徴を備えています。
Key Facts
- 化学式: Es2O3
- 外観: 無色の固体
- 結晶構造: 六方晶系、単斜晶系、体心立方格子の3つの形態が存在
- 合成方法: 微量のアインシュタイニウム(III)硝酸塩をアニール(熱処理)することで得られる
- モル質量: 554 g/mol (Es基準)

結晶構造と物理的特性
アインシュタイニウム(III)酸化物には、主に3種類の結晶構造(変態)が知られています。それぞれの構造は、原子の配列や格子定数が異なります。
1. 六方晶系 (Hexagonal)
この形態はランタン(III)酸化物と同様の構造を持っており、格子定数は a = 370 pm、c = 600 pm とされています。空間群は Ia 3 に分類されます。
2. 体心立方格子 (Body-centered cubic)
体心立方構造の場合、格子パラメータは a = 1076.6 ± 0.6 pm です。この数値に基づき、アインシュタイニウムイオンのイオン半径は 92.8 pm であると算出されています。
3. 単斜晶系 (Monoclinic)
3つ目の形態として単斜晶系の構造が存在することが確認されています。

合成と識別
この化合物は、極めて微量(サブマイクログラム単位)のアインシュタイニウム(III)硝酸塩を加熱処理(アニール)することによって生成されます。その同定には、電子回折などの高度な分析手法が用いられています。
特性まとめ
| 項目 | 詳細内容 |
|---|---|
| IUPAC名称 | Einsteinium sesquioxide / Dieinsteinium trioxide |
| CAS番号 | 37362-94-0 |
| 化学式 | Es2O3 |
| 外観 | 無色固体 |
| 主要な結晶構造 | 六方晶系、体心立方格子、単斜晶系 |
Frequently Asked Questions
アインシュタイニウム(III)酸化物とはどのような物質ですか?
合成アクチノイド元素であるアインシュタイニウムの酸化物で、化学式は Es2O3、外観は無色の固体です。
どのような方法で製造されますか?
サブマイクログラムという極めて微量のアインシュタイニウム(III)硝酸塩をアニール(熱処理)することで得られます。
結晶構造にはどのような種類がありますか?
六方晶系、体心立方格子、および単斜晶系の3つの形態が知られています。特に六方晶系はランタン(III)酸化物と同じ構造です。
アインシュタイニウムイオンの半径はどのくらいですか?
体心立方格子の格子パラメータ(a = 1076.6 ± 0.6 pm)から計算すると、イオン半径は 92.8 pm となります。
References
- Arnold F. Holleman, Nils Wiberg: Lehrbuch der Anorganischen Chemie, 102nd Edition, de Gruyter, Berlin 2007, , p. 1972.
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