Ecco(エッコ)出版社:文学的価値を追求し続けるHarperCollinsの精鋭インプリント
ニューヨークに拠点を置くEccoは、世界的な出版大手HarperCollins(ハーパーコリンズ)傘下のインプリント(出版ブランド)であり、アメリカで最も著名な文学系出版社の一つとして高く評価されています。1971年の設立以来、妥協のない選書眼で、純文学から詩、回想録、料理本に至るまで、質の高い書籍を世に送り出し続けてきました。
Key Facts
- 設立:1971年(創設者はダニエル・ハルパーン)
- 親会社:HarperCollins(1999年に買収)
- 拠点:アメリカ合衆国 ニューヨーク州マンハッタン
- 主なジャンル:純文学、詩、伝記、回想録、料理書
- 出版規模:年間約35〜40タイトルを刊行
Eccoの歩みと進化
独立系出版社としての誕生
Eccoはもともと、ダニエル・ハルパーンによって文学雑誌『Antaeus』を出版することを目的として設立されました。社名の「Ecco」は、初期の出資者であったドルー・ハインツによって提案されたものです。創業当初は、他社から既に出版されていたハードカバー作品のペーパーバック版や再版に特化しており、コーマック・マッカーシーやチャールズ・ブコウスキーといった作家たちの作品を手がけていました。
また、1980年にノーベル文学賞を受賞したチェスワフ・ミウォシュの詩集『Bells in Winter』(1978年)や、マドゥール・ジャフリーによるインド料理本など、ジャンルを問わず価値ある作品を世に送り出しました。1991年にハルパーンが完全な所有権を握った後も、独立性を維持しながら成長を続けました。
HarperCollinsへの加入と拡大
1999年、EccoはHarperCollinsに買収されましたが、ハルパーンは引き続きリーダーとして陣頭指揮を執りました。この体制移行後も、パティ・スミスの回想録『Just Kids』や、アンソニー・ボーディンの『Kitchen Confidential』のペーパーバック版など、時代を象徴するヒット作を数多く出版しています。
2000年からは、ジェシー・コーエン編集による年刊アンソロジー『The Best American Science Writing』を刊行し、科学ライティングの普及にも寄与しています。なお、創設者のダニエル・ハルパーンは2020年にエディター・アット・ラージへ就任し、2021年にはアルフレッド・A・ノップ出版社へエグゼクティブ・エディターとして移籍しました。
独自のキュレーションラインの展開
Eccoは2011年、特定の視点を持つ著名人に選書を任せるというユニークな試みを導入しました。
- アンソニー・ボーディン・ライン:シェフであり作家のボーディンが、自身の多才な好みを反映させた書籍を年3〜5冊選定。料理に限らず、強い個性を持ち、権威ある視点で語る作家たちの作品を追求しました。
- デニス・リーヘイン・ライン:小説家のリーヘインが、「ダークな都市の雰囲気を持つ純文学」をテーマにキュレーションを担当。アイビー・ポチョダの『Visitation Street』などがその代表例です。
受賞歴と評価
Eccoが手がける作品は、世界的に権威のある賞を数多く受賞しており、その編集クオリティの高さが証明されています。特に詩やノンフィクションの分野で強い存在感を放っています。
| 受賞年 | 賞名 | カテゴリー | 作品名 | 著者 |
|---|---|---|---|---|
| 2022 | 全米図書賞 | ノンフィクション | South to America | イマニ・ペリー |
| 2020 | ピューリッツァー賞 | 伝記 | Sontag: Her Life and Work | ベンジャミン・モーザー |
| 2010 | 全米図書賞 | ノンフィクション | Just Kids | パティ・スミス |
| 2008 | ピューリッツァー賞 | 詩 | Time and Materials | ロバート・ハス |
| 1996 | ピューリッツァー賞 | 詩 | The Dream of the Unified Field | ジョリー・グラハム |
| 1993 | ピューリッツァー賞 | 詩 | The Wild Iris | ルイーズ・グリュック |
| 1980 | ノーベル文学賞 | 文学 | (受賞者としての評価) | チェスワフ・ミウォシュ |
Frequently Asked Questions
Eccoはどのような種類の本を出版していますか?
主に純文学小説、詩、伝記、回想録、そして料理に関する書籍を出版しています。年間35〜40タイトルという厳選された数のみを刊行しており、質の高い文学的価値を持つ作品に特化しています。
創設者のダニエル・ハルパーンは現在も在籍していますか?
いいえ。ハルパーン氏は2020年にエディター・アット・ラージとなり、2021年にはアルフレッド・A・ノップ出版社へ移籍しました。
アンソニー・ボーディンやデニス・リーヘインが関わっていたとはどういう意味ですか?
彼らは単なる著者ではなく、自身の名前を冠した「出版ライン」のキュレーターを務めていました。自分の審美眼に基づき、出版する作品を選定・推薦する役割を担っていました。
Eccoは独立した出版社ですか?
設立当初は独立系でしたが、1999年に大手出版社のHarperCollinsに買収されました。現在はその傘下のインプリントとして運営されています。
どのような著名な作家がEccoから本を出していますか?
マーガレット・アトウッド、ジョイス・キャロル・オーツ、リチャード・ドーキンス、パティ・スミスなど、多岐にわたる分野の世界的権威や作家たちが名を連ねています。