アメリカ合衆国オハイオ州のコロンビアナ郡に位置するEast Liverpool(イーストリバプール)は、かつて全米最大の陶磁器産業を誇ったことで知られる都市です。オハイオ川沿いにあり、ペンシルベニア州およびウェストバージニア州との境界が交わる戦略的な地点に位置しています。ピッツバーグやヤングスタウンから約48kmという好立地にあるこの街は、産業の黄金時代を経て、現在はその豊かな歴史を保存しつつ新たな発展を目指しています。

Key Facts
- 別称: 「世界の陶磁器の首都(Pottery Capital of the World)」、「クロッカリー・シティ」
- 産業の頂点: 1880年から1950年にかけて、全米の陶磁器生産量の3分の2を占めていた
- 地理的特徴: オハイオ川沿いに位置し、3つの州(オハイオ、ペンシルベニア、ウェストバージニア)の境界付近に位置する
- 人口: 2020年国勢調査で9,958人
- 歴史的遺産: 世界最大のロータスウェア(Lotus Ware)コレクションを所蔵する陶磁器博物館がある
陶磁器産業が築いた黄金時代
East Liverpoolの発展を語る上で欠かせないのが、19世紀半ばから始まった陶磁器産業です。1839年にイギリス人陶工ジェームズ・ベネットが初のボトルキルン(ボトル型の窯)を導入したことで、この地は急速に工業化しました。これにより西欧から多くの移民が流入し、街の人口は急増しました。
特に1880年から1950年にかけては、全米に85もの陶磁器会社が展開し、国内生産の大部分を担う中心地となりました。中でもKnowles, Taylor & Knowles社が1890年代に制作した、ムーア様式やペルシャ様式の影響を受けたLotus Ware(ロータスウェア)は、1893年のシカゴ万博で高い評価を得た名品として知られています。

現在、当時の栄華を伝える「Museum of Ceramics(陶磁器博物館)」は、1909年に建てられた旧郵便局の建物を利用して運営されており、貴重な作品群を公開しています。

都市の歩みと歴史的出来事
この街の起源は1798年に遡ります。アイルランド移民のトーマス・フォセットが土地を購入し、当初は「セントクレア」や「フォセットタウン」と呼ばれていました。1816年にイギリスの港町にちなんで「リバプール」と改名され、その後、メディナ郡のリバプール・タウンシップとの混同を避けるため、1834年に現在の「East Liverpool」となりました。
産業の発展とともに、街には多くの公共施設が整備されました。1902年に開館したカーネギー公共図書館は、実業家アンドリュー・カーネギーの支援により建設されたオハイオ州初のカーネギー図書館の一つです。また、1934年には公共事業促進局(CWA)のプロジェクトとして市庁舎が建設されました。

また、この街は犯罪史においても特筆すべき出来事がありました。1934年10月、悪名高い銀行強盗「プリティ・ボーイ・フロイド」が市北部のトウモロコシ畑でFBIなどの捜査当局によって射殺された場所としても知られています。
地理とインフラ
East Liverpoolは、オハイオ川を挟んでウェストバージニア州のチェスターやニューウェルと密接に結ばれています。交通の要所として、国道30号線(U.S. Route 30)が通り、ジェニングス・ランドルフ橋を通じてウェストバージニア州へと繋がっています。

また、この地にはアメリカ合衆国の公有地測量(Public Land Survey)の起点となる記念碑があり、国家による最初の大規模な地籍測量を記念する歴史的なスポットとなっています。

市街地には、ビーチウッドやダウンタウン、ウエストエンドなど複数の地区があり、かつての産業都市としての面影を残す歴史的な街並みが広がっています。

文化・教育と現代の課題
教育面では、1965年に設立されたケント州立大学のサテライトキャンパスがあり、地域に高等教育を提供しています。また、1899年に寄贈されたトンプソン公園は、工業地帯から離れて自然に親しめる憩いの場として、プールやスポーツ施設を備え市民に愛されています。
一方で、環境問題という深刻な課題にも直面してきました。WTI焼却炉やS.H. Bell社の金属施設周辺で、マンガンや鉛などの有害物質による健康被害が懸念され、環境正義を求める住民運動が展開されました。政府機関と企業の協力により、2000年代後半には空気質の改善が見られましたが、現在も環境保全への取り組みが続いています。
都市概要まとめ
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 所在地 | アメリカ合衆国オハイオ州コロンビアナ郡 |
| 設立年 | 1802年 |
| 人口(2020年) | 9,958人 |
| 主要産業(歴史的) | 陶磁器製造(Pottery) |
| 姉妹都市 | ストーク・オン・トレント(イギリス) |
| 主要施設 | 陶磁器博物館、カーネギー公共図書館、ケント州立大学キャンパス |
Frequently Asked Questions
East Liverpoolが「世界の陶磁器の首都」と呼ばれた理由は何ですか?
19世紀後半から20世紀半ばにかけて、全米の陶磁器生産量の約3分の2をこの地域で賄っていたためです。多くの陶磁器会社が集積し、全米に供給されるテーブルウェアやトイレウェアの主要な生産拠点となっていました。
ロータスウェア(Lotus Ware)とはどのような製品ですか?
Knowles, Taylor & Knowles社が1890年代に制作した、ムーア様式やペルシャ様式の影響を受けた芸術的な磁器です。1893年のシカゴ万博で高く評価され、現在は市内の陶磁器博物館に世界最大のコレクションが展示されています。
街の歴史的な見どころはどこですか?
1909年建設の旧郵便局を利用した陶磁器博物館や、オハイオ州初のカーネギー図書館、そしてアメリカの地籍測量の起点となった記念碑などが代表的な歴史スポットです。
現在の人口動向はどうなっていますか?
1940年代には2万人を超える人口を記録していましたが、産業構造の変化に伴い減少傾向にあります。2020年の国勢調査では9,958人となっており、現在は歴史的建造物の修復などを通じた街の活性化が進められています。
ウェストバージニア州へのアクセスはどうなっていますか?
国道30号線が通り、ジェニングス・ランドルフ橋を渡ることでウェストバージニア州のチェスター方面へ直接アクセスすることが可能です。
References
- "2023 General Election Results for Columbiana County" (PDF). Retrieved November 26, 2023.
- "ArcGIS REST Services Directory". United States Census Bureau. Retrieved September 20, 2022.
- U.S. Geological Survey Geographic Names Information System: East Liverpool, Ohio
- "Annual Estimates of the Resident Population for Incorporated Places in Ohio: April 1, 2020 to July 1, 2023". United States Census Bureau. Retrieved June 20, 2024.
- "U.S. Census website". . Retrieved January 31, 2008.
- "QuickFacts: East Liverpool city, Ohio". census.gov. Retrieved September 13, 2021.
- "History - Museum of Ceramics". Ohio History Central. Retrieved January 25, 2023.
- "Indian Mounds & Petroglyphs". East Liverpool Historical Society. Retrieved January 10, 2022.
- Mendinghall, Joseph S. (December 27, 1974). "National Register of Historic Places Inventory-Nomination: Beginning Point / Beginning Point of the U.S. Public Land Survey" (pdf). National Park Service.
- McCord, William B. (1905). History of Columbiana County, Ohio and Representative Citizens. Biographical Publishing Company. p. 286.
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