テーブルトークRPGの金字塔であるDungeons & Dragons(ダンジョンズ&ドラゴンズ)は、その歴史の中で何度もルールの洗練と拡張を繰り返してきました。特に初期の「ベーシック・セット」は、プレイヤーがキャラクターを成長させる段階に合わせてルールを導入するという、画期的な構成を採用していました。

主要な事実(Key Facts)

  • 1981年にトム・モルドヴェイによる大規模な改訂が行われ、レベルに応じたセット展開が導入された。
  • 1983年のフランク・メンツァー版では、さらに詳細な5つのボックスセットへと体系化された。
  • キャラクターレベル1から不滅(Immortal)に至るまでの成長パスが定義された。
  • 1991年には、主要なルールが統合された『Rules Cyclopedia』がハードカバーで出版された。
  • 限定1,000セットの「10周年記念コレクターズセット」など、希少性の高い製品も存在した。

1981年版:レベル別展開の基礎

1981年、トム・モルドヴェイの手によってベーシック・セットに大きな転換が訪れました。この改訂の核心は、キャラクターの成長段階(レベル)に合わせて、段階的に新しいルールセットを導入させるという設計思想にありました。

このセットでは、1977年のJ.エリック・ホームズ版と同様に、レベル1から3までのキャラクター開発をカバーしていました。これに続き、デイヴ・クックとスティーブン・R・マーシュが編集した「エキスパート・セット」が登場し、レベル4から14までの冒険をサポートしました。このエキスパート・セットには、屋外アドベンチャーの例として「恐怖の島(Isle of Dread)」が含まれていたのが特徴です。また、ダイスが同梱され、カバーアートはエロール・オータスが担当しました。

1983年版:メンツァーによる体系化と拡張

1983年になると、フランク・メンツァーによる再改訂が行われ、『Dungeons & Dragons Set 1: Basic Rules』としてリリースされました。メンツァーはここから1985年にかけて、キャラクターの成長に合わせて5つのボックスセットで構成される壮大なシステムを構築しました。

この体系では、ベーシック(Basic)、エキスパート(Expert:レベル4-14)、コンパニオン(Companion:レベル15-25)、マスター(Master:レベル26-36)、そしてレベルを超越した存在を扱うイモータル(Immortal)という段階的なルール展開がなされました。後に、これら上位4つのセットの内容は、1991年に一冊のハードカバー本『Dungeons & Dragons Rules Cyclopedia』として統合されました。

なお、メンツァー版のエキスパート・セットではラリー・エルモアがアートを担当し、64ページのルールブックと、外装フォルダ付きの32ページ構成のモジュール「恐怖の島」が同梱されていました。

限定版とコレクターズアイテム

TSR社は1984年、出版10周年を記念して「10th Anniversary Dungeons & Dragons Collector's Set」を発売しました。この豪華なボックスセットには、ベーシック、エキスパート、コンパニオンの各ルールブックに加え、AC2、AC3、B1、B2、そしてM1「ブリザード・パス(Blizzard Pass)」といった複数のモジュール、キャラクター記録シート、ダイスが詰め込まれていました。生産数はわずか1,000セットに限定され、通信販売およびGenCon 17にて販売されたため、極めて希少なアイテムとなっています。

ルールセットの構成まとめ

D&Dベーシック・シリーズのレベル対応表
セット名称 対応キャラクターレベル 主な特徴
ベーシック (Basic) 1 - 3 導入および基礎ルールの提供
エキスパート (Expert) 4 - 14 屋外冒険や広域探索の導入
コンパニオン (Companion) 15 - 25 高度なキャラクター能力の拡張
マスター (Master) 26 - 36 最高位のレベル帯をサポート
イモータル (Immortal) 超越者 レベルを超えた不滅の存在を定義

Frequently Asked Questions

1981年版と1983年版の最大の違いは何ですか?

1981年版(モルドヴェイ版)がレベル別のセット展開という基礎を作ったのに対し、1983年版(メンツァー版)はそれをさらに深化させ、イモータル・ルールまでを含む5段階の包括的なシステムへと拡張した点にあります。

「恐怖の島(Isle of Dread)」とは何ですか?

エキスパート・セットに同梱されていたモジュールで、屋外でのアドベンチャーや設定をプレイヤーに提示するための具体例として提供されました。

Rules Cyclopediaとはどのような本ですか?

1991年に出版されたハードカバー本で、メンツァー版のベーシック、エキスパート、コンパニオン、マスターの4つのセットの内容を1冊にまとめた統合ルールブックです。

10周年記念コレクターズセットの希少性はどの程度ですか?

世界でわずか1,000セットしか生産されておらず、当時の通信販売やGenCon 17という特定のイベントでのみ販売されたため、非常に高い希少価値を持っています。

キャラクターレベルの最高到達点はどこまで設定されていましたか?

マスター・ルールではレベル36までが定義されており、それを超えると「イモータル(不滅)」というレベルを超越した段階へと移行する設定となっていました。