現代のテーブルトークRPG(TRPG:対話とダイスを用いて物語を紡ぐロールプレイングゲーム)の原点となったのが、1974年に登場したダンジョンズ&ドラゴンズ(D&D)です。ゲイリー・ガイギャックスとデイヴ・アーネソンという二人の先駆者によって生み出されたこのゲームは、当初「紙と鉛筆、そしてミニチュアフィギュアで遊べる幻想的な中世ウォーゲーム・キャンペーンのためのルール」という非常に具体的な副題を掲げていました。
Key Facts
- 創設者:ゲイリー・ガイギャックスとデイヴ・アーネソン
- 初版発行:1974年、TSR社よりダイジェストサイズのボックスセットとして発売
- 構成:3冊のルールブックと6枚のリファレンスシートで構成
- 予算:初期生産予算はわずか2,000ドル(1,000部作成)
- 再販:2013年に豪華コレクターズセットとして復刻
質素な始まりとアマチュア精神あふれる制作背景
D&Dの最初の一歩は、驚くほど小規模な予算で始まりました。1,000部の製造に投じられた予算はわずか2,000ドルであり、そのうちアートワークに割り当てられたのはたったの100ドルでした。そのため、イラスト制作は専門のアーティストだけでなく、身近な人々が総動員される形となりました。
作画に携わったのは、地元アーティストのクッキー・コーリーや、共同創設者のデイヴ・アーネソン、ドン・ケイ、さらにはガイギャックスの義理の妹であるキーナン・パウエル、ジェフ・ペレンのグループメンバーであるグレッグ・ベルなどです。彼らに支払われた報酬は、小さな絵で2ドル、大きな絵で3ドルという極めて低額なものでしたが、増刷されるたびに同額のロイヤリティが支払われる仕組みとなっていました。
アートワークの特異性と影響
初期のイラストレーションには、当時のポップカルチャーの影響が色濃く反映されていました。特にグレッグ・ベルによる作品の多くは、コミック誌『Strange Tales』のデザインをベースにしていました。例えば、第2巻に描かれた「燃え盛る大釜の前に立つ魔術師」や、表紙を飾った「馬にまたがり剣を構えるバイキングの戦士」は、いずれも『Strange Tales』第167号のドクター・ストレンジのエピソードから引用されたものです。
製品の進化と拡張
1974年の春に広告が出始めて以来、このセットは多くの増刷を重ね、世界的な人気を博しました。また、基本ルールを補完する公式サプリメントも次々とリリースされ、ゲームの世界観を広げていきました。
| 発行年 | タイトル・区分 | 内容・特徴 |
|---|---|---|
| 1974年 | オリジナルセット | Vol.1「Men & Magic」、Vol.2「Monsters & Treasure」、Vol.3「The Underworld & Wilderness Adventures」の3冊構成 |
| 1975年 | 追加ルール | Greyhawk、Blackmoor |
| 1976年 | 追加ルール | Eldritch Wizardry、Gods, Demi-Gods & Heroes、Swords & Spells |
| 1976年以降 | Original Collector's Edition | パッケージが茶色の木目調から白に変更 |
パッケージのデザインも時代とともに変化しました。初期の茶色の木目調ボックスから、1976年以降は「Original Collector's Edition」というラベルが付いた白いボックスへと移行しています。また、第1巻「Men & Magic」の表紙イラストも、初版の騎馬戦士から、1976年版では剣を持つファイターへと変更されました。
現代への継承:2013年の復刻版
この伝説的な始まりを記念し、2013年にプレミアムなコレクターズセットが再リリースされました。木製のボックスに収められたこのセットには、当時の3冊の基本ルールブックと、初期のサプリメント4冊が忠実に再現されています。表紙のアートワークこそ新しくなっていますが、内部の構成やイラストは当時のまま再現されており、TRPGの歴史を辿ることができる貴重な資料となっています。
Frequently Asked Questions
1974年のオリジナルセットには何が含まれていましたか?
3冊のダイジェストサイズ冊子(「Men & Magic」「Monsters & Treasure」「The Underworld & Wilderness Adventures」)と、各種テーブルやチャートが記載された6枚のリファレンスシートが含まれていました。
初期のイラストはどのように制作されたのでしょうか?
非常に限られた予算(100ドル)の中で、共同創設者やその親族、知人などのアマチュアを含む人々が描きました。報酬は1点につき2〜3ドルという低額なものでした。
初期のアートワークに他作品の影響はありますか?
はい。特にグレッグ・ベルによるイラストの一部は、コミック誌『Strange Tales』第167号のドクター・ストレンジの描写を基に作成されていました。
「Original Collector's Edition」とは何ですか?
1976年以降の増刷分から導入された名称で、それまでの茶色の木目調ボックスから白いボックスへとパッケージデザインが変更されたバージョンを指します。
2013年の復刻版はオリジナルと何が違いますか?
各冊子の表紙アートワークは新しくなっていますが、内部のコンテンツやイラストはオリジナルの内容を忠実に再現しています。