アメリカを代表するシンガー、ドリス・デイが1965年に発表したアルバム『Doris Day's Sentimental Journey』は、彼女の音楽キャリアにおける重要な転換点となった作品です。コロンビア・レコードからリリースされた本作は、彼女が同レーベルで発表した最後のスタジオアルバムであり、その後1994年に未発表曲集が出るまで、新曲を収録したアルバムとしての活動に終止符を打つこととなりました。
本作の最大の特徴は、1940年代に流行したポップ・スタンダードを中心とした選曲にあります。タイトル曲の「Sentimental Journey」は、彼女が1945年にレス・ブラウン&ヒズ・バンド・オブ・リナウンの一員として歌い、大ヒットさせた思い出深い楽曲を再録音したものです。アルバム全体を通して、中速からスローテンポの心地よい楽曲が揃っており、聴く者を懐古的な気分へと誘います。
Key Facts
- リリース日:1965年7月12日(モノラル盤およびステレオ盤として発売)
- 音楽ジャンル:ジャズ / ポップ・スタンダード
- 制作陣:プロデューサーはアレン・スタントン、編曲・指揮はモート・ガーソンが担当
- 歴史的意義:コロンビア・レコードにおける最後のスタジオアルバム
- 再販情報:2001年に『Latin for Lovers』と併せてCD化
音楽的アプローチと制作の舞台裏
本作のサウンドを形作ったのは、モート・ガーソン・オーケストラによる洗練されたアレンジです。指揮と編曲を兼任したモート・ガーソンは、ドリス・デイの透明感のある歌声を最大限に引き出す落ち着いたアンサンブルを構築しました。また、ジャズ評論で知られるジョージ・T・サイモンがライナーノーツを執筆し、作品に深い音楽的背景を添えています。
アルバムのカバー写真はフランク・ベズによる撮影で、視覚的にも当時のエレガントな雰囲気が凝縮されています。収録された楽曲の多くは、タイトル曲と同じく1940年代に作曲されたスタンダードナンバーであり、ドリス・デイの黄金時代を回顧する構成となっています。
コロンビア・レコードからの卒業とその後
1965年の本作リリース後も、ドリス・デイは1967年半ばまでコロンビア社との関係を維持していました。1966年から67年にかけてシングルをリリースし、新しいアルバムに向けて複数の楽曲をレコーディングしていましたが、残念ながらその計画されていたアルバムは日の目を見ることなく棚上げ(シェルフ)となりました。
1967年に彼女がコロンビア社を離れ、事実上のレコーディング活動から退いたことで、本作が実質的な完結編となりました。なお、1967年のセッションで録音され未発表となっていた楽曲たちは、長い年月を経て1994年に『The Love Album』としてようやく世に出ることになります。
アルバム詳細まとめ
| 項目 | 詳細内容 |
|---|---|
| 録音期間 | 1964年11月11日 〜 21日(一部9月録音あり) |
| レーベル | Columbia |
| カタログ番号 | CL-2360 (Mono) / CS-9160 (Stereo) |
| 主な収録曲 | Sentimental Journey, At Last, I'll Never Smile Again など |
| 演奏 | モート・ガーソン・オーケストラ |
Frequently Asked Questions
このアルバムのタイトル曲にはどのような意味がありますか?
タイトル曲の「Sentimental Journey」は、ドリス・デイが1945年にレス・ブラウンのバンドで歌い、彼女をスターダムに押し上げた最初の大ヒット曲です。本作ではその曲を再録音しており、自身の音楽的な原点への回帰を象徴しています。
アルバムの音楽的な傾向はどうですか?
全体的にミディアムからスローテンポの楽曲で構成されており、1940年代のポップ・スタンダードをジャズのテイストで心地よく仕上げた、リラックスして聴ける作品です。
このアルバムが「最後」と言われる理由は何ですか?
コロンビア・レコードからリリースされた最後のスタジオアルバムだからです。その後もシングル曲の発表やアルバム用のレコーディングは行われましたが、アルバム形式で発売されたのは本作が最後となりました。
現在、このアルバムを聴く方法はありますか?
2001年に、同時期に録音された『Latin for Lovers』と合本された形式でCDが再発売されており、デジタルアーカイブ等でも確認することが可能です。
References
- ↑ Doris Day's Sentimental Journey at
- ↑ ; Jopling, Norman (December 4, 1965). "Doris Day: Sentimental Journey" (PDF). . No. 247. p. 9. Archived from the original (PDF) on April 8, 2022. Retrieved August 20, 2022.
- ↑ (1994). Pop Chronicles the 40s: The Lively Story of Pop Music in the 40s (audiobook). . 31611854. Tape 1, side B.