20世紀のハリウッドを象徴するアイコンの一人、ドリス・デイ。彼女は類まれなる歌唱力と親しみやすい魅力で、ミュージカルからロマンティック・コメディまで幅広いジャンルで観客を魅了しました。バンドシンガーとしての活動から始まり、やがて映画界のトップスターへと登り詰めた彼女の歩みは、まさにアメリカン・ドリームを体現していたと言えるでしょう。
Key Facts
- 1948年から1968年にかけて、計39本の長編映画に出演。
- 1960年、および1962年から1964年にかけて興行収入ランキング1位を記録。
- 映画『カラミティ・ジェーン』の挿入歌「Secret Love」でアカデミー賞を受賞。
- 映画引退後はテレビ番組『ザ・ドリス・デイ・ショー』などで活躍。
- 熱心な動物愛護家として知られ、晩年も動物関連の番組を制作。
歌手から映画界のトップスターへ
ドリス・デイのキャリアの原点は音楽にありました。当初はバンドシンガーとして活動していましたが、その才能が認められ、1948年にワーナー・ブラザース製作の『海上のロマンス』で主役に抜擢されます。これは監督マイケル・カーティスが、当初予定されていたベティ・ハットンに代わって彼女を選んだことによる幸運な転機でした。
その後、彼女は『二人でティータイム』や『ブロードウェイの子守唄』など、数々のミュージカル映画に出演し、その地位を確立します。特に1953年の『カラミティ・ジェーン』で披露した「Secret Love」は世界的なヒットとなり、アカデミー賞を受賞する快挙を成し遂げました。1954年にフランク・シナトラと共演した『ヤング・アット・ハート』を最後に、彼女はワーナー・ブラザースとの契約を終了します。
演技の幅を広げた黄金期とロマンティック・コメディの成功
ワーナーを離れた後も、彼女の人気は衰えるどころか、演技の幅を広げていきました。ジェームズ・キャグニーと共演した『愛していいなら』(1955年)では、歌手ルース・エッティング役を好演し、批評家からも高い評価を得るとともに興行的な成功を収めました。また、巨匠アルフレッド・ヒッチコック監督の『知りすぎた男』(1956年リメイク版)への出演など、挑戦的な役どころにも取り組みました。
1959年からは、ロック・ハドソン、トニー・ランドールとの共演作である『ピロートーク』をはじめとする一連のロマンティック・コメディで絶頂期を迎えます。彼女は1960年に興行収入1位となり、その後も1964年までトップの座を維持し続けました。キャリー・グラントやジェームズ・ガーナーといった名俳優たちとの共演作も多く、当時の観客にとって彼女は「理想的な隣人」のような親しみやすさと華やかさを兼ね備えたスターでした。

キャリアの転換点とテレビへの移行
1960年代半ばになると、映画としての成功に陰りが見え始めます。1965年の『お邪魔します』の不振をきっかけに、映画界での影響力は徐々に低下し、1966年の『ガラス底のボート』がトップ10入りした最後の作品となりました。1968年まで数本の映画に出演しましたが、批評的な評価は低く、次第に銀幕から遠ざかっていきました。
興味深いエピソードとして、映画『卒業』のミセス・ロビンソン役へのオファーを断ったことが挙げられます。彼女は自伝の中で、脚本の内容が「卑俗で不快である」と感じ、道徳的な理由からこの役を辞退したと明かしています。
映画界を離れたドリスは、テレビの世界へと活動の場を移しました。1968年から1973年まで放送されたシチュエーション・コメディ(設定に基づいたコメディドラマ)『ザ・ドリス・デイ・ショー』は、全5シーズン128エピソードにわたって放送され、大きな支持を得ました。また、動物への深い愛情から、1985年には『ドリス・デイズ・ベスト・フレンズ』という動物番組を制作するなど、最後まで自身の信念に基づいた活動を続けました。
ドリス・デイの主な活動まとめ
| カテゴリー | 詳細・実績 |
|---|---|
| 映画出演数 | 長編映画39本(1948年〜1968年) |
| 主な受賞 | アカデミー賞(楽曲「Secret Love」) |
| 興行成績 | 1960年、1962年〜1964年に興行収入1位を記録 |
| 代表的な共演者 | ロック・ハドソン、キャリー・グラント、フランク・シナトラ |
| テレビ活動 | 『ザ・ドリス・デイ・ショー』他、動物愛護番組など |
Frequently Asked Questions
ドリス・デイが映画界で最も成功したのはいつ頃ですか?
1959年から1964年にかけての期間です。特にロック・ハドソンとの共演作などのロマンティック・コメディが大当たりし、興行収入ランキングで1位を何度も獲得しました。
彼女が映画『卒業』への出演を断った理由は何ですか?
彼女は脚本の内容が道徳的に受け入れられず、卑俗で不快であると感じたため、ミセス・ロビンソン役への出演を辞退しました。
音楽面での最大の功績は何ですか?
映画『カラミティ・ジェーン』で歌った「Secret Love」がアカデミー賞を受賞したことです。また、数多くのソロアルバムをリリースし、歌手としても高い評価を得ていました。
映画引退後の活動について教えてください。
1968年から5シーズン続いたテレビコメディ『ザ・ドリス・デイ・ショー』への出演や、1980年代半ばには自身の動物愛への情熱を注いだ番組『ドリス・デイズ・ベスト・フレンズ』を制作しました。
彼女はどのような人物として知られていましたか?
類まれな歌唱力を持つエンターテイナーであると同時に、非常に強い動物愛護精神を持つ人物として知られていました。
References
- Grindon, Leger (2011). The Hollywood Romantic Comedy: Conventions, History and Controversies. John Wiley & Sons. p. 87. . Retrieved August 8, 2013.
- Kashner, Sam (March 2008). "Here's to You, Mr. Nichols: The Making of The Graduate". . Retrieved January 17, 2014.
- The John Denver Show (November 1, 1974) at

- Doris Day Today (TV special, Feb. 19, 1975) at

- Doris Day Today (1975) CBS press release at Wikimedia Commons