セント・トーマス教区:米領ヴァージン諸島の信仰の拠点
カリブ海の美しい海に囲まれた米領ヴァージン諸島において、精神的な支柱となっているのがセント・トーマス教区(Diœcesis Sancti Thomae in Insulis Virgineis)です。この教区は、セント・トーマス島、セント・クロイ島、セント・ジョン島の3つの主要な島々を管轄し、ワシントン大司教区に属する唯一の傘下教区として重要な役割を担っています。
教区の象徴である聖ペテロ・パウロ大聖堂を中心に、地域社会への奉仕と信仰の継承が行われています。現在はジェローム・フッジオ司教のもと、多様な背景を持つ信徒たちに寄り添う活動を展開しています。
Key Facts
- 管轄地域: 米領ヴァージン諸島(セント・トーマス、セント・クロイ、セント・ジョン)
- 中心教会: 聖ペテロ・パウロ大聖堂
- 設立年: 1960年(領地司教区として)
- 所属: ラテン教会(ローマ典礼)、ワシントン大司教区の傘下
- 信徒数: 約30,000人(2010年時点の人口比 約27.6%)
- 現在の指導者: ジェローム・フッジオ司教
歴史的変遷:デンマーク統治から米国領へ
ヴァージン諸島におけるカトリックの歴史は、政治的な支配者の変遷と深く結びついています。1733年当時、この地域はデンマーク王国の植民地でしたが、宗教的な管轄権はスペイン領であったプエルトリコのサンフアン教区が保持していました。
地域における最初期の教会活動は、1755年にセント・クロイ島のクリスチャンステッドに建てられた聖十字架教会から始まりました。その後、1802年にはセント・トーマス島のシャーロット・アマリーに初のカトリック施設が誕生します。1804年には、バルトモール教区のジョン・キャロル司教の要請により、現地に居住していたスペイン人商人やフランス人プランター(農園主)へのケアを目的として司祭が派遣されました。
1848年には、現在の聖ペテロ・パウロ教会が建設され、地域の信仰の拠点となりました。その後、第一次世界大戦中の1917年にデンマーク政府がこれらの島々を米国に売却したことで、正式に米領ヴァージン諸島となりました。
教区の確立と指導者の歩み
20世紀に入り、教区の体制は整備されていきます。1960年、教皇パウロ6世により「ヴァージン諸島領地司教区」が設立され、サンフアン教区から独立しました。初代使徒総代理にエドワード・ハーパーが任命され、1977年には正式に「セント・トーマス教区」へと昇格し、ハーパーが初代司教に就任しました。
その後、1984年にはショーン・パトリック・オマリー司教が共同司教として着任し、1985年にハーパー司教の後を継ぎました。オマリー司教は在任中、ホームレス支援やHIV/AIDS患者のための施設開設など、社会福祉に尽力したことで知られています。

1990年代以降は、エリオット・トーマス司教、ジョージ・マリー司教、ハーバート・ベヴァード司教がそれぞれ教区を導きました。特に2017年に発生したハリケーン「イルマ」と「マリア」による甚大な被害に際しては、カトリック慈善団体(Catholic Charities)が5つの炊き出し所を運営し、被災者の救済に奔走しました。
2020年にベヴァード司教が健康上の理由で引退した後、2021年にジェローム・フッジオ司教が就任し、現在に至ります。
教区の現状と組織構成
セント・トーマス教区は、限られた面積(約135平方キロメートル)の中で、地域に根ざした教育と信仰の提供を行っています。2025年現在、教区内には4つの小教区(パリッシュ)と4つの学校が設置されており、次世代への教育活動にも力を入れています。
| 項目 | 詳細内容 |
|---|---|
| 管轄エリア | セント・トーマス、セント・クロイ、セント・ジョン |
| 総人口(2010年) | 108,612人 |
| カトリック信徒数 | 約30,000人(27.6%) |
| 主要施設 | 聖ペテロ・パウロ大聖堂、聖ジョセフ高校など |
| 上位組織 | ワシントン大司教区(メトロポリタン) |
Frequently Asked Questions
セント・トーマス教区はどの組織に属していますか?
この教区はカトリック教会のラテン教会(ローマ典礼)に属しており、米国のワシントン大司教区の傘下にある唯一の教区です。
教区の歴史的な始まりはいつですか?
地域的な教会活動は1755年の聖十字架教会の設立に遡りますが、独立した教区としての体制が整ったのは、1960年に領地司教区として設立されてからです。
現在の司教は誰ですか?
2021年に就任したジェローム・フッジオ司教が、現在の教区の指導者を務めています。
災害時にどのような支援を行いましたか?
2017年のハリケーン・イルマおよびマリアの被災後、カトリック慈善団体を通じて5つの炊き出し所を開設し、地域住民への食糧支援を実施しました。
教区内で運営されている教育機関はありますか?
はい、2025年時点で4つの学校が運営されており、その中にはセント・クロイ島のフレデリクステッドにある聖ジョセフ高校などが含まれます。