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DECADEプロジェクト地球深部からの炭素放出メカニズムを解明する

🗓 2026年8月10日

地球の内部、すなわち核やマントル、地殻に蓄えられた炭素が、どのようなプロセスで地表(大気、海洋、生物圏など)へと放出されるのか。この壮大な地球規模の炭素循環を定量的に明らかにしようとしているのが、DECADE(Deep Earth Carbon Degassing)プロジェクトです。本プロジェクトは、地球深部の炭素研究を推進する「Deep Carbon Observatory (DCO)」の一環として展開されています。

地球内部から炭素が地表へ移動する主要なルートは火山活動ですが、それ以外にも地殻内の断層や亀裂を通じて放出される「テクトニック脱ガス(tectonic degassing)」という経路が存在します。しかし、これらの放出量はこれまで正確に把握されておらず、地球全体の炭素予算を算出する上での大きな不確定要素となっていました。

Key Facts

  • 目的: 地球深部から地表へ放出される炭素量の推定精度を向上させること。
  • 主要ルート: 火山活動および地殻の断層・亀裂(テクトニック脱ガス)を通じて炭素が放出される。
  • 科学的意義: 沈み込み帯で地中へ運ばれた炭素が、再び地表に戻るのか、あるいは深部マントルに留まるのかを解明し、長期的な気候変動への影響を分析する。
  • アプローチ: 地球化学、岩石学、火山学を統合し、世界的な観測ネットワークとデータベースを構築する。

炭素循環の謎と気候への影響

科学者が特に注目しているのは、プレートの沈み込みによって地球内部に運ばれた炭素の行方です。もし、沈み込んだ炭素が火山や断層を通じて効率的に地表へリサイクルされているならば、海嶺などの火山活動による放出と合わせて、地球深部から浅い層(地殻や大気など)へ炭素が偏って移動することになります。

このような炭素の再分配が地球の歴史を通じて行われてきた場合、地表環境における炭素濃度が上昇し、それが地球の気候変動に決定的な影響を与えた可能性があります。したがって、深部からの炭素放出量を正確に測定することは、地球の過去と未来の環境を理解するために不可欠です。

プロジェクトの具体的な目標と戦略

DECADEプロジェクトは、単なる理論研究に留まらず、実地観測とデータ統合によるアプローチを採用しています。具体的には、以下の5つの戦略を掲げています。

  1. データベースの構築: 火山および熱水ガスの組成と放出量のデータを集約し、「EarthChem/PetDB」や「スミソニアン地球火山計画」と連携させる。
  2. 継続的なモニタリング: 世界の主要な活火山20箇所に観測網を構築し、リアルタイムで炭素放出量を測定する。
  3. 未調査地域の調査: データが不足している遠隔地の火山における炭素放出量を測定する。
  4. 技術革新: 炭素測定および放出量モニタリングのための新しいフィールド計測機器や分析手法を開発する。
  5. 国際協力: 世界各国の火山観測所と正式な提携を結び、測定活動を支援する。

これまでの成果と観測実績

2011年に発足して以来、DECADEは世界13カ国、約80名の専門家によって推進されてきました。これまでの活動により、多くの具体的な成果が得られています。

例えば、Multi-GAS(多成分ガス分析システム)やminiDOAS(小型差分吸収分光法)などの高度な計測機器を導入し、二酸化炭素(CO2)や二酸化硫黄(SO2)の継続的な監視を実現しました。また、インドネシアのブロモ山やアナク・クラカタウ山での初測定や、アリューシャン列島、バヌアツ、パプアニューギニアなどの遠隔地におけるガス放出量の定量化に成功しています。

さらに、コスタリカのポアス山やトゥリアルバ山では、火山ガスの化学的変化が噴火の予兆となることを突き止めており、防災への応用も期待されています。航空機を用いたプルーム(噴煙)サンプリングによる炭素同位体分析や、アゾレス諸島における拡散的なCO2脱ガスの測定など、多角的なアプローチが進んでいます。

DECADEプロジェクトによる主要モニタリング火山

モニタリング対象火山の一覧
火山名 備考
マサヤ火山 ニカラグア -
ポポカテペトル山 メキシコ -
ガレラス火山 コロンビア -
ネバド・デル・ルイス山 コロンビア -
ビジャリカ火山 チリ 2015年の噴火により機器が損壊
トゥリアルバ火山 コスタリカ -
ポアス火山 コスタリカ -
メラピ山 インドネシア -
ホワイトアイランド ニュージーランド -

Frequently Asked Questions

DECADEプロジェクトとは何ですか?

地球の深部(核、マントル、地殻)から地表へと放出される炭素の量を定量的に測定し、地球規模の炭素循環を解明することを目的とした国際的な研究イニシアチブです。

なぜ火山以外の「テクトニック脱ガス」が重要なのですか?

火山だけでなく、地殻の断層や亀裂からも炭素が放出されています。この経路の放出量はこれまでほとんど未知であり、ここを正確に把握しなければ、地球全体の正確な炭素予算を算出できないためです。

この研究は気候変動とどのように関係していますか?

深部から地表へ放出される炭素の量と、沈み込み帯で地中へ運ばれる炭素の量のバランスを調べることで、地表の炭素濃度が歴史的にどのように変化し、それが気候にどう影響したかを分析できるためです。

具体的にどのような技術を使って測定していますか?

Multi-GAS(多成分ガス分析システム)による継続的なガス組成測定や、miniDOASを用いたSO2放出量の測定、さらに航空機によるプルームサンプリングや赤外線同位体分光計を用いた分析などが行われています。

噴火の予測に役立つのですか?

はい。コスタリカの火山などの事例では、火山ガスの化学的な組成変化が噴火の先行指標(前兆)となることが確認されており、噴火予測への活用が進められています。

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