The Bank of England printing facility at Debden, operated under contract by De La Rue, which prints Bank of England banknotes.
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デ・ラ・ルー(De La Rue)世界最大級の紙幣印刷を担う英国のセキュリティ印刷企業

🗓 2026年8月7日

世界各国の通貨や身分証明書など、極めて高い信頼性が求められる「セキュリティ印刷」の分野で世界的な影響力を持つのが、英国のデ・ラ・ルーDe La Rueです。140カ国以上の政府や中央銀行、企業に向けて、物理的およびデジタルな保護ソリューションを提供しています。

同社は特に紙幣の設計と製造において世界最大の商業印刷会社としての地位を確立しており、偽造を困難にする高度なセキュリティ機能の開発に特化しています。長年にわたり、国家の経済的信頼を支えるインフラとしての役割を果たしてきました。

Key Facts

  • 世界最大級の規模: 商業ベースでの紙幣印刷において世界トップのシェアを誇る。
  • 広範な展開: 140カ国以上の政府や中央銀行に製品を供給。
  • 主要製品: 紙幣、ポリマー基材(プラスチック製紙幣の素材)、セキュリティホログラム、セキュリティスレッドなど。
  • 所有形態: 2025年7月よりAtlas Holdingsによる買収を経て非公開会社へ移行。
  • 歴史的実績: 1821年創業。トランプや切手、万年筆など多岐にわたる製品を製造した歴史を持つ。

事業内容と専門技術

デ・ラ・ルーの核心事業は、通貨の安全性と真正性を保証することにあります。具体的には、69以上の国家通貨向けに、完成済みの高セキュリティ紙幣や、耐久性に優れたポリマー基材(プラスチック製の特殊素材)を提供しています。

また、紙幣に組み込まれるセキュリティホログラムや、特殊なセキュリティスレッド(潜伏線)などの偽造防止機能の設計・製造も担っています。通貨以外にも、税務印紙などの重要書類のセキュリティ印刷を手掛けており、国家レベルの収益管理を技術的に支援しています。

The Bank of England printing facility at Debden, operated under contract by De La Rue, which prints Bank of England banknotes.

企業の歩みと変遷

創業から拡大期まで

1821年、トーマス・デ・ラ・ルーによってロンドンで創業されました。当初は麦わら帽子製造や文房具店から始まりましたが、1831年に王室御用達のトランプ製造権を獲得したことで転機を迎えます。その後、1855年には郵便切手、1860年には紙幣の印刷へと事業を拡大し、初の紙幣製造はモーリシャス向けに行われました。

戦略的買収と事業多角化

20世紀に入ると、さらなる成長のために積極的な買収を展開しました。1995年には世界的な紙幣用紙メーカーであるポータルズ(Portals Limited)を、1997年にはハリソン・アンド・サンズ(Harrison and Sons)を買収し、製造能力を強化しました。また、2003年にはイングランド銀行の紙幣印刷部門を譲り受けるなど、英国の通貨インフラにおける重要性を高めました。

近年の構造改革と所有権の変更

近年、同社は事業の選択と集中を進めています。2016年に現金処理部門を売却し、2018年には用紙事業を分離。2019年にはIDソリューション事業をHID Globalへ売却しました。さらに2025年10月には認証事業をCrane NXTへ3億ポンドで売却しています。

経営体制においても大きな変化があり、2025年4月にAtlas Holdingsによる買収に合意。同年7月には買収が完了し、ロンドン証券取引所から上場廃止となり、非公開会社となりました。

かつての多様な製品ラインナップ

現在のセキュリティ特化型とは異なり、かつてのデ・ラ・ルーは一般消費者向けの製品も幅広く展開していました。

  • トランプ: 1843年に開発したデザインは、現代の標準的なトランプデザインの基礎となりました。
  • 筆記具: 1881年に実用的な万年筆を開発し、「Onoto」ブランドで販売していました。
  • ボードゲーム: 1930年代にはクリケットを題材にした「Stumpz」などのゲームを制作していました。
  • 郵便切手: 英国および植民地、イタリア、アメリカ連合国などの切手を印刷していました。

企業概要まとめ

デ・ラ・ルー 企業データ(2024年時点)
項目 内容
本社所在地 英国 ハンプシャー州 ベイジングストーク
CEO クライブ・ヴァッチャー (Clive Vacher)
会長 クライブ・ワイリー (Clive Whiley)
売上高 (2024年) 3億1,030万ポンド
営業利益 (2024年) 580万ポンド
純利益 (2024年) ▲1,910万ポンド
従業員数 (2024年) 1,674名
現在の所有者 Atlas Holdings

Frequently Asked Questions

デ・ラ・ルーはどのような製品を主に作っていますか?

主に世界各国の紙幣、ポリマー基材、および偽造防止のためのセキュリティホログラムやセキュリティスレッドなどの高度なセキュリティ印刷製品を製造しています。

現在の所有者は誰ですか?

2025年7月に買収が完了し、現在は米国の投資グループであるAtlas Holdingsの所有となっています。

過去にどのような一般向け製品を販売していましたか?

現代の標準となったデザインのトランプや、「Onoto」ブランドの万年筆、郵便切手、さらにはボードゲームなどの製造・販売を行っていました。

イングランド銀行との関係は?

2003年にイングランド銀行の紙幣印刷業務を買収したほか、2024年にはチャールズ3世の肖像をあしらった新紙幣の設計をイングランド銀行と共に担当することが発表されています。

世界でどの程度の規模の会社ですか?

商業的な紙幣印刷においては世界最大の企業であり、140カ国以上の政府や中央銀行に製品を供給しています。

References

  1. "Annual Report 2024" (PDF). De La Rue plc. Retrieved 10 February 2025.
  2. Newcomb, Alyssa (3 December 2019). "World's largest printer of money is running out of money". nbcnews.com. Retrieved 11 February 2023. It is the largest commercial printer in the world, produces passports for 40 countries, and has designed 36 percent of all banknote denominations in circulation...
  3. "De La Rue announces completion of sale of Authentication division". www.delarue.com. 2 November 2026. Retrieved 7 April 2026.
  4. Kelly, Maxine; Levingston, Ivan; McDougall, Mary (15 April 2025). "Banknote maker De la Rue agrees £263mn takeover by US buyout group Atlas". Financial Times. Retrieved 22 April 2025.
  5. "Shareholder Information". www.delarue.com. Retrieved 14 July 2025.
  6. "Our History – De La Rue". www.delarue.com. Archived from the original on 9 May 2023. Retrieved 20 May 2020.
  7. "UK banknote printer fears for its future". BBC News. 26 November 2019.
  8. Competition Commission Reports
  9. International Directory of Company Histories, Volume 34 (2000), p. 141
  10. Shargi, Ali (15 December 1998), ESKENĀS, vol. VIII/6, Encyclopædia Iranica, pp. 615–624