Schematic view of the interior of Earth. continental crust oceanic crust upper mantle lower mantle outer core inner coreMohorovicic discontinuitycore–mantle boundaryouter core–inner core boundary
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核・マントル境界(CMB)の構造と地球内部のダイナミクス

🗓 2026年8月9日

地球の深部には、惑星の物理的性質が劇的に変化する重要な境界線が存在します。それが核・マントル境界(Core-Mantle Boundary: CMBです。地表から約2,891kmという極めて深い場所に位置するこの境界は、岩石主体のケイ酸塩マントルと、液体状の鉄・ニッケルで構成される外核を分かつ壁のような役割を果たしています。

この領域は単なる境界線ではなく、地球の磁場生成やマントル対流に深く関わるダイナミックなゾーンであり、現代の地球物理学における最重要研究テーマの一つとなっています。

Schematic view of the interior of Earth. continental crust oceanic crust upper mantle lower mantle outer core inner coreMohorovicic discontinuitycore–mantle boundaryouter core–inner core boundary

Key Facts

  • 位置: 地表から約2,891kmの深さに存在。
  • 物質の変化: 固体のケイ酸塩マントルから液体の鉄・ニッケル外核へと変化する。
  • 地震波の挙動: P波の速度が急減し、S波は液体である外核を通過できず消失する。
  • 熱的特徴: 外核上部は上層のマントルよりも500〜1,800K高い温度を持つとされる。
  • 特殊な層: 境界直上の約200kmの領域は「D"層」と呼ばれ、複雑な構造を持つ。

地震波が解き明かす境界の正体

直接観測することが不可能な地球深部の構造は、地震波の伝播速度の変化(不連続面)を通じて解析されます。CMBでは、固体から液体への相変化に伴い、音響インピーダンスが大きく変わるため、地震波の挙動に顕著な差が現れます。

具体的には、縦波であるP波の速度が外核に入った瞬間に大幅に低下します。一方で、横波であるS波はせん断力を伝える性質を持つため、液体中では伝播できず、この境界で完全に消失します。この現象こそが、外核が液体状態にあることを示す決定的な証拠となっています。

この不連続面は、発見者の名にちなんでグーテンベルク不連続面(またはオールドハム・グーテンベルク不連続面)とも呼ばれます。なお、現代の地質学において「グーテンベルク不連続面」という言葉は、海洋下約100kmで観測される速度低下を指して使われることもあります。

D"層:マントル最下部のミステリー

CMBの直上、下部マントルの最下端約200kmにわたる領域はD"層(ディー・ダブルプライ層)と呼ばれています。この名称は、地球内部をアルファベットで分類したキース・ブレンの体系に由来します。当初は下部マントル全体を「D層」としていましたが、後に上部のD'層と、最下部のD"層に分かれていることが判明しました。

近年の研究では、D"層は単純な球状ではなく、不均一な構造を持っていることが分かっています。特に、大陸のような構造を持つ「核大陸(core-continents)」の存在が提唱されており、これがマントル対流やホットスポットの形成に影響を与えていると考えられています。

ポストペロブスカイトの出現

D"層の鉱物組成についても新たな知見が得られています。深部マントルの主要鉱物であるペロブスカイトが、CMB付近の超高圧環境下でポストペロブスカイトという新しい相に転移している可能性が示唆されています。この相転移が、境界付近の地震波速度の異常に寄与していると考えられています。

熱的境界と地球磁場への影響

CMBは極めて激しい温度勾配を持つ熱的境界層でもあります。外核の上部は、その上のマントルよりも500〜1,800Kも高温であると推測されており、この温度差が熱輸送を駆動しています。

また、地震波トモグラフィー(地球内部のCTスキャンのような技術)により、アフリカや太平洋の下にLLSVP(大型低せん断波速度省)と呼ばれる巨大な低速度領域が存在することが明らかになっています。こうした境界付近の熱的・化学的な不均一性は、外核内の鉄リッチな流体の流れに影響を与え、結果として地球全体の磁場を形成するダイナモ作用を左右していると考えられています。

核・マントル境界(CMB)の特性まとめ
項目 マントル側(上部) 外核側(下部)
状態 固体(ケイ酸塩) 液体(鉄・ニッケル)
深さ 〜2,891 km 2,891 km 〜
P波の速度 高速 低速(急減)
S波の伝播 可能 不可能(消失)
主な特徴 D"層、ポストペロブスカイト 熱的境界層、磁場生成の源

Frequently Asked Questions

核・マントル境界(CMB)とは具体的にどこにあるのですか?

地表から約2,891kmの深さに位置し、固体の下部マントルと液体の外核の境目にあたります。

なぜS波はこの境界を通過できないのですか?

S波(二次波)は物質をせん断させることで伝わる波ですが、液体にはせん断耐性がないため、液体状態の外核に到達すると伝播できず消滅してしまいます。

D"層とはどのような場所ですか?

CMBの直上にある厚さ約200kmの層です。ここではポストペロブスカイトへの相転移が起きていると考えられており、マントル対流やホットスポットに影響を与える複雑な構造を持っています。

CMBは地球の磁場にどのように関係していますか?

CMBにおける熱的な不均一性が、外核にある液体鉄の対流パターンに影響を与えます。この流体の動きが地球の磁場を作り出すダイナモ作用の鍵となっているため、非常に重要な役割を担っています。

グーテンベルク不連続面とは何ですか?

地震波の速度が急激に変化するCMBの別名です。地震学者のベノ・グーテンベルクによって発見されました。

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