オハイオ州クリーブランドの中心部に位置するクリーブランド公共図書館(CPL)は、単なる本の貸出施設ではなく、地域の文化、教育、そして歴史を象徴する重要な機関です。1869年の創立以来、時代に合わせて進化を続け、現在は膨大な蔵書数と最先端のデジタルサービスを兼ね備えた、全米でも有数の公共図書館システムを構築しています。
主要な事実(Key Facts)
- 創立: 1869年2月17日
- 規模: メイン図書館および27の分館を運営
- 蔵書数: 約1,316万点(2020年時点)
- 年間貸出数: 約347万点(2020年時点)
- 特筆事項: 国連寄託図書館であり、視覚障害者・身体障害者のための専門図書館を併設
図書館の歩み:小さな始まりから巨大システムへ
この図書館の原点は1811年にまで遡ります。当時はわずか16人の住民が購読して希少な書籍を共有する小規模な集まりに過ぎませんでした。その後、1867年にオハイオ州議会で公立図書館の維持に税金を充てることが認められたことで、近代的な体制への道が開かれました。アンソン・スミス教育長はこの法整備に尽力し、「クリーブランド公共図書館の父」と称されています。
1869年2月17日、約5,800冊の蔵書とともに正式に開館しました。初代司書ルター・メルヴィル・オヴィアットは、学者だけでなく職人やビジネスマン、子供たちまでが利用できるよう、当時としては画期的な「オープンシェルフ(開架式)」を採用し、誰もが自由に本を探せる環境を整えました。
その後、1898年にはウィリアム・ハワード・ブレット司書によって全米初の独立した児童室が設置され、子供たちの読書習慣を育む先駆的な取り組みが行われました。
建築的魅力とメイン図書館の構造
ダウンタウンにあるメイン図書館は、2つの対照的な建築様式の建物で構成されています。1925年に完成した旧館は、ルネサンス様式の古典的なデザインが特徴で、内部には高い天井と壮麗な空間が広がっています。

館内には、1934年に連邦芸術プロジェクトの一環として描かれたオーラ・コルトマンによる巨大壁画「都市の支配(Dominance of the City)」などの芸術作品が保存されており、芸術と知識の融合を図ったリンダ・イーストマン元館長の理念が反映されています。

一方、1997年に開館した「ルイ・ストークス・ウィング」は、現代的なフリットガラスとジョージア産大理石を用いた建築美が際立つ建物です。この新館は、地下通路を通じて旧館と結ばれており、地上には彫刻が点在するイーストマン・リーディング・ガーデンが広がっています。

地域に根ざした分館ネットワークと多様なサービス
クリーブランド公共図書館の最大の特徴の一つは、市街地を網羅する分館システムです。1903年、慈善家アンドリュー・カーネギーからの多額の寄付により、多くの分館が建設されました。これにより、貧困地域に住む人々や、多様な国籍を持つ移民コミュニティの人々が、自宅の近くで知識にアクセスできるようになりました。
現在、最大規模のカーネギー・ウェスト分館をはじめ、市内に27の分館が展開されています。




また、アクセシビリティへの配慮も徹底されており、「オハイオ州視覚障害者・身体障害者図書館」を併設しています。ここには、触覚や香りで植物を楽しむことができる「センソリー・ガーデン(感覚庭園)」が設けられており、あらゆる人々が心地よく過ごせる空間を提供しています。

デジタル時代の革新と未来への投資
CPLは伝統を守るだけでなく、テクノロジーの導入にも積極的です。2012年には、3Dプリンターやコラボレーション用テーブルを備えた「テック・セントラル(Tech Central)」を開設し、市民のデジタルスキル向上を支援しています。また、2015年には「クリーブランド・デジタル公共図書館」を立ち上げ、地域の歴史的な資料のデジタル化を推進しています。
さらに、2019年からは10年計画で1億ドルを投じる大規模な再開発プロジェクトが進行中です。すべての分館の近代化を図り、最終的にはメイン図書館の包括的な修復を行うことで、次世代にふさわしい学習環境を整備しています。
貴重なコレクションと芸術的遺産
図書館内には、ジョン・G・ホワイトによるチェスや民俗学の貴重なコレクションなど、世界的に価値のある資料が保管されています。また、1925年に設置されたレオナルド・ダ・ヴィンチの地図に基づく巨大なガラス製地球儀は、メインロビーの象徴的なオブジェとなっています。

また、人種差別や多様性の問題を扱った著作に贈られる「アニスフィールド=ウルフ本賞」の運営など、社会的な正義と多様性を尊重する文化的な役割も担っています。
図書館概要まとめ
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 設立年 | 1869年 |
| 施設構成 | メイン図書館 + 分館27拠点 + モバイルライブラリー |
| 蔵書規模 | 約1,316万点(2020年) |
| 主要サービス | デジタルアーカイブ、テックセントラル、視覚障害者支援 |
| 特筆コレクション | ジョン・G・ホワイト・チェスコレクション、国連文書 |
よくある質問(FAQ)
メイン図書館はどのような構成になっていますか?
1925年完成の古典的な旧館と、1997年に開館した現代的なルイ・ストークス・ウィングの2つの建物で構成されており、地下通路で結ばれています。
どのような特別なコレクションがありますか?
世界的に有名なチェス・チェッカーのコレクションや、民俗学資料、希少な建築出版物、そして人種問題に焦点を当てたアニスフィールド=ウルフ本賞に関連する資料などが含まれます。
デジタルサービスにはどのようなものがありますか?
電子書籍の貸出システムのほか、3Dプリンターを備えたテックセントラルや、地域の歴史資料をデジタル化したクリーブランド・デジタル公共図書館などのサービスを提供しています。
視覚障害者向けのサービスはありますか?
はい。オハイオ州視覚障害者・身体障害者図書館を運営しており、触覚や香りを活用して楽しめるセンソリー・ガーデン(感覚庭園)も併設されています。
分館のネットワークはどのようにして広がったのですか?
19世紀末のウィリアム・ハワード・ブレット司書の尽力と、慈善家アンドリュー・カーネギーによる多額の寄付により、市内のあらゆる地域にアクセス可能な分館システムが構築されました。
References
- "2020 CPL Annual Report" (PDF). Cleveland Public Library. Archived (PDF) from the original on November 23, 2021. Retrieved December 31, 2020.
- "Ohio". GPO Federal Library Directory. . Archived from the original on January 2, 2009. Retrieved July 10, 2020.
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- Good, T. "Three Makerspace Models that Work". American Libraries. 44: 45–47 – via Masterfile Premier.
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