チリの首都サンティアゴに位置するチリ国立美術館(Museo Nacional de Bellas Artes / MNBA)は、チリ国内のみならず南米全域の芸術を代表する重要な文化拠点です。1880年に設立されたこの美術館は、南米で最も古い歴史を持つ美術館として知られており、現在は芸術連合(Unión Artística)によって運営されています。
美術館が位置するのは、ジョルジュ・エンリケ・デュボアが設計した美しいフォレスタル公園内です。その背後にはチリ大学の現代美術館や、かつての美術学校が隣接しており、このエリア全体がサンティアゴの芸術的な中心地となっています。

Key Facts
- 設立年:1880年(南米最古の美術館)
- 所在地:チリ、サンティアゴ(フォレスタル公園内)
- 建築様式:ボザール様式(ネオクラシック、第二帝政様式、バロック・リバイバル、アールヌーヴォーの融合)
- 現施設:1910年完成の「芸術宮殿(Palacio de Bellas Artes)」
- 管理団体:芸術連合(Unión Artística)
変遷と歴史:絵画博物館から芸術宮殿へ
本美術館は1880年9月18日、「国立絵画博物館(Museo National de Pinturas)」として産声を上げました。当時の大統領アニバル・ピントやマヌエル・ガルシア・デ・ラ・ウエルタ大臣、そして彫刻家のホセ・ミゲル・ブランコらが中心となり、画家フアン・モチを初代館長に迎えて設立されました。
その後、1887年に芸術連合が年次展覧会のために建設した「パルテノン」と呼ばれる建物に移転し、名称も現在の「国立美術館」へと変更されました。しかし、さらなる発展を目指し、1901年には専用の美術館および美術学校を建設することが決定。設計には建築家エミール・ジェキエールが起用されました。
完成した建物は、チリ独立100周年を記念する国際博覧会に合わせて1910年9月21日に正式に開館しました。以来、この壮麗な「芸術宮殿」が美術館の拠点となっています。
建築的特徴:欧州の美学と堅牢な構造
現在の建物である芸術宮殿は、フランスのプティ・パレをモデルにしており、ボザール様式(19世紀後半にフランスで流行した古典主義的な建築様式)を基調としています。具体的には、ネオクラシックや第二帝政様式、バロック・リバイバルが融合し、そこにアールヌーヴォーの繊細な装飾と金属構造の近代的なアプローチが加えられています。
特に注目すべきは、ベルギーで製造され1907年に運ばれたガラス製のドーム(クポラ)です。このドームのガラス重量は約2,400kgに及び、建物全体の金属構造は約115,000kgという圧倒的なスケールで構成されています。
内部構造は中央軸を中心に設計されており、エントランスから大ホール、そして2階へと続く壮大な階段が特徴です。大ホールのバルコニー上部には、アントニオ・コル・イ・ピの手によるカリアティード(女性像の柱)と、盾を支える二人の天使のハイレリーフ(高浮き彫り)が施されており、空間に格調高い気品を与えています。
また、この建物は自然災害への耐性も備えています。1960年のチリ地震で被害を受けた後、耐震補強工事が実施されました。その結果、2010年のチリ地震の際には、外装の一部が脱落したのみで、構造的な致命傷を免れることができました。

美術館概要まとめ
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 正式名称 | Museo Nacional de Bellas Artes (MNBA) |
| 設立 | 1880年9月18日 |
| 現建築物の開館 | 1910年9月21日 |
| 設計者 | エミール・ジェキエール(建築)、ジョルジュ・エンリケ・デュボア(造園) |
| 年間来館者数 | 386,714人(2009年時点) |
| 現館長 | フェルナンド・ペレス・オヤルスン |
Frequently Asked Questions
チリ国立美術館はいつ設立されましたか?
1880年9月18日に設立されました。当初は「国立絵画博物館」という名称で、南米で最も古い美術館としての歴史を持っています。
現在の建物(芸術宮殿)はどのような様式で建てられていますか?
フランスのプティ・パレをモデルにしたボザール様式です。ネオクラシック、第二帝政様式、バロック・リバイバルにアールヌーヴォーの装飾が組み合わさった豪華な建築です。
建物の設計に携わった人物は誰ですか?
建築設計はエミール・ジェキエールが担当し、美術館が位置するフォレスタル公園の造園は、フランスのヴェルサイユ庭園学校で学んだジョルジュ・エンリケ・デュボアが手がけました。
過去の地震による被害はありましたか?
1960年の地震で被害を受けましたが、その後の耐震補強により、2010年の地震では外装の一部が剥落した程度の軽微な被害に抑えられました。
美術館の内部で特に注目すべき建築的ポイントはどこですか?
ベルギー製の大規模なガラスドームや、中央ホールのバルコニーにあるアントニオ・コル・イ・ピ作のカリアティードおよび天使の彫刻が見どころです。
References
- "Servicios 2004-2009". Dirección de Bibliotecas, Archivos y Museos. Retrieved September 18, 2010.
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