かつてカリフォルニア州パロアルトに拠点を置いていたCherrypalは、中国で製造された消費者向けコンピュータを販売していたマーケティング企業です。多様なCPUアーキテクチャやOSを採用した製品群を展開し、特に低コストでのインターネット普及を目指した戦略で注目を集めました。しかし、2018年にドメイン登録が失効したことで、現在は事業を停止していると考えられています。
Key Facts
- 多様なハードウェア:PowerPC、ARM、x86など、モデルごとに異なるCPUを採用。
- 超低価格戦略:途上国向けに99ドルという極めて安価なネットブック「Africa」を投入。
- クラウド構想:ブラウザをUIの核とし、ストレージやアプリをネット経由で利用する構想を掲げた。
- 物議を醸した信頼性:配送遅延や仕様の不一致により、BBB(Better Business Bureau)から最低評価の「F」を受けた。
製品ラインナップと技術的特徴
超小型デスクトップ「C114」
C114は、Freescale 5121e SoC(System on a Chip)を搭載した軽量なネットトップPCです。OSにはXubuntuを採用し、FirefoxやAbiWordなどのアプリケーションを搭載していました。もともとはTHTF(Tsinghua Tongfang)の深セン研究開発センターで開発された「LimePC D1」のOEM製品であり、極めて低い消費電力が特徴でした。メーカー側は2ワットと主張していましたが、実際の起動時の計測では6.9ワットであったと報告されています。

Androidタブレット「Cherrypad (Cherrypal America)」
Telechips TCC89xx ARM11プロセッサを搭載したAndroidタブレットです。スペックとしては、800MHz CPU、256MB RAM、2GBフラッシュメモリ、800x480の抵抗膜方式タッチスクリーンを備えていました。当初はAndroid 2.2へのアップデートやAndroidマーケットへの対応を謳っていましたが、Googleの要件を満たさなかったためマーケットサポートは削除され、OSアップデート計画も変更されるなど、ソフトウェア面での混乱が見られました。

その他のネットブック展開
- Africa:99ドルで提供された途上国向けモデル。固定の設計を持たず、安価に調達できた部品(ARM、MIPS、x86など)を組み合わせて製造される「アプライアンス」として販売されました。
- Asia:Android 1.7を搭載した低コストのARMベースネットブック。
- Bing:Windows XPを搭載したスリムなx86ベースのネットブック。
クラウドコンピューティングへの野心
Cherrypalは単なるハードウェア販売にとどまらず、クラウドベースのコンピューティング環境の構築を計画していました。Firefoxを単なるブラウザではなく、OpenOffice.orgなどのアプリを起動するためのユーザーインターフェースとして活用し、データ保存や処理をインターネット上で行う「Green Maraschino」というクラウドサービスの提供を目指していましたが、この計画が完全に実現した形跡はありません。
市場の評価と企業の信頼性
100ドル以下のPCを実現した点では、大規模な資金を投じた「One Laptop per Child (OLPC)」プロジェクトを上回るスピード感があったと評されました。また、ガーナの学習センターへの支援やナイジェリアでの教員向けパイロットプログラムなど、社会貢献活動にも取り組んでいました。
一方で、ビジネス運営面では深刻な問題を抱えていました。顧客へのコミュニケーション不足や返品対応の不備が相次ぎ、多くのユーザーから不満の声が上がりました。結果として、米国の企業信頼性評価機関であるBBBからは最低ランクの「F」評価を受けるに至りました。
製品仕様まとめ
| モデル名 | CPUアーキテクチャ | OS | 主な特徴 |
|---|---|---|---|
| C114 | PowerPC (Freescale) | Xubuntu | 超低消費電力ネットトップ |
| Cherrypad | ARM11 (Telechips) | Android | 7インチ抵抗膜タッチパネル |
| Africa | 可変 (ARM/MIPS/x86) | Linux等 | 99ドルの超低価格モデル |
| Asia | ARM | Android 1.7 | 低コストネットブック |
| Bing | x86 | Windows XP | スリム型ネットブック |
Frequently Asked Questions
Cherrypalはどのような会社でしたか?
カリフォルニア州に拠点を置き、中国で製造された多様なCPUとOSを持つ低価格コンピュータを販売していたマーケティング会社です。
「Africa」モデルの仕様が曖昧だったのはなぜですか?
固定の設計図を持たず、その時々で安価に調達できた部品や在庫品を組み合わせて製造していたため、CPUなどの構成が個体によって異なる仕様となっていました。
C114の消費電力は本当に低かったのでしょうか?
メーカーは2ワットと発表していましたが、第三者による非公式なテストでは起動時に6.9ワットを消費していることが確認されました。それでも一般的なPCに比べれば非常に低い数値でした。
なぜBBBから「F」評価を受けたのですか?
商品の配送遅延、広告されていた仕様と実際の製品の乖離、および顧客対応や返品手続きにおける不誠実な対応が繰り返されたためです。
Cherrypalは現在も活動していますか?
いいえ。2018年に公式サイトのドメイン登録が失効しており、現在は事業を停止していると考えられています。
References
- Comp. Systems Colloqium (EE380) (June 2, 2010). "M. Seybold Lecture to Stanford Univ. group (video)". Archived from the original on August 13, 2010. Retrieved August 4, 2010.
{{}}: CS1 maint: numeric names: authors list () - "Cherrypal – Home". Cherrypal. Archived from the original on May 5, 2018. Compare with next available archived snapshot.
- Hachman, Mark (December 15, 2009). "Cherrypal Launches $99 Computer". PC Magazine.
- "Green Tech Girl » CherryPal/LimePC Architecture". Archived from the original on August 17, 2011. Retrieved April 4, 2011.
- "AboutJack - LimePC/CherryPal". Archived from the original on September 3, 2011. Retrieved April 4, 2011.
- "Upgrade to Gingerbread (2.3)". Archived from the original on January 5, 2011. Retrieved December 11, 2010.
- "CherryPad America 7-inch Android 2.1 tablet computer". Archived from the original on October 20, 2010. Retrieved January 23, 2011.
- "Clarification on Hardware needed". Archived from the original on July 8, 2011. Retrieved December 11, 2010.
- "CherryPad 2 7-inch Android Tablet to have Capacitive Touch, GSM, Under $400". Retrieved December 11, 2010.
- Green Tech Girl (December 5, 2008). "Green Tech Girl Blog: My Cherrypal Has Arrived". Archived from the original on December 15, 2008. Retrieved December 7, 2008.
📸 フォトギャラリー

