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チャーリー・トルヒーヨチカーノの視点から戦争とアイデンティティを描く作家

🗓 2026年8月17日

アメリカ社会におけるマイノリティの経験を、文学と映像を通じて世に送り出してきた人物がいます。チャーリー・トルヒーヨ(Charley Trujillo)は、小説家、編集者、出版社経営者、そして映画監督という多才な顔を持つチカーノ(メキシコ系アメリカ人)の表現者です。彼は特に、ベトナム戦争に従軍したチカーノ兵士たちの忘れ去られた記憶を記録し、社会に問い直す活動で知られています。

Key Facts

  • 正体: メキシコ系アメリカ人の作家、出版社(Chusma House Publications)創設者、映画監督。
  • 代表作: ベトナム戦争に従軍したチカーノの体験をまとめた『Soldados: Chicanos in Việt Nam』。
  • 経歴: 元米陸軍歩兵。ベトナムでの負傷により右目の視力を失った戦傷病者。
  • 学歴: UCバークレーでチカーノ研究の学士号、サンノゼ州立大学で修士号を取得。
  • 受賞歴: 1991年にアメリカン・ブック・アワードを受賞。

逆境から育まれたアイデンティティ

1949年、カリフォルニア州ハンフォードに生まれたトルヒーヨは、メキシコにルーツを持つ農耕家庭で育ちました。幼少期を過ごしたコーコンでは、家族と共に綿花畑で働きながら、当時のラティーノが直面していた厳しい差別を肌で感じていました。特に学校教育の現場では、教室でスペイン語を話したことで体罰を受けるという過酷な経験をしています。

このような隔離された環境や差別は、精神的な苦痛をもたらしましたが、同時に彼が自身のヒスパニック文化を強く保持し、誇りを持つ原動力となりました。第二世代のラティーノとして、彼は自身のルーツを深く意識しながら成長しました。

戦場での経験と人生の転換点

1968年、高校卒業からわずか2週間後にトルヒーヨは米陸軍に入隊しました。故郷を離れ、人間として成熟することを求めた彼は、ドイツでの勤務を経て、志願して南ベトナムへと派遣されます。歩兵軍曹として戦った彼は、その功績によりブロンズスターメダルとパープルハート勲章を授与されました。

しかし、戦地での激しい戦闘の中で破片が右目に飛び込み、視力を完全に失うという重大な負傷を負いました。1970年に除隊した彼は、身体的な障害を抱えた退役軍人としてアメリカに帰還することになります。

教育への情熱と社会への還元

帰国後の生活は困難の連続でした。マラリアに三度も罹患し、病床に伏す日々を過ごしましたが、再び農作業に戻った際、彼は「一生、単純労働だけで人生を終えたくない」という強い決意を抱きます。また、戦争が関わったすべての人々に与えた負の影響を痛感し、「ベトナム退役軍人反戦連盟(Vietnam Veterans Against the War)」に加入しました。

その後、GI法(除隊軍人援護法)を活用して学問の道へ進みます。フレズノ・シティ・カレッジを経てUCバークレーでチカーノ研究の学士号を取得し、さらにサンノゼ州立大学で修士号を得るなど、専門的な知見を深めました。

表現者としての歩みと出版活動

1978年から1991年まで、デアンザ・カレッジでエスニック研究や社会科学、チカーノ研究の教授を務めたトルヒーヨは、社会から軽視されてきたチカーノ兵士たちの実態を記録することを決意します。そうして誕生したのが、19人のチカーノ兵士の物語を編纂した『Soldados: Chicanos in Việt Nam』でした。

しかし、この作品は70社以上の出版社から拒絶されました。この挫折が転機となり、彼は1990年に自ら出版社「Chusma House Publications」を設立します。商業主義的な小説ではなく、価値ある意義深い作品を世に出すことを目的としたこの出版社は、現在までに多様な民族の著者による30以上のタイトルを刊行しています。

『Soldados』はその後、全米38の大学やカレッジで教科書として採用されるなど、学術的・社会的に高い評価を得ました。また、彼は別のベトナム戦争小説『Dogs From Illusion』を執筆し、2003年にはソニャ・リーと共にドキュメンタリー映画『Soldados: Chicanos in Việt Nam』を制作。PBSで放送され、広く知られることとなりました。

チャーリー・トルヒーヨの主な活動と実績
カテゴリー 詳細内容
主な著作 『Soldados: Chicanos in Việt Nam』、『Dogs From Illusion』
設立組織 Chusma House Publications(出版社)
教育歴 デアンザ・カレッジ教授(1978-1991)
映像作品 ドキュメンタリー映画『Soldados: Chicanos in Việt Nam』監督・共同製作
受賞 1991年 アメリカン・ブック・アワード

現在の活動と今後の展望

現在、トルヒーヨはサンノゼに拠点を置き、創作活動を続けています。執筆中の作品には、フィクション形式の回想録『The Real Life of a Dead Chicano: Patas de Perro』があります。

また、映像制作にも意欲的で、1800年代のカリフォルニアで伝説的な山賊として知られるティブルシオ・バスケスに関するビデオドキュメンタリーと、自身の小説『Dogs From Illusion』をベースにした長編映画の2作品を準備しています。

Frequently Asked Questions

チャーリー・トルヒーヨとはどのような人物ですか?

メキシコ系アメリカ人(チカーノ)の作家、出版社経営者、映画監督です。ベトナム戦争の退役軍人としての経験を活かし、マイノリティの視点から戦争や社会問題を記録し、発信する活動を行っています。

代表作『Soldados』はどのような内容ですか?

ベトナム戦争に従軍した19人のチカーノ兵士たちの実体験をまとめた作品です。当初は多くの出版社に拒絶されましたが、後に自社で出版し、全米の多くの大学で教科書として採用されるほどの重要な資料となりました。

彼が自身の出版社を設立した理由は何ですか?

『Soldados』を出版しようとした際、70社以上の出版社から拒絶されたためです。商業的な成功よりも、社会的な意義や価値のある作品を世に送り出したいという強い信念から、Chusma House Publicationsを創設しました。

トルヒーヨ氏の軍歴について教えてください。

1968年に米陸軍に入隊し、ドイツでの勤務を経て南ベトナムへ派遣されました。歩兵軍曹として戦い、ブロンズスターメダルとパープルハート勲章を受賞しましたが、右目の視力を失う負傷を負いました。

現在どのようなプロジェクトに取り組んでいますか?

フィクション形式の回想録の執筆に加え、19世紀の山賊ティブルシオ・バスケスに関するドキュメンタリー映画と、自身の小説を映画化した長編作品の制作に取り組んでいます。

References

  1. "SubCine - Charley Trujillo". Archived from the original on 2017-04-16. Retrieved 2011-03-17.
  2. "Soldados | POV". .
  3. "About Us: The Man Behind Chusma House". Archived from the original on 2009-11-15. Retrieved 2009-12-04.
  4. "Filmmaker Interview | Soldados | POV". . 14 January 2003. Archived from the original on June 28, 2011.
  5. "About Us". Archived from the original on 2011-05-07. Retrieved 2011-03-17.
  6. "Documentary". Archived from the original on 2011-05-09. Retrieved 2011-03-17.