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CGS単位系センチメートル・グラム・秒による物理量測定の基礎

🗓 2026年8月12日

物理学や工学の世界では、量を正確に測るための「単位系」が不可欠です。現在、世界的に標準となっているのはSI単位系(国際単位系)ですが、特定の科学分野では依然としてCGS単位系が活用されています。CGSとは、その名の通り「センチメートル (centimetre)」「グラム (gram)」「秒 (second)」の3つを基本単位とするメートル法の変種です。

この体系では、長さ、質量、時間の3つの基本要素から、力やエネルギーといったあらゆる力学的単位が明確に導き出されます。一方で、電磁気学への応用においては複数の拡張方法が存在し、分野によって異なる定義が使い分けられてきました。

Key Facts

  • 基本単位: 長さはセンチメートル(cm)、質量はグラム(g)、時間は秒(s)で定義される。
  • SIとの関係: 変換係数が10の累乗(100cm=1m、1000g=1kgなど)であるため、力学的な変換は比較的単純である。
  • 主要な力学単位: 力の単位に「ダイヌ (dyne)」、エネルギーの単位に「エルグ (erg)」を用いる。
  • 電磁気学の多様性: ESU(静電単位系)やEMU(電磁単位系)、ガウス単位系など、複数の派生体系が存在する。
  • 現状: 多くの分野でSI単位系に取って代わられたが、一部の専門領域では今も現役である。

CGS単位系の歴史的背景

CGS単位系の構想は、1832年にドイツの数学者カール・フリードリヒ・ガウスが、長さ・質量・時間の3つの絶対単位に基づく体系を提案したことに始まります。当初ガウスが想定していたのはミリメートル、ミリグラム、秒という極めて小さな単位でした。

その後、1873年に英国科学振興協会の委員会(ジェームズ・クラーク・マクスウェルやウィリアム・トムソンらが参加)によって、センチメートル、グラム、秒を基本単位として採用することが推奨されました。これにより、電磁気学的な導出単位にもこれらの基本単位を適用する「C.G.S.単位」という呼称が広まりました。

力学における定義とSI単位系との比較

純粋な力学系(長さ、質量、力、エネルギー、圧力など)において、CGS単位系とSI単位系の違いは単純なスケールの差に集約されます。例えば、力の単位であるダイヌ (dyne)は「1g・cm/s²」と定義されており、SI単位のニュートン (N) は100,000ダイヌに相当します。

同様に、エネルギーの単位であるエルグ (erg)は、1ダイヌの力で1センチメートル物体を動かした時の仕事量として定義されます。圧力の単位にはバリ (barye)が用いられ、これは1g/(cm・s²)と定義されます。

CGS力学単位とSI単位の対応表
物理量 CGS単位名 記号 定義 SI単位換算
長さ センチメートル cm 1/100 m 10⁻² m
質量 グラム g 1/1000 kg 10⁻³ kg
ダイヌ dyn g・cm/s² 10⁻⁵ N
エネルギー エルグ erg g・cm²/s² 10⁻⁷ J
圧力 バリ Ba g/(cm・s²) 10⁻¹ Pa
粘度(動的) ポイズ P g/(cm・s) 10⁻¹ Pa・s

電磁気学への拡張と多様な体系

電磁気学におけるCGS単位系の構築は、力学ほど単純ではありません。SI単位系では「アンペア (A)」を基本単位として独立させていますが、CGSでは電磁気的な量を力学的な基本単位(cm, g, s)から導き出そうとします。

ESUとEMUのアプローチ

電磁気学的な単位の導出には、大きく分けて2つのアプローチがあります。一つはクーロンの法則に基づき電荷を定義するESU (静電単位系)であり、電荷の単位としてフランクリン (Fr) やスタットクーロンが用いられます。もう一つはアンペールの力法則に基づき電流を定義するEMU (電磁単位系)であり、電流の単位としてビオ (Bi) やアブアンペアが用いられます。

ガウス単位系と合理化

マクスウェルの電磁気学理論は、これらの法則を統合します。ガウス単位系は、ESUとEMUの概念を組み合わせたもので、理論物理学で広く利用されてきました。また、数式から4πなどの係数を排除して簡略化する「合理化」というプロセスがあり、これに基づいたのがハイヴィサイド・ローレンツ単位系です。

CGS単位系の利点と課題

CGS単位系の最大の利点は、電磁気学の基礎方程式において、真空の誘電率や透磁率といった定数を1(または単純な値)として扱える点にあります。これにより、理論的な計算や物理的本質の理解が容易になる場合があります。

しかし、大きな欠点は「単位名の不統一」です。例えば「15 emu」という表記だけでは、それが電圧(アブボルト)を指しているのか、磁化率を指しているのかが文脈によって異なります。対してSI単位系では、アンペア、ヘンリー、オーム、ボルトといった固有の名称が定義されており、混同の余地がありません。

Frequently Asked Questions

CGS単位系は現在でも使われているのですか?

はい。多くの分野でSI単位系に移行しましたが、天文学や一部の理論物理学、電磁気学の専門的な研究領域では、計算の簡便さから今もCGS単位系(特にガウス単位系)が使用されています。

SI単位系とCGS単位系の変換は難しいですか?

力学的な量に関しては、変換係数が10の累乗(10, 100, 1000など)であるため、桁数を調整するだけで変換可能です。ただし、電磁気学的な量の変換は、4πなどの係数が関わるため、より複雑な計算が必要になります。

ダイヌとニュートンの違いは何ですか?

どちらも「力」を表す単位ですが、スケールが異なります。1ニュートンは100,000ダイヌに相当します。ダイヌは1グラムの質量に1cm/s²の加速度を与える力として定義されています。

なぜ電磁気学では複数のCGS体系があるのですか?

電荷を基準にするか(ESU)、電流を基準にするか(EMU)という出発点の違いがあるためです。また、数式上の係数(4πなど)をどのように処理して簡略化するかという設計思想の違いが、ガウス単位系やハイヴィサイド・ローレンツ単位系などの分化を生みました。

References

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