北米大陸には、私たちの身近にいる愛らしいペットから、険しい山々に潜む猛獣まで、多種多様なネコ科動物(felids)が生息しています。アメリカにおけるネコ科の分類は、家猫や野良猫を含む「イエネコ」、中型の野生種である「リンクス属」、そして大型の「ピューマ属」や「ヒョウ属」に大別されます。数としては家猫が圧倒的に多いものの、その生態や歴史は非常に多彩です。
Key Facts
- アメリカには家猫、中型野生猫、大型猫の3つの主要グループが存在する。
- クーガーは大型猫に分類されるが、遺伝的にはライオンより家猫に近い。
- かつて北米には67種以上のサーベルタイガーが存在していた。
- 家猫の飼育率は高く、2025年時点で全世帯の約3割以上が飼育している。
- ジャガーやジャグアランディなど、米国からほぼ姿を消した種も存在する。
太古の記憶:絶滅したネコ科動物
今から約4,200万年前から1万1千年前にかけて、北米大陸には少なくとも67種のサーベルタイガー(剣歯虎)が生息していました。彼らは巨大な犬歯を持つことで知られていますが、氷河期末期の気候変動や、人類の進出が原因で絶滅したと考えられています。
なお、当時の化石の中で「サーベルタイガー」と呼ばれていた動物の中には、外見こそネコ科に似ていたものの、実際には有袋類であった種も含まれています。
北米の大型ネコ科動物
アメリカに生息していた代表的な大型種にジャガー(Panthera onca)がいます。かつてはテキサスやコロラドなど広範囲に分布していましたが、20世紀初頭までに大部分の地域で姿を消しました。現在はアリゾナ州などで個体が確認されるにとどまっています。
もう一頭の主要種であるクーガー(Puma concolor)は、ピューマやマウンテンライオンなど多くの名称で呼ばれています。平均体重は約70kgに達し、その名からライオンの仲間と思われがちですが、実際にはヒョウ属(Panthera)ではなく、家猫に近い系統に属しています。
クーガーは南北アメリカ大陸に広く分布しており、現在は米国西部やカナダの西部で多く見られます。かつて絶滅したとされた米国中西部や東海岸、カナダ東部などの地域にも、再び個体が移動してきている傾向があります。また、フロリダ州の個体群は古くから継続的に生息しています。
多様な野生の小型・中型ネコ科
アメリカで「野生のネコ」として知られるのは、主にオセロット、カナダリンクス、ボブキャットの3種です。これらは家猫と同じ「ネコ属(Felis)」ではなく、それぞれ異なる属に分類されます。
- オセロット:中南米に分布する斑点模様の小型猫。米国ではアリゾナ州とテキサス州にわずかに生息しています。
- カナダリンクス:アラスカやニューイングランド、カナダに分布するリンクス属の一種です。
- ボブキャット:カナダ南部からメキシコ中部にまで広く分布するリンクス属の動物です。
かつてはテキサス州南部のリオグランデ川流域にジャグアランディやマーゲイも生息していましたが、現在は米国からはほぼ絶滅したと考えられています。

家猫の現状と社会的な取り組み
家猫(Felis catus)はアメリカで非常に人気のあるペットです。2025年の推計では、約7,630万匹が飼育されており、全世帯の32.6%から37%が少なくとも1匹の猫を飼っています。また、飼育されている猫の87%が避妊・去勢手術を受けているというデータがあります。
また、家猫の品種改良により、オセロットやヒョウのような野生的な外見を持つ「カリフォルニア・スパングル」などの品種も誕生しています。

動物愛護の面では、SPCA(動物虐待防止協会)という名称の組織が各地に存在しますが、これらは独立した団体であり、全米を統括する単一の組織はありません。また、猫のグルーミング専門の資格認定を行う「全米猫グルーマー協会(NCGIA)」などの専門機関も活動しています。
一方で、環境保護の観点から、飼い猫による野鳥への捕食を防ぐため、猫を完全に室内で飼育することを推奨する「Cats Indoors!」のような啓発キャンペーンも展開されています。
アメリカのネコ科動物 まとめ
| 分類 | 代表的な種 | 主な特徴・現状 |
|---|---|---|
| 大型猫 | クーガー、ジャガー | クーガーは広範囲に分布。ジャガーは大部分の地域で絶滅。 |
| 中・小型野生猫 | ボブキャット、カナダリンクス、オセロット | リンクス属やレオパルドゥス属に分かれ、地域的に分布。 |
| 家猫 | イエネコ(Felis catus) | 全世帯の3割以上が飼育する極めて一般的なペット。 |
| 絶滅種 | サーベルタイガー | 氷河期末期に絶滅。かつては67種以上が存在。 |
Frequently Asked Questions
クーガーはライオンの仲間ですか?
いいえ、違います。クーガーは「マウンテンライオン」と呼ばれますが、分類学上はヒョウ属(Panthera)ではなく、遺伝的にはライオンよりも家猫に近い関係にあります。
アメリカで野生のネコ科動物に会う可能性はありますか?
はい、あります。特にボブキャットやカナダリンクスは北米に広く分布しており、また米国西部ではクーガーに遭遇する機会もあります。
サーベルタイガーはなぜ絶滅したのですか?
主な要因として、氷河期が終わる際の大規模な気候変動と、北米大陸への人類の進出が挙げられています。
アメリカに猫を連れて行く際の規制はありますか?
CDC(疾病対策センター)は健康証明書を必須としていませんが、入国時に検査が行われ、拒否される可能性があります。特にハワイ州とグアムへの持ち込みには、原産地に関わらず検疫が必要です。
SPCAという組織は全米で一つだけですか?
いいえ、SPCAという名称を冠する組織は数多くありますが、それぞれが独立して運営されており、全米をまとめる傘下組織は存在しません。
References
- Ward, Peter (1997). The Call of Distant Mammoths: Why The Ice Age Disappeared. New York: Springer-Verlag New York. .
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- Rosatte, Rick (2011). "Evidence Confirms the Presence of Cougars (Puma concolor) in Ontario, Canada". The Canadian Field-Naturalist. 125 (2): 116. :10.22621/cfn.v125i2.1194.
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