2016年の国民投票でEU離脱(Leave)が決定した後、イギリス国内では「再度の国民投票」を行うべきかという議論が絶えず巻き起こりました。当初は離脱決定を尊重する声が強かったものの、離脱交渉が進むにつれて、国民の意識は徐々に変化していきました。
Key Facts
- 初期の傾向:2016年から2017年にかけては、再投票への反対意見が主流であり、実施されたとしても再び離脱が支持される可能性が高いと予測されていました。
- 世論の転換:離脱交渉の長期化に伴い、離脱支持層の勢いが弱まり、再投票を求める声が拡大しました。
- 表現による差異:「第2回国民投票(second referendum)」という言葉よりも、「国民投票(public vote)」という表現の方が支持を得やすい傾向にありました。
- 最新のデータ:2022年12月のSavanta社による調査では、有権者の65%が再投票に賛成しています。
世論の変遷と離脱支持の弱まり
2016年の投票直後から2017年にかけての世論は、一貫して再投票に否定的でした。しかし、EUとの交渉が難航し、具体的な離脱後の姿が見えにくくなるにつれ、状況は一変します。政治学者のジョン・カーティス氏は、離脱支持票に「緩やかだが明確な軟化」が見られると指摘しています。
実際に、Britain Electsの追跡データによれば、2018年4月以降、離脱支持が再投票支持を上回る調査結果は見られなくなりました。これは、離脱という選択がもたらす現実的な影響が浸透し、国民の不安や期待が変化したことを示唆しています。
調査手法と結果への影響
再投票に関する世論調査では、質問の形式や選択肢の設定が結果に大きな影響を与えました。特に、単なる「賛成・反対」ではなく、複数の選択肢を提示した場合に複雑な傾向が現れました。
選択肢の構成による変動
保守党内でチェッカーズ合意(EUとの将来的な関係についての提案)への反発が強まった時期には、「残留(Remain)」「合意離脱(Deal)」「無合意離脱(No deal)」の3択で調査が行われました。この場合、投票制度が結果を左右します。例えば、単純小選挙区制(first-past-the-post)のような仕組みでは、離脱派の票が「合意」と「無合意」に分散するため、相対的に「残留」が勝利しやすくなるという構造的な特性がありました。
用語のニュアンス
また、質問文で使われる言葉選びも重要でした。一般的に「第2回国民投票」という表現は拒絶反応を招きやすく、一方で「パブリック・ボート(国民による投票)」といった記述の方が、より広い層から支持を得る傾向にありました。
再国民投票に関する世論調査データ(2016年〜2020年)
以下の表は、2016年の国民投票後から2020年にかけて実施された、再投票または離脱合意に関する主要な調査結果をまとめたものです。
| 実施日 | 賛成 | 反対 | どちらでもない | リード | サンプル数 | 調査機関 | 備考 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 2019年10月17-18日 | 47% | 44% | 9% | 3% | 1,025 | Survation | オンライン |
| 2019年10月2-14日 | 41% | 45% | 14% | 4% | 26,000 | ComRes | 3択形式の投票 |
| 2019年9月29-30日 | 47% | 29% | 24% | 18% | 1,620 | YouGov | 合意時の議会投票との比較 |
| 2019年5-9日 | 53% | 29% | 18% | 24% | 1,144 | Kantar | オンライン |
| 2019年4-8日 | 51% | 32% | 17% | 19% | 1,172 | Kantar | オンライン |
| 2019年3-4日 | 46% | 41% | 13% | 5% | 1,533 | YouGov | オンライン |
| 2018年11月15日 | 55% | 35% | 10% | 20% | 1,488 | Sky Data | 3択形式(重み付けなし) |
| 2018年4月10-12日 | 52% | 31% | 17% | 21% | 2,008 | Opinium | オンライン |
| 2017年6月16-17日 | 48% | 43% | 9% | 5% | 1,005 | Survation | 電話調査 |
| 2016年6月27-28日 | 31% | 58% | 11% | 27% | 1,760 | YouGov | オンライン |
Frequently Asked Questions
再国民投票への支持は時間の経過とともにどう変化しましたか?
2016年直後は反対派が圧倒的でしたが、離脱交渉が進むにつれて支持が上昇しました。2018年以降は支持が反対を上回る調査が多くなり、2022年には賛成が65%に達するなど、大幅に増加しました。
質問の言い方で結果が変わったというのは本当ですか?
はい。調査結果は表現に敏感であり、「第2回国民投票」という直接的な表現よりも、「パブリック・ボート(国民投票)」といった記述の方が、より多くの支持を集める傾向がありました。
3つの選択肢(残留・合意離脱・無合意離脱)を提示した場合の結果はどうなりますか?
結果は採用される投票制度に大きく依存します。例えば、単純小選挙区制の場合、離脱派の票が「合意」と「無合意」に分かれるため、結果として「残留」が勝利しやすくなる傾向があります。
離脱支持層の動向について専門家はどう分析していますか?
政治学者のジョン・カーティス氏は、離脱支持の票に「緩やかだが識別可能な軟化」が見られると述べており、離脱への絶対的な支持が揺らいだことを指摘しています。
2022年の最新の世論はどうなっていますか?
Savanta社が2022年12月に実施した調査によると、有権者の65%が再国民投票の実施に賛成しており、反対は24%にとどまっています。
References
- Question asked about a second EU referendum, not necessarily on the final deal.
- Referendum on whether to accept the negotiated terms or remain in the EU.
- Referendum on whether to accept the negotiated terms or leave the EU without a deal.
- Referendum on whether to remain in the EU or leave the EU without a deal.
- Referendum on whether to accept the negotiated terms or re-open negotiations with a view to getting a better deal.