The original Blackmoor supplement (TSR, Inc., 1975)
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ブラックムアTRPGの原点となった伝説的キャンペーン設定

🗓 2026年8月16日

現代のテーブルトークRPG(TRPG)の金字塔である『ダンジョンズ&ドラゴンズ(D&D)』。その誕生の裏には、ブラックムア(Blackmoor)という極めて重要なキャンペーン設定の存在がありました。1970年代初頭、デイヴ・アーンソンによって生み出されたこの世界は、単なるゲームの舞台を超え、キャラクターの成長やダンジョン探索といった、後のRPGに不可欠な要素を形作った「実験場」だったのです。

Key Facts

  • TRPGの先駆け:D&D共同制作者デイヴ・アーンソンが、D&Dの基礎を築くために開発した初期設定。
  • 革新的な仕組み:個々のプレイヤーキャラクターが成長し続ける仕組みや、多層構造のダンジョン探索を導入。
  • 多様な影響源:コナン小説、ゴシックホラー、『指輪物語』、さらには当時のテレビ番組などの要素を融合。
  • 世界観の変遷:初期の独立した設定から、後にD&Dの「ミスタラ」世界における古代文明として組み込まれた。

ブラックムアの誕生と進化

ブラックムアの起源は、デイヴ・ウェズリーの「ブラウンシュタイン」ゲームや、アーンソン自身が取り組んでいたウォーゲームにあります。アーンソンはそこにファンタジー要素を加え、ブラックムアという町と城、そして地下に広がる巨大なダンジョンを中心とした世界を構築しました。

この設定は、中世ミニチュア戦闘を専門とする「キャッスル&クルセイド協会」の活動の中で発展しました。ゲイリー・ガイギャックスが主導したこの協会において、アーンソンは「グレートキングダム」の北端地域の管理を任され、そこで中世を舞台にしたゲームを展開。次第に、個々のプレイヤーが協力して困難に立ち向かう、物語性の強いスタイルへと進化していきました。

1972年頃には、アーンソンが考案した「ダンジョン探索」のメカニズムがプレイヤーの間で絶大な人気を博します。この革新的なアイデアがガイギャックスに伝えられたことで、世界初の商業的TRPGである『ダンジョンズ&ドラゴンズ』の開発へと繋がったのです。

出版の歴史と展開

ブラックムアは、ゲームとしての運用から次第に製品としての出版へと移行しました。1975年にTSR社からリリースされた『Supplement II: Blackmoor』は、D&Dの第2弾サプリメントとして登場し、初の公開アドベンチャー「カエルの神殿(Temple of the Frog)」を収録しました。

The original Blackmoor supplement (TSR, Inc., 1975)

その後、1977年にはジャッジズ・ギルド社から『The First Fantasy Campaign』が出版されました。これは、1971年頃から1976年にかけてのアーンソンのキャンペーン記録をまとめた貴重な資料集であり、詳細な地図や当時のルール、価格表などが網羅されていました。

First Fantasy Campaign (Judges Guild), 1977

DAシリーズとミスタラへの統合

1980年代に入ると、ブラックムアはD&Dの「ベーシック・セット」で展開されていた「ミスタラ(旧:既知の世界)」という設定に組み込まれます。物語上の設定では、ブラックムアは遥か古代に高度な文明を築いたものの、地球の軸をずらすほどの世界的大惨事で滅亡した文明として定義されました。

この設定を深掘りするため、TSR社は「DAシリーズ」というアドベンチャーモジュールを発売。プレイヤーは過去へとタイムスリップし、古代ブラックムアの政治的混乱や、文明崩壊の原因となった墜落宇宙船の謎に迫ることになります。

ブラックムアの概要まとめ

ブラックムア設定の変遷と特徴
項目 詳細
主要設計者 デイヴ・アーンソン
主要パブリッシャー TSR, Zeitgeist Games, Judges Guild
核心的なコンセプト キャラクターの永続的な成長、多層ダンジョン探索
後世への影響 D&Dの基本ルールの策定、ミスタラ設定の歴史的背景
対応システム D&D (初期, 4版), d20システム

後年の展開と現代への継承

アーンソンがTSRを去った後も、ブラックムアの精神は生き続けました。2004年にはZeitgeist GamesとGoodman Gamesの手により、d20システム版のキャンペーン設定として現代的にアップデートされ、2009年にはD&D第4版向けのガイドもリリースされています。

また、一時期はMMRPG(大規模多人数参加型ロールプレイングゲーム)としてのキャンペーンも運営されるなど、時代に合わせてその形態を変えながら、TRPGファンの間で語り継がれています。

Frequently Asked Questions

ブラックムアはD&Dとどう違うのですか?

ブラックムアはD&Dというゲームシステムの中で使用される「キャンペーン設定(世界観)」の一つです。もともとはD&Dが製品化される前にアーンソンが個人で運用していた世界であり、その遊び方がD&Dのルール作りに大きな影響を与えました。

「カエルの神殿」とは何ですか?

1975年のサプリメント『Supplement II: Blackmoor』に収録された、TRPG史上初の出版アドベンチャー(シナリオ)です。ブラックムア・キャンペーンの一部である「ロッホ・グルーメン」地域を舞台としています。

ミスタラ設定におけるブラックムアの役割は?

ミスタラの世界において、ブラックムアは「失われた古代文明」として位置づけられています。かつては科学的に高度な文明を持っていましたが、大破局によって滅び、現在の世界の地理的・歴史的な基礎となりました。

ブラックムアにSF要素があるのはなぜですか?

DAシリーズ(特にDA3)において、ブラックムアの高度な文明の源泉が「墜落した宇宙船」であったことが明かされます。これはアーンソンによる意図的な時代錯誤(アナクロニズム)の導入によるものです。

現在でもブラックムアを遊ぶことはできますか?

はい。過去にリリースされたd20システム版や第4版向けの設定ガイドが存在します。また、古典的なTRPG資料として、当時のルールや設定を再現して遊ぶファンも多く存在します。

References

  1. (1981), Pegasus Magazine Premier Issue, Judges Guild, p. 5
  2. Tresca, Michael J. (2010), The Evolution of Fantasy Role-Playing Games, McFarland, pp. 61–62,  
  3. Boggs, D. H. (2021-04-17). "Fifty Years of Fantasy Role Play Table-top games". Hidden in Shadows. Retrieved 2021-04-18.
  4. Arneson, Dave (1978). "missing". Wargaming (4).
  5. Peterson, Jon (2012). Playing at the World. San Diego, California: Unreason Press. p. 65.  .
  6. Blackmoor Gazette and Rumormonger #1 at the Playing at the World blog, retrieved May 2013
  7. Peterson, Jon (2012). Playing at the World. San Diego, California: Unreason Press. p. 75.  .
  8. Thumbnail Analysis - Blackmoor, , #72 (Panzerfaust Publications, 1976)
  9. Review of Dungeons & Dragons Supplement II: Blackmoor, Scott Casper (2006), retrieved March 2008
  10. First Fantasy Campaign at acaeum.com

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First Fantasy Campaign (Judges Guild), 1977