Martha Wash (pictured), uncredited female singer of "Everybody Everybody" and five additional songs.
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Black Boxの軌跡イタリアン・ハウスの黄金時代と歌唱権利を巡る騒動

🗓 2026年8月16日

1980年代後半から90年代初頭にかけて、世界的なダンスフロアを席巻したイタリアのハウスユニット、Black Box。彼らはキャッチーなメロディと強力なビートを融合させた「イタロ・ハウス(イタリア発祥のハウスミュージック)」の旗手として、音楽シーンに多大な影響を与えました。しかし、その華やかな成功の裏には、音楽業界の歴史に刻まれる深刻な歌唱権利のトラブルと、イメージ戦略による「偽りの歌声」という衝撃的な事実が隠されていました。

Key Facts

  • 出身地: イタリア
  • 主要ジャンル: イタロ・ハウス、ハウス、ユーロダンス
  • 最大ヒット曲: 「Ride on Time」(1989年英国年間シングルチャート1位)
  • 物議を醸した点: 表向きのフロントウーマンがリップシンク(口パク)であり、実際の歌唱者がクレジットされていなかったこと
  • 業界への影響: マーサ・ウォッシュによる訴訟の結果、米国でアルバムやMVへの歌唱クレジット表記が義務付けられる法整備につながった

結成から世界的なブレイクまで

Black Boxの核となったのは、DJのダニエレ・ダヴォリ、クラリネット教師のヴァレリオ・センプリチ、そして電子音楽に精通したキーボード奏者のミルコ・リモニという制作チームです。彼らは当初「Starlight」や「Groove Groove Melody」といった別名義で活動し、1988年の「Numero Uno」などで頭角を現しました。

1989年、彼らは「Black Box」へと名称を変更し、フランス人モデルのカトリン・キノルをグループの「顔」として起用します。同年7月にリリースされた「Ride on Time」は爆発的なヒットとなり、英国で150万枚以上のセールスを記録して年間チャートの頂点に立ちました。その後も「I Don't Know Anybody Else」や「Everybody Everybody」といった楽曲が米ビルボードのダンスチャートで1位を獲得するなど、快進撃を続けます。

1990年に発表されたデビューアルバム『Dreamland』は、オーストラリアでチャート1位を記録し、英米の両国でゴールドディスク認定を受けるなど、商業的な大成功を収めました。

「歌い手」を巡る衝撃の真実と法的紛争

絶頂期にあったBlack Boxを襲ったのは、楽曲の権利と歌唱者の正体を巡る激しい論争でした。実は、ビデオやステージで歌っていたカトリン・キノルは一切歌っておらず、すべてリップシンクであったことが判明します。

まず、大ヒット曲「Ride on Time」において、ロレッタ・ホロウェイの楽曲「Love Sensation」を無断でサンプリングしていたことが発覚。ホロウェイとプロデューサーのダン・ハートマンが著作権侵害で提訴し、最終的に裁判外での和解に至りました。これにより、ボーカルをヘザー・スモールに差し替えた再録版がリリースされることになります。

さらに深刻だったのが、アメリカ人シンガーのマーサ・ウォッシュによる訴訟です。彼女は『Dreamland』に収録された「Everybody Everybody」を含む計6曲のデモ歌唱を依頼されましたが、制作側は彼女に知らせることなくその音源をそのまま製品に使用し、クレジットにも記載しませんでした。その歌声をキノルのものとして発表し続けた商業的搾取に対し、ウォッシュはRCAレコードと共に提訴しました。

この訴訟は音楽業界に大きな転換点をもたらしました。RCAはウォッシュに多額の解決金を支払い、8枚のアルバム契約とツアー費用を支援することで和解。さらに、この事件をきっかけに米国では、アルバムやミュージックビデオにおいて歌唱者のクレジット表記を義務付ける連邦法が制定されることとなりました。

Martha Wash (pictured), uncredited female singer of "Everybody Everybody" and five additional songs.

活動の変遷とその後

リップシンク騒動による激しいバッシングを受け、カトリン・キノルは1991年末に脱退しました。その後、グループはアメリカ人シンガーのシャーヴォニ・ウッドソンを迎え、1995年には2ndアルバム『Positive Vibration』をリリースしますが、初期のような爆発的なヒットには至りませんでした。

1998年にはベストアルバム『Strike It Up: The Best of Black Box』などを発表し、ウッドソンは2015年まで断続的にリードボーカルとして活動。その後はセレスティン・ウォルコット=ゴードンが加入し、2018年には新曲「Everyone Will Follow」をリリースするなど、現在に至るまで活動を続けています。

作品概要まとめ

Black Box 主要ディスコグラフィーと実績
項目 詳細 主な実績・記録
代表アルバム Dreamland (1990) AUS 1位 / 英米ゴールド認定
代表曲 Ride on Time 1989年 UK年間シングル1位
ダンスチャート1位曲 I Don't Know Anybody Else / Everybody Everybody / Strike It Up US Billboard Dance Chart 1位
2ndアルバム Positive Vibration (1995) 「Not Anyone」などのシングルをリリース

Frequently Asked Questions

Black Boxの「Ride on Time」の本当の歌い手は誰ですか?

オリジナル版のボーカルはロレッタ・ホロウェイです。彼女の楽曲「Love Sensation」がサンプリングされていました。後の再録版ではヘザー・スモールが歌唱しています。

カトリン・キノルはグループでどのような役割でしたか?

彼女はフランス人モデルであり、グループの「顔」としてミュージックビデオやテレビ出演時にリップシンク(口パク)を行う役割を担っていました。実際のレコーディングには参加していませんでした。

マーサ・ウォッシュの訴訟が音楽業界に与えた影響は何ですか?

彼女がクレジットなしで歌唱させられたことに対する訴訟の結果、アメリカではアルバムやミュージックビデオにおいて、歌唱者の名前を明記することが法律で義務付けられるようになりました。

Black Boxは現在も活動していますか?

はい。メンバー構成は変化していますが、現在はセレスティン・ウォルコット=ゴードンをリードボーカルに迎え、2018年にも新曲をリリースするなど活動を継続しています。

Dreamland』というアルバムはどの程度成功しましたか?

オーストラリアでチャート1位を獲得したほか、イギリスとアメリカでゴールドディスク認定を受けるなど、世界的に高い評価と商業的成功を収めた作品です。

References

  1. Released under the alias Starlight.
  2. Released under the alias Wood Allen.
  3. Released under the alias Mixmaster.