バルセロナ・メトロポリス:都市の進化を記録する思想誌

スペインのバルセロナという都市がどのように変貌し、どのような思想を育んできたのか。それを多角的に記録し、分析し続けているのがバルセロナ・メトロポリス(Barcelona Metròpolis)です。この雑誌は単なる地域情報誌ではなく、都市という空間が持つ意味を深く掘り下げる「都市情報と思想の雑誌」として、専門的な視点から街の歩みを追っています。

Key Facts

  • 創刊:1986年(当初は「Barcelona. Metròpolis Mediterrània」として始動)
  • 目的:バルセロナの都市的進化のモニタリングと、都市文化のアーカイブ化
  • 視点:建築、社会学、通信、新技術など多岐にわたる分野から都市を分析
  • 展開:カタルーニャ語、スペイン語、英語の3言語でデジタル展開
  • コンセプト:ローカルな出来事がグローバルな意味を持つという視点での分析

都市文化のライブラリーとしての歩み(1986年〜2006年)

1986年、ジャーナリストのジョアン=アントン・ベナック・オリベラ編集の下で、本誌の前身となる「Barcelona. Metròpolis Mediterrània(B.MM)」が誕生しました。この時期の雑誌は、いわば都市文化のライブラリーとして機能し、バルセロナが経験した劇的な変化を記録することに注力しました。

具体的には、1992年のバルセロナオリンピックに向けた都市整備から、後の「22@地区」や「ディアゴナル・マール」といった現代的な都市開発に至るまで、その変遷を詳細にカバーしました。民間企業では成し得ない知識の共有という公共サービスとしての役割を担い、建築や芸術、歴史保存、コミュニケーションなど、あらゆる文化的視点から街を捉えた69号にわたるアーカイブが構築されました。また、この期間に7つのモノグラフ(専門論文集)も刊行されています。

思想誌への転換とグローバルな視点(2007年〜現在)

2007年、哲学教授のマヌエル・クルスが編集に就任したことで、雑誌は「バルセロナ・メトロポリス」へと名称を変更し、その方向性を大きく転換しました。単なる記録から、都市情報と思想の雑誌へと再定義されたのです。

ここでの核心は、「都市で起きている局所的な出来事は、同時に地球規模(グローバル)な意味を持っている」という分析にあります。都市を、人々が共生するために共有する状況や葛藤のネットワークとして捉え、その共同生活がもたらす省察の場を提供することを目指しています。現在は年3回発行され、紙媒体(カタルーニャ語・スペイン語)のほか、ウェブサイトを通じて多言語で世界に発信されています。

バルセロナ・メトロポリスの変遷まとめ
項目 第一期 (1986-2006) 第二期 (2007-現在)
名称 Barcelona. Metròpolis Mediterrània (B.MM) Barcelona Metròpolis
編集方針 都市文化のライブラリー(記録と蓄積) 都市情報と思想の雑誌(分析と省察)
主な焦点 都市開発、建築、文化プロジェクト ローカルとグローバルの相関、都市の実在性
主な成果 69号のアーカイブ、7つのモノグラフ 多言語展開、思想的な都市分析

多彩な寄稿者と専門的な知見

本誌には、都市論や社会学、建築学の権威たちが名を連ねています。オリオル・ボイガスやジョセップ・マリア・モンタネールといった建築家から、マヌエル・バスケス・モンタルバンなどの文化人まで、幅広い分野の専門家が寄稿しています。

また、第二期においては、マーク・オジェ、ウルリヒ・ベック、マヌエル・カステルズ、ナンシー・フレイザーといった世界的な思想家や社会学者が諮問委員会に名を連ねており、バルセロナという都市をケーススタディとして、現代社会の普遍的な課題を考察する体制が整えられています。

Frequently Asked Questions

バルセロナ・メトロポリスとはどのような雑誌ですか?

バルセロナという都市の進化をモニタリングし、都市計画、建築、社会学などの視点から分析・考察する専門的な思想誌です。

1986年から2006年までの活動の特徴は何ですか?

「都市文化のライブラリー」として、オリンピックに向けた都市改造などの歴史的な変遷を詳細に記録し、公共的な知識共有を行うことに重点を置いていました。

2007年以降、どのような方針に変更されましたか?

「都市情報と思想の雑誌」へと再定義され、バルセロナで起きているローカルな事象が、世界規模でどのような意味を持つのかというグローバルな視点での分析に移行しました。

どのような言語で読むことができますか?

紙媒体ではカタルーニャ語とスペイン語で発行されており、電子版ではさらに英語を含む3言語で閲覧することが可能です。

どのような専門家が関わっていますか?

建築家、社会学者、哲学者など多岐にわたります。特に諮問委員会には、マヌエル・カステルズやマーク・オジェなどの世界的な知性が参加しています。