1969年、人類初の月面着陸を成し遂げたアポロ11号の成功に続き、NASAはさらなる科学的知見を得るためにアポロ12号を派遣しました。このミッションは、単なる着陸の再現ではなく、特定の地点へ正確に降り立つ「精密着陸」の証明と、月面の地質学的調査に重点を置いた高度な探査計画でした。
アポロ11号が成功しなかった場合のバックアップとして準備されていた本ミッションは、スケジュールが調整されたことで、乗組員が地質学のトレーニングに十分な時間を割くことができました。これにより、月面でのサンプル採取や観測の精度が飛躍的に向上しました。

主要な事実(Key Facts)
- ミッション期間:10日4時間36分24秒
- 着陸地点:月面の「嵐の海(Ocean of Storms)」
- 乗組員:ピート・コンラッド(船長)、アラン・ビーン(月面船パイロット)、リチャード・ゴードン(司令船パイロット)
- 主な成果:無人探査機サーベイヤー3号の部品回収と、34.35kgの月面サンプルの採取
- 使用ロケット:サターンV(SA-507)
ミッションの準備と機材
アポロ12号の打ち上げには、巨大ロケットサターンV(機体番号SA-507)が使用されました。機体構成はアポロ11号とほぼ同様でしたが、計測機器が1,365個に増強され、より詳細なデータ収集が可能となっていました。打ち上げ時の総重量は約2,942,790kgに達しました。

宇宙船は、司令船・機械船(CSM)の「ヤンキー・クリッパー」と、月着陸船(LM)の「イントレピッド」で構成されていました。特筆すべき点として、月面での滞在時間を快適にするため、月着陸船内部にハンモックが導入されたことが挙げられます。

乗組員のトレーニングは非常に厳格に行われました。特にコンラッド船長とビーンパイロットは、地質学的なフィールドワークを繰り返し、月面での効率的な活動に備えました。


月への旅路と精密着陸
1969年11月14日、フロリダ州ケネディ宇宙センターから打ち上げられたアポロ12号は、地球を離れ月へと向かいました。道中、宇宙飛行士たちは地球の壮大な姿や、月による日食などの貴重な光景を目撃しました。



月周回軌道に投入された後、司令船と月着陸船は分離し、11月19日に「嵐の海」へと降下しました。この着陸の最大の目的の一つは、2年前に着陸していた無人探査機サーベイヤー3号の至近距離に降り立つことでした。これは、NASAの誘導精度の高さを証明する重要な試験でもありました。

月面での科学活動
コンラッド船長とビーンパイロットは、合計2回の船外活動(EVA)を行い、合わせて約7時間45分にわたって月面を探索しました。彼らはサーベイヤー3号に接近し、その部品を回収して地球へ持ち帰ることに成功しました。


また、月面の地震活動を測定する受動的地震実験装置(Passive Seismic Experiment)などの科学機器を設置しました。さらに、放射性同位体熱電気発電機(SNAP-27 RTG)への燃料要素の設置など、長期的な観測を可能にするインフラを構築しました。


彼らが活動した「Statio Cognitum」と呼ばれる地点には、現在も着陸船の下降段やサーベイヤー3号、そして当時の足跡が残されていることが後年の軌道探査機(LRO)によって確認されています。

地球への帰還
月面活動を終えた月着陸船の ascent stage(上昇段)は、11月20日に離陸し、周回軌道上の司令船ヤンキー・クリッパーとドッキングしました。その後、上昇段は意図的に月面に衝突させられ、その振動が設置したばかりの地震計で1時間以上にわたって記録されました。
11月24日、宇宙船は南太平洋に飛沫着水(スプラッシュダウン)し、USSホーネットによって回収されました。これにより、10日間にわたる過酷なミッションは無事に完了しました。

ミッション概要まとめ
| 項目 | 詳細内容 |
|---|---|
| 打ち上げ日 | 1969年11月14日 |
| 月面着陸日 | 1969年11月19日 |
| 帰還日 | 1969年11月24日 |
| 着陸地点 | 嵐の海 (Ocean of Storms) |
| 採取サンプル量 | 34.35 kg |
| 船外活動合計時間 | 7時間45分18秒 |
よくある質問(FAQ)
アポロ12号の主な目的は何でしたか?
主な目的は、特定の地点への精密着陸の達成と、月面の地質学的調査、および無人探査機サーベイヤー3号の部品回収による分析でした。
アポロ11号との違いは何がありましたか?
アポロ12号はより科学的な目的に特化しており、乗組員はより高度な地質学トレーニングを受けていました。また、機材面では月着陸船に休息用のハンモックが追加されるなどの改善が見られました。
月面でどのような科学機器を設置しましたか?
月震を測定するための受動的地震実験装置や、電力を供給するためのSNAP-27 RTG(放射性同位体熱電気発電機)などが設置されました。
サーベイヤー3号の回収はなぜ重要だったのですか?
月面という過酷な環境に長期間さらされた地球製の材料がどのように変化したかを分析することで、将来の宇宙探査に役立つデータを収集するためでした。
ミッションの最後には何が行われましたか?
月着陸船の上昇段を月面に衝突させ、その振動を設置した地震計で測定するという実験が行われ、その後、司令船のみで地球へ帰還しました。

References
- , p. 331.
- , p. 573.
- , pp. 5-1–5-5.
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- , p. A-9.
- , p. 327.
- , pp. 75–78.
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- , p. 79.
- , pp. 223–224.
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